歩行専門の自費リハビリ施設「アルコネクト 」

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リハビリコラム

2022-06-13 18:45:00

知りたい!脳卒中患者さんの歩行回復の予後とは?

 

こんにちは!
歩行専門の自費リハビリ施設
ARUKONECT (アルコネクト)の代表
市川です。

 

 

今回は脳卒中の患者さんの歩行回復の
予後を解説したいと思います!

歩行回復の予後に影響がある
脳の場所は
いったいどこなのか?

その疑問に答えたLeeらの
論文を紹介したいと思います!

予後とは?
今後の見通しのことです。

 

 

この論文では、
MRIを使い、脳卒中の患者さんの
歩行回復に
影響がある脳の場所を
調査しています。

※MRIとは?
主に病変を見つけるために
使われる検査のことです。

 

 

結果は・・・
放線冠、内包、被殻、尾状核などが
歩行回復に関係がある
ということがわかりました。


また発症後6ヶ月を通じて徐々に
歩行自立度が向上していくことも
明らかにされています。


つまり・・・

歩行を自立された方の割合が
6ヶ月を経て徐々に増えた
ということです。
ちなみに6ヶ月間はリハビリを
行っています。

 

 

リハビリ専門の病棟である
回復期リハビリテーション病棟。
疾患によって入院日数の
上限が決められています。


例えば脳卒中の方であれば、
150~180日間は入院できます。


しかし・・・
入院日数は年々減少傾向にあり、
全国平均で2ヶ月程度と言われています。



私が所属していた回復期リハビリテーション
病棟も平均入院日数も全国平均に
近いものでした。


つまり・・・
Leeら研究結果と平均入院日数の
関係性をみると、退院した患者さんの中に
まだまだ改善の見込みのある方が
いらっしゃる可能性が考えられるのです。

 

 

歩行回復に影響がある
脳の場所がダメージを受けたから
必ずしも
歩行が困難になると
いうわけでもありません。


あくまで研究結果の一つであり、
脳卒中の症状にも個人差が
あるように歩行回復の予後に
違いがあります。


そこで大切なのは、
詳しく身体の状態を検査することです。


例えば・・・
関節の動き、筋力、バランス能力などです。


もちろんリハビリ専門職だけではなく
医師や看護師、介護士などの
様々な専門職の見解を踏まえて
検討することが大事です。

 

 

本コラムでは脳卒中の患者さんの
歩行の予後を解説しました。

皆さまの何かのお役に立てましたら
幸いです。
最後までお読みいただき
ありがとうございました。

 

 

(執筆日:2022年6月20日)
(更新日:2023年2月12日)
(執筆者:市川 貴章) 

 

 

参考文献
1)Lee KB, Kim JS, Hong BY, at al.
Brain lesions affecting gait recovery in stroke
patients. Brain Behav. 2017 Oct 25;7(11):e00868.
doi: 10.1002/brb3.868. PMID: 29201557;
PMCID: PMC5698874.

 

 

 

 

2022-06-13 15:30:00

知っておきたい!脳卒中の患者さんが使用する短下肢装具の効果

 

こんにちは!
歩行専門の自費リハビリ施設
ARUKONECT (アルコネクト)の代表
市川です。

 

 

今回は脳卒中の患者さんが使用する
短下肢装具の効果を解説したいと思います!


※短下肢装具とは?
足に装着する装具のことです。

 

 

「装具を作製したけれど、
どんな効果が
あるのだろう?」
疑問に思ったことはありませんか?


この疑問に答えたChooらの
論文を紹介したいと思います!

 

 

この論文では・・・
短下肢装具を装着することによって
歩行速度、歩幅、バランスを含む
歩行能力、
歩行時の足関節、膝関節、
股関節の角度にどのような影響が
あるのかを調査しています。

 

 

その結果・・・
短下肢装具を使用することで
歩行速度、バランスを含む歩行能力が
向上し、
歩幅も拡大、歩行時の足首や
膝関節の角度が
大きくなることが
わかりました。


つまり・・・
足の装具を使用することで、
歩行能力が向上することがわかりました。

 

 

短下肢装具には、
プラスチック製、金属製、
カーボン製などの材質があります。

継手(足首の関節に相当する部分)が
あるもの、ないものもあり、ベルトの
本数、装具の長さ、形
も様々です。

中にはお風呂専用の装具もあります。

 

 

歩行能力向上のためだけでなく、
拘縮の予防、歩行時のつま先の
ひっかかりを防止するためなどを
目的として作製されることもあります。


痙縮、感覚障害、つま先を上に挙げる力
(背屈といいます)、足首の
関節の柔らかさ、
むくみの状態などや生活状況、想定される
使用環境を踏まえて作製することが
大切だなと感じています。


※拘縮とは?
関節や筋肉が固くなってしまうことです。

※痙縮とは?
手や足が突っ張ってしまったり、
筋肉がこわばってしまう症状です。

 

 

私が病院に勤めていた頃、
退院した患者さんから装具の相談を
受けることがとても多くありました。


そのため、退院後の装具の悩みを
解決できるような体制を医師や
義肢装具士の方と相談し
立ち上げた経験もあります。


リハビリ専門職として、
装具を作製したら終わりではなく、
他の職種と連携しその後のフォローも
必要と考えています。

 

 

本コラムでは脳卒中の患者さんの
短下肢装具の効果を解説しました。


皆さまの少しでもお役に立てましたら
とても嬉しいです。


最後までお読みいただき
ありがとうございました。

 

 

(執筆日:2022年6月20日)
(更新日:2023年1月1日)
(執筆者:市川 貴章) 

 

 

参考文献

1)Choo YJ, Chang MC. Effectiveness of an
ankle-foot orthosis on walking in patients
with stroke: a systematic review and
meta-analysis. Sci Rep. 2021 Aug 5;11(1):
15879. doi: 10.1038/s41598-021-95449-x.
PMID: 34354172; PMCID: PMC8342539.

 

 

 

 

2022-06-11 15:01:00

脳卒中患者さんが行う後ろ歩きの効果

 

こんにちは!
歩行専門の自費リハビリ施設
ARUKONECT (アルコネクト)の代表
市川です。

 

 

本コラムでは脳卒中の患者さんが行う
後ろ歩きの効果についてを
解説したいと思います!


リハビリでの歩行練習では、
前方・後方・横など様々な方向へ歩いたり、
その場で一回転したり、段差をまたいだりと
ご自宅の環境に合わせた練習を行います。

 

 

Chenらによれば、後ろ歩きを行うと、
歩行速度、バランス能力が改善する
報告されています。


またWenらによれば、Chenらの報告と
似たような結果で、歩行速度やバランス能力の
向上、マヒ側の歩幅も
大きくなるということが
明らかにされています。


介入群(後ろ歩きを実施した)も
対照群(後ろ歩きを実施しない)においても
介入方法が統一されていない場合も
ある点に注意が必要です。


比較対象となったグループ(対照群)も
歩行練習や従来のリハビリを
行っていることも結果に影響を
及ぼしていると考えられます。


このように気になる点はありますが、
様々な練習を行った方が良いとも
捉えることができ、練習を行う際の
参考にしてはいかがでしょうか。

 

 

後ろ歩きを練習する場合は、
練習の特性上、転倒に十分な
注意が必要です。


現在、リハビリを行っている方でしたら
担当スタッフにご相談いただくのも
良いかも知れません!

 

 

今回は脳卒中の患者さんが行う
後ろ歩きの効果を解説しました。

 

 

本コラムが皆さまの少しでもお役に
立てましたら
とても嬉しいです。


最後までお読みいただき
ありがとうございました。

 

 

(執筆日:2022年6月16日)
(更新日:2023年9月8日)
(執筆者:市川 貴章) 

 

 

参考文献

1)Chen ZH, Ye XL, Chen WJ, Chen GQ,
Wu JT, Wu H, Xu XM.
Effectiveness of backward walking for people
affected by stroke: A systematic review and
meta-analysis of randomized controlled trials.
Medicine (Baltimore). 2020 Jul 2;99(27):e20731.
doi: 10.1097/MD.0000000000020731.
PMID: 32629648; PMCID: PMC7337570.



2)Wen H, Wang M.
Backward Walking Training

ImpactsPositive Effect on Improving Walking
Capacityafter Stroke: A Meta-Analysis.
Int J Environ ResPublic Health. 2022 Mar 12
;19(6):3370.doi: 10.3390/ijerph19063370.
PMID: 35329056;PMCID: PMC8956083.

 

 

 

 

2022-03-21 10:42:00

知っておきたい!脳卒中の患者さんのトレーニング効果

 

こんにちは!
歩行専門の自費リハビリ施設
ARUKONECT (アルコネクト)の代表
市川です。

 

 

本日は脳卒中の患者さんの
トレーニング効果を解説します!

 

 

当施設の近くには女性専用の
スポーツジムがあります。
多くの女性が開店前から
お店の前に並んでいます。


昨今では、健康関心が高まっているためか
普段からランニングをしたり、
スポーツジムで体を鍛えたりする方も
前より多いのかなと思います。

 

 

では脳卒中の患者さんが筋力トレーニングや
有酸素運動などのトレーニングを行うと
どのような効果があるのでしょうか?


この疑問にSaundersらが
答えています。


Saundersらはトレーニングを
筋力トレーニングや有酸素運動を
組み合わせたものと定義しています。

 

 

トレーニングの効果を調査するために
死亡数・日常生活の自立度・歩行能力
などがどのように変化するのかを
検討しています。

※日常生活の自立度とは?
日常生活において患者さん
自身で
どのぐらい行えるのかを表すものです。

 

 

この論文はかなりボリュームが多いので
要点を絞ってお伝えしたいと思います。


結果は・・・
①有酸素運動は歩行能力や
 バランス能力などを
改善させる
 可能性がある。


②筋力増強運動はバランス能力を
 改善させる可能性がある。


③有酸素運動と筋力増強運動の両方を
 行った場合は歩行能力やバランス能力を
 改善させる可能性がある。

 

 

私なりにまとめると、
トレーニングの方法によって
効果の期待できる項目に
(歩行能力やバランス能力)
違いがあるということが
言えるかと思います!

 

 

実際にトレーニングを行う際は、
体の状態、目標を踏まえて、
どのようなトレーニングをどのぐらいの
期間に行うことで効果が期待できるのかを
吟味しなくてはなりません。

 

 

本コラムでは脳卒中の患者さんの
トレーニング効果を解説しました。

 

 

皆さまの少しでもお役に
立てましたら
とても嬉しいです。


最後までお読みいただき
ありがとうございました。

 

 

(執筆日:2022年5月14日)
(更新日:2023年12月4日)
(執筆者:市川 貴章) 

 

 

参考文献

1)Saunders DH, Sanderson M, Hayes S, et al.
Physical fitness training for stroke patients. 
Cochrane Database Syst Rev. 03 20 2020;3:
CD003316. doi:10.1002/14651858.
CD003316.pub7

 

 

 

 

2022-03-19 17:57:00

転倒の恐怖感に対する運動の効果

 

歩行専門の自費リハビリ施設
ARUKONECT (アルコネクト)の代表
市川です。

 

 

「転ぶのが怖い」
「転びたくないから外に出たくない」
実際に患者さんから伺ったことです。


一度転ぶ経験をしてしまうと
余計に恐怖を感じてしまうものでは
ないでしょうか。

 

 

本コラムでは転倒の恐怖感に対する
運動の効果を
解説したいと思います。

 

 

今回はKendrickらの論文を
紹介したいと思います!

 

 

今回の研究では65歳以上で、
過去に脳卒中の発症、骨折を
経験したことのない方が参加しました。


実施された運動には筋力トレーニングや
有酸素運動、バランス練習など
様々な方法が行われていました。

 

 

その結果・・・
運動を行うと運動直後から転倒恐怖感を
減らせることが明らかになりました。


しかし・・・
運動実施後、日にちが経過すると
運動の効果も徐々に少なくなると
いうこともわかっています。

 

 

2025年には、団塊の世代が
75歳以上になります。
>>厚生労働省 我が国の人口について


厚生労働省の国民生活基礎調査に
よると、骨折・転倒は介護が必要になった
原因の上位を占めています(2位または3位)。
>>厚生労働省 2019年国民生活基礎調査
(Ⅳ介護状況のファイルを開くと
ご覧になれます)


この2つのことを踏まえると、
今後骨折・転倒によって介護が
必要になる方がますます増えてくることが
予想できるのではないでしょうか。

 

 

「転倒を減らすこと」
単純なことではないのかもしれませんが、
重要な社会的な課題と認識しています。

 

 

私の考えですが・・・
①筋力やバランス能力など身体機能が変化
②転倒恐怖感が高まる
③活動量が減少
④転倒しやすい状態になる
⑤転倒する

以上の流れで、転倒が発生していると
考えています。


転倒を経験すると、さらに転倒恐怖感が
高まり、活動量も少なくなって転倒しやすい
状態となる負の連鎖が生じると思われます。
その負の連鎖をどこかで断ち切らないと
いけません。

 

 

以前、コラムに書いておりますが、
運動には転倒予防の効果もあります!

>>転倒は運動で予防できる!?

 

 

Kendrickらの論文では、
転倒の恐怖感に対する運動の効果が
あると思われますが、課題になるのが
効果の持続性です。


そのため、身体機能に合わせて、
運動を「継続的に」行うことが
必要なのかも
しれません。
効果がすぐに表れない場合もあるため、
「継続性」も課題の1つかなと
認識しています。


運動も大切ですが、活動量を
確保する視点も大切だなと現場で
実感しています。

 

 

本コラムでは転倒の恐怖感に対する
運動の効果を
解説しました。


皆さまの何かのお役に立てましたら
とても嬉しいです。


最後までお読みいただき
ありがとうございました。

 

 

(執筆日:2022年6月14日)
(更新日:2023年3月3日)
(執筆者:市川 貴章) 

 

 

参考文献

1)Kendrick D, Kumar A, Carpenter H,et al.
Exercise for reducing fear of falling inolder
people living in the community. 
Cochrane Database Syst Rev.
Nov 28 2014;(11)
:CD009848.
doi:10.1002/14651858.CD009848.pub2

2)厚生労働省 国民生活基礎調査(令和元年)
(2022年3月20日閲覧
)

3)
厚生労働省 我が国の人口について
(2022年3月20日閲覧
)

 

 

 

 

2024.05.19 Sunday