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リハビリコラム

2022-08-08 20:30:00

脳卒中患者さんが使用するアームスリング~バランスや歩行への影響~

 

こんにちは!
歩行専門の自費リハビリ施設
ARUKONECT (アルコネクト)の代表
市川です。

 

 

本コラムでは脳卒中の患者さんが
使用するアームスリングのバランスや
歩行への影響を
解説したいと思います。


今回はLinらの論文を
ご紹介したいと思います!

 

 

※アームスリングとは?
マヒした肩を保護するために
装着する装具です。


Linらはアームスリングを使用した場合、
バランス能力、歩行速度・歩幅などに
どのような影響があるのかを
調査しています。

 

 

その結果・・・
アームスリングを装着すると、

(装着しない場合に比べて)
歩行速度が向上することがわかりました。


一方で歩幅やバランスには影響が
みられないことがわかりました。

 

 

【私が気になるところ】

①歩行自立度が高い方が対象

研究に参加された方は
歩行自立度が高い患者さん、
(一人で歩行可能な方)でした。

※歩行自立度とは?
歩行における介助の度合いを表すものです。


②アームスリングの種類が様々

アームスリングには様々な
タイプが
あるのですが、効果(影響)に影響を
及ぼした可能性もあります。


③歩行速度の効果量(影響)が幅広い

アームスリングを使用することで
歩行速度が向上することが明らかに
されました。

しかし・・・
その効果量(影響)が幅広く0に
かなり近いため、必ず効果があると
言い切ることが難しいのかなと
思いました。

 

 

アームスリングの効果に関しては、
様々な
論議がなされています。


肩の痛みがひどい場合は、肩を保護するため、
痛みの悪化を防ぐ目的で
アームスリングの
使用をおススメすることもあります。


マヒがあるから必ず使用するワケではなく、
その必要性は十分に検討が必要かと
思います。

 

 

脳卒中の患者さんが
使用するアームスリングのバランスや
歩行への影響を
解説しました。



本コラムが少しでも皆さまの
お役に
立てましたら幸いです。


最後までお読みいただき
ありがとうございました。

 

 

(執筆日:2022年8月8日)
(更新日:2023年6月18日)
(執筆者:市川 貴章) 

 

 

参考文献

1)Lin LC, Liao CD, Wu CW, Huang SW,
Hong JP, Chen HC.
Effect of arm sling application on gait and balance
in patients with post-stroke hemiplegia:
a systematic review and meta-analysis. Sci
Rep. 2021 May 27;11(1):11161.
doi: 10.1038/s41598-021-90602-y.
PMID: 34045541; PMCID: PMC8160322.

 

 

 

 

2022-08-06 17:29:00

運動失調の検査!SARAとは?

 

こんにちは!
歩行専門の自費リハビリ施設
ARUKONECT (アルコネクト)の代表
市川です。

 

 

本コラムでは運動失調の検査の1つ
SARAについてを
解説したいと思います。


今回はChoi らの論文を
ご紹介したいと思います!

 

 

運動失調とは?
腕・手や脚を滑らかに
動かせなくなってしまうもので、
脳卒中、多系統萎縮症、多発性硬化症
などの
患者さんにみられる症状です。


その検査として開発されたのが
Scale for the Assessment and 
Rating of Ataxia 「SARA」 です。


運動失調を点数化することができ、
現在の状態、状態の経過を確認できます。

 

 

Choi らの報告では、
発症してまもない脳卒中の患者さんが
対象となりました。


SARA以外にも、
・脳卒中の重症度(日常生活に関係する)
・体幹機能
・バランス能力
・歩行能力などの検査が行われました。


※脳卒中の重症度(日常生活動作に関係する):
 modified Rankin Scale(mRS)

※体幹機能:
Trunk Control Test(TCT)

※バランス能力:
Berg Balance Scale(BBS)

※歩行能力:
Timed Up-and-Go(TUG)
 
いずれも得点で状態をみることが
できる検査です。

 

 

その結果・・・
mRS(脳卒中の重症度)と
SARA(運動失調)の得点・TCT(体幹)の
得点に
関係性があることがわかりました。



さらにはSARAの得点はBBS(バランス)、
TCT(体幹)、TUG(歩行能力)とも
関係性があることもわかりました。

 

 

症状に合わせてリハビリの検査を
行うことで目標を達成するための
課題もみえてきます。


検査を行うことで経過を追うこともでき、
現在のリハビリメニューが妥当なのかを
振り返る判断材料の1つになります。

 

 

本コラムでは運動失調の検査の
1つであるSARAについてを
解説しました。


本コラムが少しでも皆さまの
お役に
立てましたら幸いです。


最後までお読みいただき
ありがとうございました。

 

 

(執筆日:2022年8月6日)
(更新日:2023年1月2日)
(執筆者:市川 貴章) 

 

 

参考文献

1)
Choi SW, Han N, Jung SH, Kim HD,
Eom MJ,Bae HW.
Evaluation of Ataxia in Mild Ischemic Stroke
Patients Using the Scale for the Assessment
and Rating of Ataxia (SARA).
Ann Rehabil Med. 2018 Jun 27;42(3):375-383.
doi: 10.5535/arm.2018.42.3.375.
PMID: 29961735; PMCID: PMC6058584.

 

 

 

 

2022-08-05 16:12:00

脳卒中の患者さんの肩の痛み。その危険因子とは?

 

こんにちは!
歩行専門の自費リハビリ施設
ARUKONECT (アルコネクト)の代表
市川です。

 

 

本コラムでは脳卒中の患者さんの
肩の痛みの危険因子についてを
解説したいと思います。


今回は肩の痛みの危険因子を研究した
Kimらの論文をご紹介したいと思います!

 

 

この研究では・・・
脳卒中の患者さんを対象として
腕の運動、可動域(動く範囲)、
痙縮(けいしゅく)の程度など
肩関節に
関わる検査が、発症後
1ヶ月、
3ヶ月、6ヶ月と経過を追って
実施されました。

 

 

その結果・・・
肩関節の痛みの発生率は、
1ヶ月時点で31%
6ヶ月時点では54%でした。


そして・・・
発症6ヶ月時点で
肩関節の痛みがある方は、
(痛みを生じていない方に比べて)
①年齢が70歳未満
②腕のマヒが重度である
②棘上筋の炎症・断裂がある


この3つが当てはまると
いうことがわかりました。


※棘上筋とは?
肩関節の深いところにあって
主に肩を外に広げるために働く
小さな筋肉です。


ちなみに発症後1ヶ月・3ヶ月・6ヶ月の
時期によって肩関節の痛みに関係する
要因に違いがあることもわかっています。

 

 

少なくともこの期間は肩関節を
痛めないようにするために注意を払い、
リハビリを行うことが必要なのかも
知れません。

 

 

【私が気になる点】
※少しややこしい表現となることを
 お含みおきください。


①肩関節痛への影響の程度をみるために
「オッズ比」を算出しています。
オッズ比の場合、95%信頼区間が1を
またぐか否かが大切な判断基準になります。
(またぐ場合は影響があると言えない)


棘上筋の炎症・断裂をみると
オッズ比の信頼区間が1に近いところまで
幅広いのが気になります。
つまり影響があると言い切れない
場合もあるということです。


②この研究では6ヶ月まで経過を
追っていましたが、それ以降は
どのような傾向を辿ったのか
気になるところです。

 

 

本コラムでは脳卒中の患者さんの
肩の痛みの危険因子を解説しました。


本コラムが少しでも皆さまの
お役に
立てましたら幸いです。


最後までお読みいただき
ありがとうございました。

 

 

(執筆日:2022年8月5日)
(更新日:2023年6月18日)
(執筆者:市川 貴章) 

 

 

参考文献
1)Kim YH, Jung SJ, Yang EJ, Paik NJ. Clinical and
sonographic risk factors for hemiplegic
shoulder pain: A longitudinal observational study.
J Rehabil Med. 2014 Jan;46(1):81-7.
doi: 10.2340/16501977-1238.
PMID: 24129640.

 

 

 

 

2022-08-04 10:54:00

脳卒中患者さんの歩行速度とバランステストの関係性とは?

 

こんにちは!
脳卒中・整形外科疾患の自費リハビリ施設
ARUKONECT (アルコネクト)の代表
市川です。

 

 

本コラムでは脳卒中の患者さんの
歩行速度とバランステストの関係性を
解説したいと思います。


今回は歩行速度とバランス能力との関係性を
研究したMadhavan らの論文を
ご紹介したいと思います。

 

 

脳卒中を患った方で、少なくとも
5分間は歩行可能な方を
対象として、
ゆっくり歩く方(0.8m/sec未満)と
速く歩く方(0.8m/sec以上)で
分けています。


※0.8m/secとは1秒間に80cmの
速度です。


バランス能力の検査として
・Mini-BESTest
・BBS
この2つを採用しています。


※mini-BESTest=
Mini-Balance EvaluationSystems Test:
ミニベステストと読みます。
合計点は28点です。

※BBSBerg Balance scale:
バーグバランススケールと読みます。
合計点は56点です。


歩行速度を予測するには、この2つの
バランステストのどちらが有用で
あるのかを比較しています。

 

 

結果は・・・
ゆっくり歩く方と速く歩く方を
分けるバランスの得点は、
mini-BESTest 18.5点
BBS       47.5点
ということがわかりました。

 

 

歩行速度だけをみるとmini-BESTestと
方が(BBSと比べて)予測するのには有用
という結果でした。


だからといってmini-BESTestだけ
検査を行えばと良いというワケでは
ありません!!(←ここ重要です。)


バランス能力と一口にいっても
筋力、感覚など様々な要素で
成り立っています。


バランスの検査・評価は数多く
開発されていますが、
それぞれに
得手・不得手があります!


そのため目標やお悩みごとに合わせた
検査を行うことが大切です!
(バランス検査だけではなくリハビリ検査
全般に言えることです。)

 

 

この論文では歩行速度の速い方と
ゆっくりな方を0.8m/secで分けています。
個人的には、けっこう早い速度だなと
思いました。


自宅周辺に限らず外出するための
指標の1つとしては有用なのかも
知れません。

 

 

本コラムでは脳卒中の患者さんの
歩行速度とバランステストとの関係性を
解説しました。


本コラムが皆さまの何かの
お役に
立てましたら幸いです。


最後までお読みいただき
ありがとうございました。

 

 

(更新日:2022年8月4日)
(執筆者:市川 貴章) 

 

 

参考文献
1)Madhavan S, Bishnoi A.
Comparison of the Mini-Balance Evaluations
Systems Test with the Berg Balance Scale
in relationship to walking speed and motorrecovery
post stroke.
Top Stroke Rehabil. 2017 Dec;24(8):579-584.
doi: 10.1080/10749357.2017.1366097.
Epub 2017 Aug 21.
PMID: 28826325; PMCID: PMC5839481.

 

 

 

 

2022-08-02 10:36:00

脳卒中患者さんの固有感覚障害とバランス障害の関係

 

こんにちは!
歩行専門の自費リハビリ施設
ARUKONECT (アルコネクト)の代表
市川です。

 

 

本コラムは脳卒中の患者さんの
足関節の固有感覚障害とバランス障害
との
関係を
解説したいと思います。


今回はChoらの論文を
ご紹介したいと思います!

 

 

この研究では6ヶ月以上前に脳卒中を
患った方で、歩行が
見守りもしくは
自立の患者さんが参加しました。


※バランス能力の検査
・Berg Balance Scale (BBS)
・Timed Up and Go(TUG)
この2つが行われました。


論文ではBBS得点が46点以下、
TUGが13.5秒以上の場合を
バランス障害と定義しています。


※固有感覚とは?
腕や脚がどのぐらい曲がっているのか
(伸びているのか)、筋肉の長さなどの
感覚のことです。

 

 

結果は・・・
バランス障害は足首の固有感覚障害
関係
することがわかりました。


さらにバランス障害があるグループは
(バランス障害がないグループに比べて)
足関節の固有感覚障害を3.49倍もつことも
明らかにされています。

 

 

 

足関節の固有感覚障害があることで
バランスが悪くなってしまうという
結果をみて不安に思われる方も
いらっしゃるかも知れません。


バランス能力は固有感覚のみで
成り立つものではありません。


例えば、
Horakらの報告によると、
①生体力学的制約
②安定限界/垂直性
③予測姿勢調整
④姿勢反応
⑤感覚的方向性
⑥歩行の安定性

この6つを基盤としてバランスが
成り立つと説明しています。



バランス能力を分析し、課題にあった
リハビリを行うことが大切です!!

 

 

本コラムでは脳卒中の患者さんの
足関節の固有感覚障害とバランス障害との
関係を解説しました。


本コラムが皆さまの何かの
お役に
立てましたら幸いです。


最後までお読みいただき
ありがとうございました。

 

 

(執筆日:2022年8月2日)
(更新日:2023年1月16日)
(執筆者:市川 貴章) 

 

 

参考文献

1)Cho JE, Kim H.
Ankle Proprioception DeficitIs the Strongest
Factor Predicting Balance Impairment in
Patients With Chronic Stroke.
Arch Rehabil Res Clin Transl. 2021 Nov 2;3(4):
100165. doi: 10.1016/j.arrct.2021.100165.
PMID: 34977547; PMCID: PMC8683870.

2)Horak FB, Wrisley DM, Frank J.
The Balance Evaluation Systems Test (BESTest) to
differentiate balance deficits.
Phys Ther. 2009 May;89(5):484-98.
doi: 10.2522/ptj.20080071.
Epub 2009 Mar 27.
PMID: 19329772; PMCID: PMC2676433.

 

 

 

 

 

 

2024.05.06 Monday