歩行専門の自費リハビリ施設「アルコネクト 」

”歩行専門”の自費リハビリ施設 「アルコネクト」

~維持ではなく改善を目指すリハビリを追求~

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リハビリコラム

2024-04-22 21:19:00

どうしたら良いの?転倒予防

こんにちは!
アルコネクトの代表市川です!

 

 

国内で1,213 万人が転倒し、
そのおよそ5%に骨折がみられると
日本理学療法士協会の発行する冊子
(理学療法ハンドブック18転倒予防)に
書かれています。

 

 

転倒を起こしやすい原因は、
・転倒歴(転倒したことがある)
・転倒恐怖感
・認知機能低下
・バランス低下
・フレイルなどが考えられています。


※フレイルとは年齢を重ねることによって
 心身機能が低下した状態のことです。

 

 

人工関節置換術の受けた患者さんの
13.1%は転倒し、その原因として
転倒歴の影響が大きいとされています。

 

 

さらに身体機能低下している高齢者
(虚弱高齢者)の場合は、転倒恐怖感が高く、
転倒した経験や転倒回数が多いことで、
さらに恐怖感が増すと言われています。
この転倒恐怖感、厄介なのが転倒の
要因だけでなく、生活の質(QOL)まで
影響があることです。

 

 

転倒に対する不安を紐解いていくと、
転倒恐怖感や自己効力感(転ばない自信)、
バランス能力などと関係がある
(弱い相関)とも言われています。

 

 

転倒を減らすための方法として、
・運動
・薬物療法
・環境整備
・心理社会的な介入などがあります。

それらを組み合わせて効果を
検証している論文もあります。

今回は、この中でも運動に
焦点を当てたいと思います。

 

 

運動による転倒予防に関する報告は様々です。


・転倒予防の効果があるものの、その効果は
 介入直後に
限定され、長期的にみると
 効果がみられない。


・身体機能向上が見られるものの、
 転倒予防には至らなかった。


・認知機能低下がある場合は、
 転倒リスク軽減や歩行能力向上が
得られたが、
   転倒数や転倒率は変化が見られなかった。

 

 

集団アプローチでの介入では、
エビデンスが非常に低いと判断され、
効果がいまいちと思われます。

 

 

以上のように運動による転倒予防効果はまだまだ実証されて
おらず、効果があったとしても限定的です。

 

 

ただ否定的な意見だけではありません。


ニュージーランドで開発された
オタゴ運動プログラム(通称OEP)を
実施することで、バランス能力や歩行速度、
転倒への自己効力感(転ばない自信)が
向上すると言われています。

 

 

また転倒恐怖感に対する介入としてTVゲームを
用いたトレーニングや身体活動量を増やすことで
(座っている時間を減らす)改善がみられるとしています。

 

 

一方で、パーキンソン病の患者さんに対して
The Johns Hopkins Fall Risk Assessment Tool
( JHFRAT)スケールのスコアを用いて、転倒に関して
低リスク・中等度リスク・高リスクと分類し、
その状況に合わせた対応(転倒予防策)が
提案されています。

 

 

研究間で報告が異なるのは、転倒に関する
リスクの層別化が図られていないことや、
転倒に要因が多岐に渡ることが
影響しているのではと思います。

 

転倒率が高いと判断された場合には、
(転倒率が低いと判断された場合に比較して)
運動の効果が得られることからも、
層別化した上で、予防策も合せなくては
ならないということかも知れません。

 

ある程度スクリーニングをかけた上で、
個別で対応しなければならないのか、
集団アプローチで対応可能のかを見極めることも
大切なのかなと考えています。

 

 

本コラムが少しでも皆さまの
お役に立てましたら幸いです。


最後までお読みいただき
ありがとうございました。

 

 

参考文献】 

1)Yang, Z-C et al.
“Frailty Is a Risk Factor for Falls inthe Older
Adults: A Systematic Review and Meta-Analysis.
” The journal of nutrition, health & aging 
vol. 27,6 (2023): 487-595.
doi:10.1007/s12603-023-1935-8

 

2)Li, Ying et al. “Risk factors for falls
among community-dwelling older adults:
A systematic review and meta-analysis.” 
Frontiers in medicine vol. 9 1019094. 6
Jan. 2023, doi:10.3389/fmed.2022.1019094

 

3)Liu, Yang et al. “A systematic review
and meta-analysis of fall incidence and
risk factors in elderly patients after
total joint arthroplasty.” Medicine vol. 99,50
(2020): e23664. doi:10.1097/
MD.0000000000023664

 

4)Schoene, Daniel et al.
“A systematic review on the influence
of fear of falling on quality of life in older people:
is there a role for falls?.” Clinical interventions
in aging vol. 14 701-719. 24 Apr. 2019,
doi:10.2147/CIA.S197857

 

5)Payette, Marie-Christine et al.
“Fall-Related Psychological Concerns and
Anxiety among Community-Dwelling
Older Adults: Systematic Review and
Meta-Analysis.” PloS one vol. 11,4
e0152848. 4 Apr. 2016, doi:10.1371
/journal.pone.0152848

 

6)Kumar, Arun et al.
“Exercise for reducing fear of falling
in older people living in the community:
Cochrane systematic review and meta-analysis.
” Age and ageing vol. 45,3 (2016): 345-52.
doi:10.1093/ageing/afw036

 

7)Hager, Anne-Gabrielle Mittaz et al.
“Partially supervised exercise programmes
for fall prevention improve physical
performance of older people at risk of falling:
a three-armed multi-centre randomised
controlled trial.” BMC geriatrics vol. 24,1 311.
3 Apr. 2024, doi:10.1186/s12877-024-04927-0

 

8)Racey, M et al.
“Fall prevention in community-dwelling
adults with mild to moderate cognitive
impairment: a systematic review and
meta-analysis.” BMC geriatrics 
vol. 21,1 689. 10 Dec. 2021,
doi:10.1186/s12877-021-02641-9

 

9)Lewis, Sharon R et al.
“Population-based interventions
for preventing falls and fall-related
injuries in older people.” 
The Cochrane database of systematic
reviews vol. 1,1 CD013789. 5 Jan. 2024,
doi:10.1002/14651858.CD013789.pub2

 

10)Yang, Yi et al.
“The impact of Otago exercise
programme on the prevention of
falls in older adult: A systematic review.
” Frontiers in public health vol. 10 953593.
20 Oct. 2022, doi:10.3389/fpubh.2022.953593

 

11)Zahedian-Nasab, Noorolla et al.
“Effect of virtual reality exercises on
balance and fall in elderly people
with fall risk: a randomized controlled trial.
” BMC geriatrics vol. 21,1 509. 25 Sep.
2021, doi:10.1186/s12877-021-02462-w

 

12)Liu, Wen-Yi et al.
“Systematic review for the prevention
and management of falls and fear of f
alling in patients with Parkinson's disease.
” Brain and behavior vol. 12,8 (2022):
e2690. doi:10.1002/brb3.2690

 

 

 

 

2024-04-20 11:32:00

かかとを上げる運動って本当に大事なの?

アルコネクト代表
市川です!

 

 

歩行時の歩行速度を向上するためには
”推進力”が影響し、重要な役割を果すのが
「Trailing Limb Angle(TLA)」です。


TLAとは・・・
大転子から第5中足骨頭へのベクトルと
垂直軸のなす角度と定義され、
この角度が大きいほど、
推進力が大きいと言われています。

 

 画像1.png

 

さらに脳卒中の患者さんでは、
マヒ側の推進力と連続歩行距離
(長く歩く力)には関係があるとも言われており、
歩行のリハビリテーションにおいて
重要なテーマと言えるかと思います。

 

 

推進力を考えたときに、
TLAとセットで大切なのが
足関節底屈(つま先を下げる)です。

 

 

画像3.png

 

 

TLAと足関節底屈との関係性をみると、
歩行速度を上げていくときに、影響が
大きいのがTLAとされています。

(TLA:足関節モーメント=3~4:1)


しかし、足関節底屈は歩行速度や
歩幅の変動との関係があるとも言われており、
TLAと比べて関与が小さいとは言え、
重要な役割を果します。

 

 

足関節底屈筋力を筋力低下させた
シミュレーションでは、60%ほど
低下させると歩行に変化がみられた
としています。


つまり足関節底屈が十分に
発揮できない状態では、歩き方まで
影響があるということです。

 

 

では、足関節底屈の筋力を鍛えれば推進力が上がるのか?


答えはノーです。

 

 

脳卒中患者さんのマヒ側の推進力は、
歩行速度と関連があったものの、
なんと足関節底屈筋力とは関係性が
低かったと言われています。

 

 

ポイントになるのが、
セントラルドライブです。


セントラルドライブは、
最大随意筋力(自ら出せる最大限の力)に
電気で補助して、限界を引き出した
ときの力です。

 

 

この力(セントラルドライブ)と
マヒ側の推進力には関係性があると
言われており、セントラルドライブが
大きい方が、推進力が高い傾向が
あったとしています。

 

 

筋トレに効果がないわけではありません。
筋トレを行うと、足関節底屈の筋力が向上・
歩行速度も上がります。


しかし力を調節に注目した
フォーストレーニングを行うことで、
歩行速度だけでなく歩幅の変動が
減少したとしています。


筋トレではみられなかった歩行の
質的な部分に効果がみられたのです。
ちなみにフォーストレーニングでは、
筋力向上はみられませんでした。

 

 

以上を踏まえると、ベースアップとして
筋トレを実施しつつ、歩き方の修正や
筋肉を使い方を練習する必要が
あるのかも知れません。

 

 

さらに歩行時の推進力は、腓腹筋・ヒラメ筋・
大腿四頭筋・そして大殿筋が重要な役割をします。
さらに機能的な歩行を考えると中殿筋の働きも
見逃せませんし、歩行練習も大切です。

 

 

歩行速度向上には推進力が関係しながらも、
推進力が高い=歩行速度が速いということが
成り立たない場合があります。

 

 

少しややこしいですよね。


脳卒中患者さんでは、推進力は低くくても
非マヒ側(マヒの影響がない側)で頑張りすぎてしまい、
歩行速度が速いことがあります。


特に、歩行速度が速くすればするほど非マヒ側の
頑張りが増したとされています。


練習場面では、その点に注意が
必要なのかなと思っています。

 

 

こちらの動画は、かかと挙げの練習を
行っているところです。


私が注意しているポイントは2点です。

①体幹や股関節など足関節以外のアライメントが
 整っているか?(悪い姿勢になっていないか)  

②挙げる高さ・速度を変化させる

 

 

本コラムが少しでも皆さまの
お役に立てましたら幸いです。


最後までお読みいただき
ありがとうございました。

 

 

参考文献】 

1)Roelker, Sarah A et al.
“Paretic propulsion as a measure of walking
performance and functional motor recovery
post-stroke: A review.” Gait & posture 
vol. 68 (2019): 6-14. doi:10.1016/j.
gaitpost.2018.10.027

 

2)Awad, Louis N et al. “Paretic Propulsion
and Trailing Limb Angle Are Key Determinants
of Long-Distance Walking Function After Stroke.
” Neurorehabilitation and neural repair 
vol. 29,6 (2015): 499-508.
doi:10.1177/1545968314554625

 

3)Hsiao, HaoYuan et al.
“Mechanisms to increase propulsive force
for individuals poststroke.” Journal of
neuroengineering and rehabilitation
 vol. 12 40. 18 Apr. 2015,
doi:10.1186/s12984-015-0030-8

 

4)Waterval, N F J et al. “Validation of forward
simulations to predict the effects of bilateral
plantarflexor weakness on gait.” Gait & posture 
vol. 87 (2021): 33-42. doi:10.1016/j.
gaitpost.2021.04.020

 

5)Chung, Chul-Min et al.
“Determination of the Predictors with
the Greatest Influence on Walking in the Elderly.
” Medicina (Kaunas, Lithuania)
 vol. 58,11 1640. 13 Nov. 2022,
doi:10.3390/medicina58111640

 

6)Awad, Louis N et al.
“Central Drive to the Paretic Ankle Plantarflexors
Affects the Relationship Between Propulsion
and Walking Speed After Stroke.” Journal of
neurologic physical therapy : JNPT 
vol. 44,1 (2020): 42-48. doi:10.1097/
NPT.0000000000000299

 

 

 

 

2024-04-15 14:18:00

どうすれば良いの? 歩行時の骨盤後退に対するアプローチの考え方

 

 

アルコネクト代表
市川です!

 

脳卒中患者さんの歩行を観察していると、
マヒ側のお尻が
後ろへ引ける様子が
見られることがあります。


名称未設定のデザイン.png


お尻が引けることを骨盤後退
言うことがあります。



リハビリの担当者から指摘されるけれど、
どうすれば良いのか困っている方は
多いのではないでしょうか??

 

 

本谷らの報告では、骨盤後退は
①膝が曲がること
②内側ホイップ
(つま先を中心に踵が内側へクルっと動く)

③外旋歩行
(足を出す時につま先が外を向く)
この3つが関連するとも言われています。


私の経験としては、反対に膝が伸び切って
しまう(過伸展)の方も多いのかなと
感じています。

 

 

原因がはっきりしなければ、対処療法に留まり、
なかなか改善しないなんてこともあります。


どういうことかと言うと、
例えば骨盤後退がみられるとします。

その原因は・・・
①支える力が足りない?
②股関節が固い?
③足関節が固い?
④痛みがある?
⑤感覚障害がある?など
考えられます。


その中でもどうしてそうなっているのか、
支える力が足りないのはなぜか?
股関節が固いのはなぜか?というように
掘り下げていく必要があります。


私の肌感としては、原因は1つであることは
少ない印象です。


動画は当施設で行っているリハビリの一部です。




骨盤自体の動きを引き出しています。
ポイントは・・・
①胸郭が骨盤の動きに対して
安定していること
②肩甲骨の位置が適切であること、

③下側の下肢に力が入りすぎていないこと
などです。



利用者さんによって、練習の設定を微妙に
変えています。

 

 

本コラムが少しでも皆さまの
お役に
立てましたら幸いです。


最後までお読みいただき
ありがとうございました。

 

 

参考文献】 

1)Motoya R et al.
Classification of abnormal gait patterns of poststroke
hemiplegic patients in principal component analysis.
Jpn J Compr Rehabil Sci 2021; 12: 70‐77

 

 

 

 

2024-04-12 17:39:00

やり方で効果が違う!? スクワットの正しい方法とは?

 

 

アルコネクト代表
市川です!

 

 

足を鍛える運動として知られている
スクワットですが、
調べてみると
いろいろな方法があって何が
正しいのかわからないですよね

 

 

実は今月はじめ、Rachelらの論文
"スクワットの生体力学的レビュー"が
公表されました。


論文には、スクワットの知見から
現場の応用まで
書かれており、
とても参考になりました。



論文を読み、私が特に大切だと
思った3つのポイントを
お話したいと思います。


①腰の伸び具合
②体幹と脛骨(すねの骨)の傾斜
③両足の広さ

順を追って説明したいと思います!

 

 

① 腰の伸び具合


体を曲げたままで行うと、腰への負担が
増えると言われています。
腰の痛めないためにも、伸ばすように
意識するのがポイントです。

(伸ばしすぎにも注意です。)

 

 

 

② 体幹と脛骨(すねの骨)の傾斜

 
体幹と脛骨(すねの骨)の傾斜を
一致させると股関節伸展筋(おしり)と
膝関節伸展筋(太ももの前側)を
バランスよく鍛えることができます。


ちなみに傾斜が
体幹>脛骨であれば股関節伸展筋(おしり)
脛骨>体幹であれば膝関節伸展筋
(太ももの前側)が働きやすいと言われています。


鍛える筋肉を絞りたい場合や、傷害の
二次予防を考える場合は、分けて
行った方が良いときもあります。

 

③ 両足の広さ


 

両足の幅は、肩幅よりも少し
広めがおすすめです!
広めにすることで大殿筋(おしり)や
内転筋群(内もも)が働きやすくなると
言われているからです。

 

 

※もう一つ挙げるとすれば「速度」です。
 実は脳卒中患者さんの場合、速度にも
 注意しましょうという論文があります。

 

 

膝が痛いのか?
膝の靭帯を
損傷しているのか?
症状や
疾患に合わせて、スクワットの
方法を
変えることで、実施時のリスクを
抑えることができます。

 

 

 

当施設で行っているリハビリ場面です。



股関節の運動を意識するために、
サポートを行いながら実施している場面です。


スクワットは筋力をつけるイメージがありますが、
脳卒中の患者さんの歩行でみられる
膝の過伸展に対しても、効果が期待できると
Geerarsらによって報告されています

 

 

本コラムが少しでも皆さまの
お役に
立てましたら幸いです。


最後までお読みいただき
ありがとうございました。

 

 

参考文献】 

1)Straub, Rachel K, and Christopher M Powers.
“A Biomechanical Review of the Squat Exercise:
Implications for Clinical Practice.” International
journal of sports physical therapy
vol. 19,4 490-501. 1 Apr. 2024,
doi:10.26603/001c.94600


2)Geerars, Marieke et al.
“Treatment of knee hyperextension
in post-stroke gait. A systematic review.
” Gait & posture vol. 91 (2022): 137-148.
doi:10.1016/j.gaitpost.2021.08.016

 

 

 

 

2024-04-04 16:22:00

どうする?大腿骨を骨折した後のリハビリ~効果的な方法とは~

 

ARUKONECT (アルコネクト)
代表の市川です!

 

 

骨折は大腿骨のどの部分でも
起きる可能性はありますが、今回は
大腿骨近位部骨折(つけ根に近い部分)を
中心にお話できればと思います。


以前のコラムで、大腿骨骨折後の
機能回復についてをコラムで
説明しました。

大腿骨を骨折するとどうなる?
 ~機能回復の予測~


今回のコラムはリハビリがテーマです!

 

 

1.効果的なリハビリとは?

Pan, Rong-Jia らは股関節機能・
日常生活動作・歩行などの項目に
分けて運動ベースのリハビリに
おいて、どれが有効なのかを
検証しています。

1)股関節機能
レジスタンストレーニング(筋トレ)や
バランス練習が有効であったと
しています。


2)日常生活動作
バランス練習や体重負荷練習が
有効であったとしています。


3)その他
バランスに対してはバランス練習、
歩行能力に対してはレジスタンス
トレーニング(筋トレ)が有効と
しています。


私の解釈としては、大腿骨を
骨折した後のリハビリにおいて、
レジスタンストレーニング
バランス練習の2つは必須だと
いうことかなと思っています。

 

 

ここから、特におすすめである
レジスタンストレーニング(筋トレ)と
バランス練習を説明します!

 

 

2.レジスタンストレーニング

Ramadi, Ailar らによって
レジスタンストレーニングの効果に
ついて検討されています。


その結果、筋力のみならず、
歩行速度を向上させる効果
期待できることが報告されています。


特にトレーニングの負荷は、
重要な要素であったとしています。


「やっているのに効果が・・・」
という方は負荷が適切なのか
チェックが必要ですね。

 

 

 3.バランス練習

Wu, Jia-Qi らによると、
身体機能、バランス、歩行、
日常生活動作など幅広い範囲で
効果があるとしています。


バランス能力は、日常生活の動作を
行うにあたってとても重要な
要素の1つです。


そのバランス能力を検査する方法は
多くありますが、その1つに
ベルグバランススケール(BBS)があります。


この検査を行うとバランス能力を
点数化して表すことができます。
56点満点で、点数が高いほど
バランス能力が高いと判断します。


そんなBBSですが、
入浴自立や病院を退院するときの
歩行自立を予測する基準点(カットオフ)が
算出されています。


Fujitaらによれば、大腿骨頸部骨折を
受傷された患者さんが入浴を自立する
カットオフは43点としています。


一方で、Tamuraらによれば、
退院時の歩行を自立するためには28点、
見守り(付き添うが介助なし)では21点が
カットオフとしています。


最終的にはバランスだけでなく、多方面から
評価を行い自立を検討するのですが、
参考になりそうですよね。


※カットオフの詳しい話をすると
 ややこしくなるので、ここでは
 避けたいと思います。


決して、この点数に及ばないから
100%自立できない、そんなことは
ありません。


このあたりは、リハビリ専門職による
評価を含めた情報の吟味が必要かと
思いますし、専門職として重要な
能力なのかなと思っています。

 

 

まとめると・・・
大腿骨を
骨折した後のリハビリにおいて、
レジスタンストレーニングとバランス練習は
外せないのかなと思います。


ただし、整形外科の医師の指示に合わせて
リハビリを行うことが重要です。


リハビリ専門職としても、単に
”効果があるからこのリハビリを行う”
のではなく、評価から時期を含めて
適切なリハビリを提案・提供することが
大事だと思います!

 

 

本コラムが少しでも皆さまの
お役に
立てましたら幸いです。


最後までお読みいただき
ありがとうございました。

 

 

(執筆日:2024年4月4日)
(執筆者:市川 貴章) 

 

 

参考文献
1)Pan, Rong-Jia et al.
“The effectiveness of optimal exercise-based
strategy for patients with hip fracture:
a systematic review and Bayesian network
meta-analysis.” Scientific reports 
vol. 13,1 10521. 29 Jun. 2023, doi:10.1038/
s41598-023-37509-y


2)Ramadi, Ailar et al.
“Progressive Resistance Training Program
Characteristics in Rehabilitation Programs
Following Hip Fracture: A Meta-Analysis and
Meta-Regression.” Geriatric orthopaedic surgery
& rehabilitation vol. 13 21514593221090799.
2 May. 2022, doi:10.1177/21514593221090799


3)Wu, Jia-Qi et al.
“Efficacy of balance training for
hip fracture patients: a meta-analysis of
randomized controlled trials.” 
Journal of orthopaedic surgery and research
 vol. 14,1 83. 20 Mar. 2019, doi:10.1186/
s13018-019-1125-x

4)Fujita, Takaaki et al.
“Balance Function Required for Bathing
Independence in Patients with Stroke and
Hip Fracture.” Progress in rehabilitation medicine 
vol. 8 20230028. 16 Sep. 2023, doi:10.2490/
prm.20230028

5)Tamura, Shuntaro et al. “Development of
Cut-off Values on the Berg Balance Scale for
Predicting Walking Independence in Older
Adults with Hip Fracture.” Progress
in rehabilitation medicine vol. 7 20220043. 27
Aug. 2022, doi:10.2490/prm.20220043

 

 

 

 

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