リハビリコラム
運動は転倒の恐怖感を減らす!?
脳卒中・整形外科疾患の自費リハビリ施設
ARUKONECT (アルコネクト)の代表
市川です。
”転ぶのが怖い”
”転びたくないから外に出るのがおっくう”
ということはありませんか?
一度転んだ経験があると、余計に
恐怖を感じるのではないでしょうか。
本コラムは運動は「転倒の恐怖感を
減らすために効果があるのか」を
解説します。
転倒する恐怖感を減らすには運動が
効果的なのか?
この疑問に答えたKendrickらの
論文を紹介したいと思います。
対象となったのは65歳以上で、
脳卒中を発症したことがなく、
股関節の骨折もしたことのない方でした。
運動は筋力トレーニングや有酸素運動、
バランス練習など様々な方法が
ありました。
結果は・・・
運動を行うと運動直後から転倒恐怖感を
少なくできるということがわかりました。
しかし何カ月も経過をみていくと
運動の効果が少なくなっていく
傾向があるということもわかりました。
2025年団塊の世代の方々が
75歳以上になります。
>>厚生労働省 我が国の人口について
厚生労働省の国民生活基礎調査に
よると、骨折・転倒は介護が必要になった
原因の上位を占めています(2位または3位)。
>>厚生労働省 2019年国民生活基礎調査
(Ⅳ介護状況のファイルを開くとご覧になれます)
以上のことを踏まえ、今後骨折・転倒に
よって介護が必要になる方がますます
増えてくることが予想されます。
転倒を減らすこと、そう単純なことでは
ないのかもしれませんが、重要な課題と
私は認識しています。
私の考えですが・・・
筋力やバランスなど体の状態が変化する
➔転倒への恐怖感が高まる
➔動く量が減る
➔より転倒しやすくなる
➔転倒する
以上のような流れで、実際に転倒が
起きているような気がしています。
以前、コラムに書きましたが、
運動には転倒を予防できる効果もあります。
>>転倒は運動で予防できる!?
今回の論文では運動は転倒の
恐怖感を減らす効果もあるという
ことがわかりました。
ただ効果が持続しないことからも
体の状態に応じ、運動を継続的に
行っていくことが必要なのかも
しれません。
皆さまの何かのお役に立てましたら
幸いです。
最後までお読みいただき
ありがとうございました。
(更新日:2022年6月14日)
(執筆者:市川 貴章)
参考文献
1)Kendrick D, Kumar A, Carpenter H,et al.
Exercise for reducing fear of falling inolder
people living in the community.
Cochrane Database Syst Rev.Nov 28 2014;(11)
:CD009848. doi:10.1002/14651858.CD009848.pub2
2)厚生労働省 国民生活基礎調査(令和元年)
(2022年3月20日閲覧)
3)厚生労働省 我が国の人口について
(2022年3月20日閲覧)