リハビリコラム
脳卒中患者さんの職場復帰と歩行速度の関係性
こんにちは!
歩行専門の自費リハビリ施設
ARUKONECT (アルコネクト)の代表
市川です。
本コラムでは脳卒中の患者さんの
職場復帰と歩行速度の関係を
解説したいと思います。
今回は職場復帰と歩行速度の関係性を
研究したJarvis らの論文をご紹介したいと
思います!
この論文では18歳~65歳の脳卒中の方を
対象としています。
脳卒中を患ったことのない方と比較し
歩行能力(歩行速度や代謝エネルギー
コストなど)にどのような違いがあるのか、
また職場復帰するための歩行能力を
調査しています。
※代謝エネルギーコストとは?
歩行の効率性をみる指標の1つです。
ここでは、職場復帰するための
歩行能力の結果をお伝えしたいと
思います!
結果は・・・
職場復帰している場合と
復帰していない場合を比較すると
歩行速度が影響していることが
わかりました。
目安となる歩行速度は0.93m/secであり、
歩行速度がゆっくりになるほど、
代謝エネルギーコストも上がる
ということもわかりました。
お仕事の内容やお体の状態にもよりますが
職場復帰ということを考えた場合に
0.93m/secというのが1つの指標に
なるかも知れません。
※歩行速度だけでは職場復帰の可否を
決められないことをお含みおき
下さい!
しかし!!
目安となる0.93m/secを目標に
速く歩く練習だけをすればいいのかと
というとそうではありません。
「速く」歩くために必要な要素を
考えていく必要があります。
例えば、歩行中の股関節の動きや
筋肉の使い方などです。
その要素を分析し、その結果に応じた
トレーニングを行ったり、場合によっては
杖や装具の使用など考えなくては
ならないこともあります。
本コラムでは脳卒中の患者さんの
職場復帰と歩行速度の関係性を
解説しました。
本コラムが皆さまの何かの
お役に立てましたら幸いです。
最後までお読みいただき
ありがとうございました。
(執筆日:2022年7月28日)
(更新日:2022年12月31日)
(執筆者:市川 貴章)
参考文献
1)Jarvis HL, Brown SJ, Price M, Butterworth C,
Groenevelt R, Jackson K, Walker L, Rees N,
Clayton A, Reeves ND.
Return to Employment After Stroke in
Young Adults: How Important Is the Speed and
Energy Cost of Walking?
Stroke. 2019 Nov;50(11):3198-3204. doi: 10.1161/
STROKEAHA.119.025614. Epub 2019 Sep 26.
PMID: 31554503; PMCID: PMC6824505.
脳卒中患者さんが行う障害物回避トレーニング
こんにちは!
脳卒中・整形外科疾患の自費リハビリ施設
ARUKONECT (アルコネクト)の代表
市川です。
本コラムでは脳卒中の患者さんの
障害物回避トレーニングを
解説したいと思います。
脳卒中の患者さんが障害物トレーニングを
行うとどのような効果があるのか?
その疑問に答えたのがMuroi らの論文です。
ここでの障害物回避トレーニングとは、
①トレッドミル上での歩行+
バーチャルリアリティー(VR)を用いた
歩行練習、障害物またぎ等を行うもの
②トレッドミル上での歩行+
実際の障害物またぎを行うもの
この2つの方法が採用され、
歩行速度、歩行距離などの歩行能力、
バランス能力などへの影響(効果)を
検証しています。
その結果・・・
通常の歩行練習グループと
障害物回避トレーニングを行った
グループを比較すると歩行能力や
バランス能力には差がなかったことが
わかりました。
ただ・・・
障害物回避トレーニングが効果がないと
いうことではありません。
なぜなら比較したグループも
歩行練習を行っています!
障害物回避トレーニングと
通常の歩行練習を比べて効果に
差がないかも知れないということです。
障害物回避トレーニングのみを行っている
研究が少ないため、研究数の増加とともに
結果が変わる可能性があると思います。
個人的には歩行中のバランス能力に
特化した検査にはどんな影響(効果)が
あるのか、またトレッドミルを使用しない
場合にはどんな影響(効果)があるのか
気になるところです。
ご自宅内の移動や外出時のために
障害物をまたいだり、避けたりする
練習はとても大切と感じています。
スムーズに障害物をまたいだり、
避けるようになるためだけでなく、
安全に行うために、手すりの設置、
段差の高さの調整などの環境を整備
するためにも大事な練習です。
本コラムでは脳卒中の患者さんの
障害物回避トレーニングについてを
解説しました。
本コラムが皆さまの何かの
お役に立てましたら幸いです。
最後までお読みいただき
ありがとうございました。
(更新日:2022年7月26日)
(執筆者:市川 貴章)
参考文献
1)Muroi D, Ohtera S, Kataoka Y, Banno M,
Tsujimoto Y, Tsujimoto H, Higuchi T.
Obstacle avoidance training for individuals
with stroke: a systematic review and meta-analysis.
BMJ Open. 2019 Dec 16;9(12):e028873.
doi: 10.1136/bmjopen-2018-028873.
PMID: 31848159; PMCID: PMC6937042.
PMID: 32811378.
パーキンソン病の患者さんが行う自主トレーニングの効果とは?
こんにちは!
脳卒中・整形外科疾患の自費リハビリ施設
ARUKONECT (アルコネクト)代表の
市川です。
本コラムではパーキンソン病の
患者さんが行う自主トレーニングを
解説したいと思います。
パーキンソン病の患者さんが
自主トレーニングを行うとどのような
効果が期待できるのでしょうか?
その疑問に答えたFlynnらの論文を
紹介したいと思います。
この論文では・・・
軽度・中等度の症状がある
パーキンソン病の患者さんを
対象としました。
自主トレーニングはリハビリの
専門職である理学療法士よって
処方され、主にバランス練習や
歩行練習が行われました。
自主トレーニングを行った結果、
バランス能力や歩行速度などに
どのような影響(効果)が
あったのかを検証しています。
その結果・・・
自主トレーニングを行うと
バランス能力、歩行速度の向上が
期待できることがわかりました。
※バランス能力への効果は振り幅が
狭いのですが、効果(量)が小さい点が
気になります。
さらに自主トレーニングと外来などで
行われるリハビリを比較すると、
その効果には差がないことがわかりました。
つまり・・・
バランス能力に関しては、
自主トレーニングを行うことで
外来などのリハビリと同じような
効果が得られる可能性がある
ということです。
(外来などのリハビリが効果がないという
ことではありません!)
自主トレーニングって大事ですね!!
今回の論文での自主トレーニングは、
リハビリ専門職である理学療法士が
患者さんに方法をお伝えしています。
転倒には十分に気をつけながら
お体にあったトレーニングを
ご自宅で行うことが大切なのかも
知れません。
現在、リハビリを行っている方でしたら、
スタッフにご相談いただくのも
良いかも知れません。
今回はパーキンソン病の患者さんの
自主トレーニングの効果を解説しました。
本コラムが皆さまの何かの参考に
なればとても嬉しく思います。
最後までお読みいただき
ありがとうございました。
(更新日:2022年7月25日)
(執筆者:市川 貴章)
参考文献
1)Flynn A, Allen NE, Dennis S,
Canning CG,Preston E.
Home-based prescribed exercise improves
balance-related activities in people with
Parkinson's disease and has benefits
similar to centre-based exercise:
a systematic review.
J Physiother. 2019 Oct;65(4):189-199. doi:
10.1016/j.jphys.2019.08.003.
Epub 2019 Sep 11. PMID: 31521554.
変形性膝関節症の患者さんは股関節の筋力トレーニングも大切!
脳卒中・整形外科疾患の自費リハビリ施設
ARUKONECT (アルコネクト)の代表
市川です。
本コラムでは変形性膝関節症の患者さんの
股関節の筋力トレーニングの重要性を
解説していきたいと思います。
股関節まわりには数多くの筋肉があります。
今回は股関節を外転させる筋肉の
トレーニングに焦点を当てたいと思います。
股関節の外転(がいてん)とは脚を外側に
開く動きで、主に骨盤や大腿骨の外側の
筋肉が働きます。
股関節外転に関わる筋肉を鍛えると
どのような効果が期待できるのか?
その疑問に答えたThomas らの
論文を紹介したいと思います。
この研究では・・・
股関節外転筋の筋力トレーニングを行う
前後で、痛みやWOMACの点数の変化を
みることで効果を検証しています。
WOMACとは・・・
世界的にも行われている検査で、
痛みやこわばり、日常生活の困難さなど
膝関節の状態を点数で表すことができます。
結果は・・・
股関節外転の筋力トレーニングを行うと
痛みやWOMACの点数を減らす効果が
あることがわかりました。
WOMACの点数が減らせたということは、
痛みやこわばり、日常生活の困難さなど
膝関節の状態を改善できる効果があった
ということです。
ただ・・・
WOMACの点数が減ったのは、
・痛み
・こわばり
・日常生活の困難さ
この3つのどれが改善したためなのか、
または全てが改善したためなのか
不明な点が気になるところです。
痛みが和らいだという結果もありますので
もしかしたらその影響がWOMACの
点数を下げることにつながったのかも
しれません。
股関節外転筋のトレーニングは、
自主トレーニングでも行える方法が
あります。
膝関節の状態によってもトレーニングの
方法が変わりますので、現在リハビリに
通われている方でしたら担当の方に
ご相談いただくのも良いかも知れません。
本コラムでは変形性膝関節症の患者さんが
股関節外転の筋力トレーニングを行うと
どのような効果があるのかを解説しました。
皆さまの何かのお役に立てましたら
とても嬉しいです。
最後までお読みいただき
ありがとうございました。
(更新日:2022年7月23日)
(執筆者:市川 貴章)
参考文献
1)Thomas DT, R S, Prabhakar AJ,
Dineshbhai PV,Eapen C.
Hip abductor strengthening in patients diagnosed
with knee osteoarthritis - a systematic review
and meta-analysis.
BMC Musculoskelet Disord. 2022Jun 29;23(1):
622. doi: 10.1186/s12891-022-05557-6.
PMID: 35768802; PMCID: PMC9241212.
脳卒中の患者さんの腕や手のリハビリ!ミラーセラピーの効果とは?
こんにちは!
歩行専門の自費リハビリ施設
ARUKONECT (アルコネクト)の代表
市川です。
本コラムでは脳卒中の患者さんの
腕や手のリハビリの1つ、
ミラーセラピーを解説したいと思います。
※ミラーセラピーとは?
鏡にマヒしていない手や腕を映し、
動かすことでマヒしている手や腕が
運動していることを錯覚させる方法です。
ちなみに手や腕だけではなく脚の
ミラーセラピーもあります!
そのミラーセラピー。
どのような効果が期待できるのでしょうか?
その疑問に答えたZengらの論文を
紹介したいと思います!
この論文では・・・
脳卒中の患者さんが対象でした。
①ミラーセラピーを行うグループ
②通常のリハビリを行うグループ
この2つのグループに分け、
ミラーセラピーのマヒしている腕や
手に対する効果を検証しています。
その結果・・・
ミラーセラピーを実施したグループは
(通常のリハビリを行うグループに比べ)
腕や手の動きが改善していました。
ミラーセラピーはマヒされている
腕や手の運動をイメージできることが
大切です。
私が患者さんにミラーセラピーを実施した
いただいたときの経験なのですが、
”動いている感覚がイメージできない”
ということがありました。
そこで、ミラーセラピー実施しながら、
電気刺激療法と振動刺激を行ったことも
あります。
ミラーセラピーに限りませんが、
患者さんの状態によって、他のリハビリを
組み合わせることも大切かなと思います。
本コラムでは脳卒中の患者さんの
リハビリの1つ、ミラーセラピーを
解説しました。
本コラムが皆さまの何かの
お役に立てましたら幸いです。
最後までお読みいただき
ありがとうございました。
(執筆日:2022年7月19日)
(更新日:2022年12月31日)
(執筆者:市川 貴章)
参考文献
1)Zeng W, Guo Y, Wu G, Liu X, Fang Q.
Mirror therapy for motor function of
the upper extremity in patients with stroke:
A meta-analysis. J Rehabil Med. 2018
Jan 10;50(1):8-15.
doi: 10.2340/16501977-2287.
PMID: 29077129.