歩行専門の自費リハビリ施設「アルコネクト 」

東京都北区東田端にある歩行専門の自費リハビリ施設「アルコネクト」

脳卒中(脳梗塞・脳出血・くも膜下出血) ・脊柱管狭窄症

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リハビリコラム

2023-03-25 17:16:00

パーキンソン病患者さんのすくみ足に対して効果的なリハビリとは?

 

こんにちは!
歩行専門の自費リハビリ施設
ARUKONECT (アルコネクト)の代表
市川です。

 

 

本コラムではパーキンソン病患者さんの
すくみ足に効果的なリハビリを
解説したいと思います。

 

 

1.すくみ足とは?

すくみ足とは、
”足がすくみ歩き始めの1歩目が
前に出せないこと”を言います。


zhangらによれば、すくみ足は
Hoehn&Yahrの重症度分類や
固縮、UPDRSパート2・パート3の
得点と関係すると言われています。


※Hoehn&Yahrの重症度分類
 パーキンソン病の進行度合いを
 表すものです。


※固縮
 筋肉のこわばりのことです。 
 例えば肘を伸ばそうとすると、
 全可動域を通じて抵抗感が
 感じられます。


※UPDRS
 (Unified Parkinson‘s Disease Rating Scale)

 パーキンソン病の症状を詳しく調べる検査です。
 全4パートから構成されます。 
 パート2は日常生活動作、パート3は
 運動症状を調べるものです。

 

 

2.リハビリの方法

アメリカ理学療法士協会のガイドラインや
Millerら、Tomilisonらのメタアナリシス・
システマティックレビューでは、


①視覚・聴覚のキューイング
②バランストレーニング
③歩行練習

主にこの3つの方法が推奨または、
効果があると報告されています。


メタアナリシスとは、
統計学的手法を
用いて、同じような研究の結果を
まとめる分析方法です。


このメタアナリシスの結果をみると、
統合した結果は効果があると
していますが、個々の結果をみると
効果があるとは言えない研究が
含まれています。


つまり、理学療法はすくみ足に
効果があるとされながらも、
理学療法の中身をみると、
効果があると言えないものも
あるということになります。

 

 

3.介入のポイント

Ehgoetzらによれば、すくみ足には
サブタイプ(分類)
があると言われています。


①運動
②不安
③注意


この3つのサブタイプに分けることができる
ため、病態に基づき、介入方法を変える
必要があると考えられます。


つまり、運動だけで効果が得られない
可能性があるということです。

 

 

本コラムでは、パーキンソン病患者さんの
すくみ足に対する効果的なリハビリ

解説しました。


本コラムが少しでも皆さまの
お役に
立てましたら幸いです。


最後までお読みいただき
ありがとうございました。

 

 

(執筆日:2023年3月25日)
(執筆者:市川 貴章) 

 

 

参考文献
1)Zhang F, Shi J, Duan Y, Cheng J, Li H,
Xuan T,Lv Y, Wang P, Li H. 
Clinical features and related factors of
freezing of gait in patients withParkinson's disease.
Brain Behav. 2021 Nov;11(11):e2359. 
doi: 10.1002/brb3.2359. Epub 2021 Sep 22. 
PMID: 34551452; PMCID: PMC8613420.

2) Osborne JA, Botkin R, Colon-Semenza C,
DeAngelis TR,Gallardo OG,
Kosakowski H, Martello J,
Pradhan S, Rafferty M,
Readinger JL, Whitt AL, Ellis TD.
Physical Therapist Management of Parkinson Disease:
A Clinical Practice Guideline From the American
Physical Therapy Association.
Phys
Ther. 2022 Apr 1;102(4):pzab302.
doi: 10.1093/ptj/pzab302. Erratum in:
Phys
Ther. 2022 Aug 1;102(8):
PMID: 34963139; PMCID: PMC9046970
.

3) Miller KJ, Suárez-Iglesias D, Seijo-Martínez M, Ayán C.
Physiotherapy for freezing of gait in Parkinson's disease
: a systematic review and meta-analysis.
Rev Neurol. 2020 Mar 1;70(5):161-170. Spanish,
English.
doi
: 10.33588/rn.7005.2019417. PMID: 32100276.

4)Tomlinson CL, Patel S, Meek C, Clarke CE, Stowe R,
Shah L,
Sackley
CM, Deane KH, Herd CP,
Wheatley K, Ives N.

Physiotherapy versus placebo or no intervention
in Parkinson's disease. Cochrane Database Syst Rev.
2012 Jul 11;(7):CD002817.doi:10.1002/14651858.
CD002817.pub2. Update in: Cochrane Database
Syst Rev. 2012;(8):CD002817. PMID: 22786482.


5) Ehgoetz Martens KA, Shine JM, Walton CC,
Georgiades MJ,
Gilat M,
Hall JM, Muller AJ, Szeto JYY, Lewis SJG.
Evidence for subtypes of freezing of gait
in Parkinson's disease.
Mov Disord. 2018 Jul;33(7):1174-1178.
doi: 10.1002/mds.27417. PMID: 30153383.

 

 

 

 

2023-03-06 14:48:00

パーキンソン病患者さんの腰痛と姿勢崩れ

 

こんにちは!
歩行専門の自費リハビリ施設
ARUKONECT (アルコネクト)の代表
市川です。

 

 

本コラムではパーキンソン病患者さんの
腰痛と姿勢崩れについてを解説したいと
思います。

 

 

今回はGeroinらの報告を
紹介したいと思います!

 

 

パーキンソン病患者さんの姿勢崩れに
代表的なものに3つあります。


①カンプトコルミア(体幹の前傾)
②ピサ症候群(体幹の左右への崩れ)
③アンテコリス(首の前屈)


※カンプトコルミアには
上部(胸椎で曲がっている)と
下部(腰椎で曲がっている)タイプの
2つがあります。


この研究では、
パーキンソン病の患者さん283名が
参加し、この3つの姿勢崩れに
ついて調査されました。

 

 

その結果・・・
腰痛と関連する要因は
姿勢の崩れのタイプによって
違うことが明らかにされています。


【カンプトコルミア(上部)の場合】
・ホーンヤールの分類(症状の重症度)と
 関係がある。

【ピサ症候群の場合】
・性別
・ホーンヤールの分類(症状の重症度)
 この2つの関係がある。

 

 

しかし・・・カンプトコルミア下部タイプや
アンテコリスなどでは
症状進行と
腰痛との関係性は見つかっていません。


腰痛には様々な要因があります。
Geroinらの研究報告を参考にしながらも
なぜ腰痛を生じているのか細かく分析する
必要があります。


例えば、関節なのか、筋肉なのか、
神経が原因なのか。


腰椎自体なのか、股関節なのか、
膝関節の問題なのか。


ふるいにかけ、問題を絞った後、その
原因に合うリハビリを行うことが
大切なのかなと感じています。

 

 

本コラムではパーキンソン病患者さんの
腰痛と姿勢崩れについてを解説しました。


本コラムが少しでも皆さまの
お役に
立てましたら幸いです。


最後までお読みいただき
ありがとうございました。

 

 

(執筆日:2023年3月6日)
(執筆者:市川 貴章) 

 

 

参考文献
1)Geroin C, Artusi CA, Gandolfi M, Zanolin E t al
Does the Degree of Trunk Bending Predict
Patient Disability, Motor Impairment,
Falls, and Back Pain in Parkinson's Disease?
Front Neurol. 2020 Mar 31;11:207.
doi: 10.3389/fneur.2020.00207.
PMID: 32296383; PMCID: PMC7136533.

 

 

 

 

2023-03-03 12:01:00

パーキンソン病患者さんの腰痛が及ぼす影響

 

こんにちは!
歩行専門の自費リハビリ施設
ARUKONECT (アルコネクト)の代表
市川です。

 

 

本コラムではパーキンソン病患者さんの
腰痛が及ぼす影響についてを解説したいと
思います。

 

 

今回はDuncan らの報告を
紹介したいと思います!

 

 

この研究では、
パーキンソン病の患者さん30名が
参加されました。

そして
・ RODQ:腰痛の日常生活への影響度
Revised Oswestry Disability Questionnaire


・ MDS-UPDRSⅢ:運動症状
Movement Disorder Society-Unified
Parkinson Disease Rating Scale PartⅢ


・PACE:活動量
Physical Activity Scale for the Elderly

・PDQ-39:生活の満足度
Parkinson Disease Questionnaire-39 

などが検査されました。

 

 

 

その結果・・・
①RODQ は MDS-UPDRSⅢと関係性がある

②RODQは立位での姿勢崩れと関係性がある。

③RODQは頸の固縮(筋肉のこわばり)と関係性がある。

④RODQはPASEと関係性がある。

⑤RODQはPDQ-39と関係性がある。


この5つのことが明らかになりました。

 

 

腰痛による日常生活への影響度は
活動量や生活の満足度とも
関係しているため、パーキンソン病の
患者さんの腰痛に対するリハビリは
重要といえそうです。


そのため・・・
①腰痛の原因
②リハビリで改善が期待できるのか

以上の2つをしっかりと判断することが
大切かなと思います。

 

 

本コラムではパーキンソン病患者さんの
腰痛が及ぼす影響を解説しました。


本コラムが少しでも皆さまの
お役に
立てましたら幸いです。


最後までお読みいただき
ありがとうございました。

 

 

(執筆日:2023年3月3日)
(執筆者:市川 貴章) 

 

 

参考文献
1)Duncan RP, Van Dillen LR, Garbutt JM,
Earhart GM, Perlmutter JS.
Low Back Pain--Related Disability in
Parkinson Disease: Impact on Functional Mobility,
Physical Activity, and Quality of Life.
Phys Ther. 2019 Oct 28;99(10):1346-1353.
doi: 10.1093/ptj/pzz094.
PMID: 31343700; PMCID: PMC6821152.

 

 

 

 

2023-01-24 16:22:00

パーキンソン病患者さんの二重課題中の姿勢安定性

 

こんにちは!
歩行専門の自費リハビリ施設
ARUKONECT (アルコネクト)の代表
市川です。

 

 

本コラムではパーキンソン病患者さんの
二重課題での姿勢安定性を解説したいと
思います。

 

 

今回はMorenillaらの報告を
紹介したいと思います!

 

 

この研究では、
パーキンソン病の患者さんと
パーキンソン病ではない方が
参加しています。


さらに・・・
Ⓐシングルタスク①
(立つ+目を開ける)


Ⓑシングルタスク②
(立つ+目を閉じる)

Ⓒデュアルタスク①
(立つ+目を開ける+認知課題)

Ⓓデュアルタスク①
(立つ+目を閉じる+認知課題)


Ⓐ〜Ⓓのグループに分けられ、
姿勢の安定性が調査されました。

※デュアルタスク(二重課題)とは?
運動課題と認知課題を一緒に行うことです。
例えば、計算を行いながら歩くのも、
デュアルタスク(二重課題)です。



※認知課題とは?
イヤホンで話しを聞き、あらかじめ
決めておいた単語がいくつ出てくるのか
覚えておき答える課題です。

 

 

その結果・・・

パーキンソン病の患者さんは
(パーキンソン病ではない方に比べて)
姿勢の動揺が大きいことがわかりました。


さらに、
パーキンソン病ではない方は、
(立つ+目を閉じる+認知課題)で
認知課題の正答率が下がったのに対し、


パーキンソン病の患者さんは、
(立つ+目を開ける+認知課題)で
認知課題の正答率が下がることが
わかりました。


つまり、パーキンソン病の患者さんは
課題を行っているときは、姿勢の安定を
保つことを優先にしていると言えます。

 

 

課題を行っているときと行わないときの
姿勢の変化を観察したり、その動揺を
確認することも必要なのかも知れません。


リハビリの戦略自体も変えなくては
ならないのかなと感じています。

 

本コラムではパーキンソン病患者さんの
二重課題中での姿勢安定性を解説しました。


本コラムが少しでも皆さまの
お役に
立てましたら幸いです。


最後までお読みいただき
ありがとうございました。

 

 

(執筆日:2023年1月24日)
(執筆者:市川 貴章) 

 

 

参考文献
1) Morenilla L, Márquez G, Sánchez JA, Bello O,
López-Alonso V, Fernández-Lago H,
Fernández-Del-Olmo MÁ.
Postural Stability and Cognitive Performanceof
Subjects With Parkinson's Disease During
a Dual-Task in an Upright Stance.
Front Psychol. 2020 Jul 29;11:1256.
doi: 10.3389/fpsyg.2020.01256.
PMID: 32903649; PMCID: PMC7438725.

 

 

 

 

2023-01-07 22:39:00

パーキンソン病患者さんのバランストレーニング〜リズミカルな 聴覚刺激の併用〜

 

こんにちは!
歩行専門の自費リハビリ施設
ARUKONECT (アルコネクト)の代表
市川です。

 

 

本コラムではパーキンソン病患者さんの
バランストレーニング〜リズミカルな
聴覚刺激との併用を解説したいと
思います。

 

 

今回はTamineらの報告を
紹介したいと思います!

 

 

この研究では、
パーキンソン病の患者さんが
154名が参加しました。


①リズミカルな聴覚刺激(RAS)に
 合わせたバランストレーニング

②バランストレーニング

③一般的な教育プログラム


①〜③のグループに分けられ、
それぞれの効果が調査されました。


※リズミカルな聴覚刺激(RAS)とは?
 メトロームや音楽に合わせて
 歩行練習などを行う方法です。
 Rhythmic Auditory Stimulation
  (RAS)と呼ばれます。

 この研究ではメトロームのリズムを
 使用しています。



※一般的な教育プログラムとは?
 この研究ではパーキンソン病、
 転倒予防に関わる知識などの
 提供が行われています。

 

 

その結果・・・

リズミカルな聴覚刺激を併用した
バランストレーニングを行ったグループは、
バランス能力向上、転倒恐怖感の軽減、
歩行能力、日常生活動作、
運動症状が
改善されました。


※日常生活動作と運動症状は、
Unified Parkinson's disease Rating Scale 
(UPDRS)と言われるパーキンソン病
患者さんの症状を詳しく見るために
開発された検査が用いられています。


ちなみに・・・
バランストレーニングのみを行った
グループでもバランス能力改善が
得られたと報告しています。

 

 

実際にリハビリで行うことを想定すると、
聴覚刺激の種類、テンポなどで
効果に差があるのかが気になるところです。


バランストレーニング自体の効果も
あるかと思いますので、リズミカルな
聴覚刺激を追加し行うのかについては、
リハビリの経過をきちんと追う必要が
あるなと感じました。

 

 

本コラムではパーキンソン病患者さんの
バランストレーニング〜リズミカルな
聴覚刺激の併用〜を解説しました。



本コラムが少しでも皆さまの
お役に
立てましたら幸いです。


最後までお読みいただき
ありがとうございました。

 

 

(執筆日:2023年1月7日)
(執筆者:市川 貴章) 

 

 

参考文献

1) Capato TTC, de Vries NM, IntHout J,
Barbosa ER, Nonnekes J, Bloem BR.
Multimodal Balance Training Supported by
Rhythmical Auditory Stimuli in Parkinson's Disease:
A Randomized Clinical Trial. J Parkinsons Dis.
2020;10(1):333-346. doi: 10.3233/JPD-191752.
PMID: 31884492; PMCID: PMC7029328.

 

 

 

 

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