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リハビリコラム

2024-04-04 16:22:00

どうする?大腿骨を骨折した後のリハビリ~効果的な方法とは~

 

ARUKONECT (アルコネクト)
代表の市川です!

 

 

骨折は大腿骨のどの部分でも
起きる可能性はありますが、今回は
大腿骨近位部骨折(つけ根に近い部分)を
中心にお話できればと思います。


以前のコラムで、大腿骨骨折後の
機能回復についてをコラムで
説明しました。

大腿骨を骨折するとどうなる?
 ~機能回復の予測~


今回のコラムはリハビリがテーマです!

 

 

1.効果的なリハビリとは?

Pan, Rong-Jia らは股関節機能・
日常生活動作・歩行などの項目に
分けて運動ベースのリハビリに
おいて、どれが有効なのかを
検証しています。

1)股関節機能
レジスタンストレーニング(筋トレ)や
バランス練習が有効であったと
しています。


2)日常生活動作
バランス練習や体重負荷練習が
有効であったとしています。


3)その他
バランスに対してはバランス練習、
歩行能力に対してはレジスタンス
トレーニング(筋トレ)が有効と
しています。


私の解釈としては、大腿骨を
骨折した後のリハビリにおいて、
レジスタンストレーニング
バランス練習の2つは必須だと
いうことかなと思っています。

 

 

ここから、特におすすめである
レジスタンストレーニング(筋トレ)と
バランス練習を説明します!

 

 

2.レジスタンストレーニング

Ramadi, Ailar らによって
レジスタンストレーニングの効果に
ついて検討されています。


その結果、筋力のみならず、
歩行速度を向上させる効果
期待できることが報告されています。


特にトレーニングの負荷は、
重要な要素であったとしています。


「やっているのに効果が・・・」
という方は負荷が適切なのか
チェックが必要ですね。

 

 

 3.バランス練習

Wu, Jia-Qi らによると、
身体機能、バランス、歩行、
日常生活動作など幅広い範囲で
効果があるとしています。


バランス能力は、日常生活の動作を
行うにあたってとても重要な
要素の1つです。


そのバランス能力を検査する方法は
多くありますが、その1つに
ベルグバランススケール(BBS)があります。


この検査を行うとバランス能力を
点数化して表すことができます。
56点満点で、点数が高いほど
バランス能力が高いと判断します。


そんなBBSですが、
入浴自立や病院を退院するときの
歩行自立を予測する基準点(カットオフ)が
算出されています。


Fujitaらによれば、大腿骨頸部骨折を
受傷された患者さんが入浴を自立する
カットオフは43点としています。


一方で、Tamuraらによれば、
退院時の歩行を自立するためには28点、
見守り(付き添うが介助なし)では21点が
カットオフとしています。


最終的にはバランスだけでなく、多方面から
評価を行い自立を検討するのですが、
参考になりそうですよね。


※カットオフの詳しい話をすると
 ややこしくなるので、ここでは
 避けたいと思います。


決して、この点数に及ばないから
100%自立できない、そんなことは
ありません。


このあたりは、リハビリ専門職による
評価を含めた情報の吟味が必要かと
思いますし、専門職として重要な
能力なのかなと思っています。

 

 

まとめると・・・
大腿骨を
骨折した後のリハビリにおいて、
レジスタンストレーニングとバランス練習は
外せないのかなと思います。


ただし、整形外科の医師の指示に合わせて
リハビリを行うことが重要です。


リハビリ専門職としても、単に
”効果があるからこのリハビリを行う”
のではなく、評価から時期を含めて
適切なリハビリを提案・提供することが
大事だと思います!

 

 

本コラムが少しでも皆さまの
お役に
立てましたら幸いです。


最後までお読みいただき
ありがとうございました。

 

 

(執筆日:2024年4月4日)
(執筆者:市川 貴章) 

 

 

参考文献
1)Pan, Rong-Jia et al.
“The effectiveness of optimal exercise-based
strategy for patients with hip fracture:
a systematic review and Bayesian network
meta-analysis.” Scientific reports 
vol. 13,1 10521. 29 Jun. 2023, doi:10.1038/
s41598-023-37509-y


2)Ramadi, Ailar et al.
“Progressive Resistance Training Program
Characteristics in Rehabilitation Programs
Following Hip Fracture: A Meta-Analysis and
Meta-Regression.” Geriatric orthopaedic surgery
& rehabilitation vol. 13 21514593221090799.
2 May. 2022, doi:10.1177/21514593221090799


3)Wu, Jia-Qi et al.
“Efficacy of balance training for
hip fracture patients: a meta-analysis of
randomized controlled trials.” 
Journal of orthopaedic surgery and research
 vol. 14,1 83. 20 Mar. 2019, doi:10.1186/
s13018-019-1125-x

4)Fujita, Takaaki et al.
“Balance Function Required for Bathing
Independence in Patients with Stroke and
Hip Fracture.” Progress in rehabilitation medicine 
vol. 8 20230028. 16 Sep. 2023, doi:10.2490/
prm.20230028

5)Tamura, Shuntaro et al. “Development of
Cut-off Values on the Berg Balance Scale for
Predicting Walking Independence in Older
Adults with Hip Fracture.” Progress
in rehabilitation medicine vol. 7 20220043. 27
Aug. 2022, doi:10.2490/prm.20220043

 

 

 

 

2024-04-01 14:52:00

大腿骨を骨折するとどうなる?~機能回復の予測~

 

ARUKONECT (アルコネクト)
代表の市川です!

 

 

本コラムでは、大腿骨を骨折した後の
機能回復の予測を解説します。

 

 

骨折はどの部分で生じる可能性はありますが、
今回は大腿骨近位部骨折(つけ根に近い部分)に
焦点を当てたいと思います。


大腿骨近位部骨折は、大腿骨頸部骨折と
大腿骨転子部骨折に分けられます。
そのほとんどは、転倒や転落などが
きっかけになり、ガイドラインによれば、
全国で17万人の方が受傷したと
公表されています。


データ自体が10年以上前であるため、
現在と変わっているのかも知れませんが、
私としては多いなと感じました。

 

 

回復の予測

Beckmannらが骨折前の状態に
回復した方の割合を調査しています。

・日常生活動作   31%
・移動能力     34%
・階段       41%


この調査は骨折後1年の経過を
追っていますが、大腿骨を骨折すると、
日常生活に関わる動作に影響が
あり、残存する可能性があることが
わかります。


そして機能回復に影響がある要因として、
①高齢であること
②認知症を患っていること
③骨折以外に病気を患っていること
 (チャールソン併存疾患指数>2)
などを挙げています。

 

 

一方、Ouelletらによれば、
日常生活動作の回復には、
①認知症を患っていること
②せん妄があること
③ヘモグロビン値が低いこと


移動能力の回復には、
①せん妄があること
②服薬数(抗不安薬や抗うつ薬など)
③高齢であること
などが影響すると報告しています。

 

 

さらにVergaraらは、身の回りの動作
(BADL)と買い物や家事などの
応用的な動作(IADL)に分けて
検討しています。


その結果、年齢、脳血管疾患(脳卒中など)、
骨折前の股関節機能・痛みなどが回復に
影響すると
報告しています。

 

 

このように骨折後の機能回復に関しては、
様々な要因が絡んできます。


ここで注意したいのは、
あくまで”予測である”
という点です。


すべての患者さんが全く同じ経過を
辿るということはありませんし、
回復に関係する要因に当てはまるから
回復しないということも
ありません。


リハビリの効果については、ガイドラインに
合わせて、システマティックレビューや
介入研究などで確認が必要だなと
思います。


リハビリについては、改めてコ
ラムで
書く予定です。

 

 

この記事を書いていて、
「そもそも転倒・転落を予防できれば
骨折の患者さんの人数を減らせるのでは?」
とふと思いました。


調べてみると骨折の前兆として、
日常生活動作能力の低下があると
Ravensbergenの報告がありました。


しかし、どのように検出し、課題を
解決していくのかは大きな問題だと
感じました。

 

 

本コラムが少しでも皆さまの
お役に
立てましたら幸いです。


最後までお読みいただき
ありがとうございました。

 

 

(執筆日:2024年4月1日)
(執筆者:市川 貴章) 

 

 

参考文献
1)日本整形外科学会診療ガイドライン委員会,
他(編)・日本整形外科学会,他(監):
大腿骨頸部骨折/転子部骨折の疫学-
骨折型別発生率の変化,大腿骨頸部骨折/
転子部骨折診療ガイドライン,改訂第3版,2021


2)Beckmann, Monica et al.
“Recovery and prediction of physical function
1 year following hip fracture.
” Physiotherapy research international :
the journal for researchers and clinicians
in physical therapy vol. 27,3 (2022):
e1947. doi:10.1002/pri.1947

3)Ouellet, Jennifer A et al.
“Functional Outcomes After Hip Fracture
in Independent Community-Dwelling Patients.”
 
Journal of the American Geriatrics Society 
vol. 67,7 (2019): 1386-1392.
doi:10.1111/jgs.15870


4)Vergara, Itziar et al.
“Factors related to functional prognosis
in elderly patients after accidental
hip fractures: a prospective cohort study.
” BMC geriatrics vol. 14 124. 26 Nov. 2014,
doi:10.1186/1471-2318-14-124
 

5)Ravensbergen, Willeke M et al.
“Declining daily functioning as a prelude
to a hip fracture in older persons-
an individual patient data meta-analysis.
” Age and ageing vol. 51,1 (2022):
afab253. doi:10.1093/ageing/afab253

 

 

 

 

2022-07-18 17:20:00

大腿骨骨折後のリハビリ!バランストレーニングの効果とは

 

歩行専門の自費リハビリ施設
ARUKONECT (アルコネクト)の代表
市川です。

 

 

私が病院に勤めていた頃、大腿骨を骨折し
手術された方のリハビリを担当していました。


手術後の経過をみながら、医師と相談し
関節可動域運動、筋力トレーニング、
バランストレーニング、歩行練習などを
行っていました。


※関節可動域運動とは・・・
関節が固まらないように動かす
運動です。

 

 

では股関節を骨折し手術された患者さんが
バランストレーニングを行うと、
どのような効果が期待できるのでしょうか?

 

 

Wuらによれば・・・
バランストレーニング
を行うと、
身体機能や歩行速度、脚の筋力
などの向上が得られることが

報告されています。


ただバランストレーニングを行ったグループは、
純粋にバランストレーニングだけではなく、
歩行練習、起立練習、筋力トレーニングなど
他のリハビリメニューと組み合わせている
研究が含まれている点に注意が
必要です。

 

 

手術されたばかりの頃は、
痛みが強いため、その点を踏まえて
リハビリメニューも変更することも
大切だなと感じています。

 

 

本コラムでは股関節骨折後の
バランストレーニングの効果を解説しました。

 

 

皆さまの何かのお役に立てましたら
とても嬉しいです。
最後までお読みいただき
ありがとうございました。

 

 

(更新日:2022年7月18日)
(更新日:2023年5月20日)
(執筆者:市川 貴章) 

 

 

参考文献
1)Wu JQ, Mao LB, Wu J.
Efficacy of balance training for hip fracture patients:
a meta-analysis of randomized controlled trials.
J Orthop Surg Res. 2019 Mar 20;14(1):83.
doi: 10.1186/s13018-019-1125-x.
PMID: 30894205; PMCID: PMC6425661. 

 

 

 

 

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2024.12.06 Friday