リハビリコラム
膝の痛みと腰痛との関係性
こんにちは!
歩行専門の自費リハビリ施設
ARUKONECT (アルコネクト)の代表
市川です。
本コラムでは変形性膝関節症による
膝の痛みと腰痛との関係性を
解説したいと思います。
今回はiijimaらの報告を
紹介したいと思います!
この研究では、
変形性膝関節症の患者さん
296名が参加されました。
そして、
①腰痛のあるグループ
②腰痛のないグループ
この2つに分けられ、調査されました。
その結果・・・
膝の痛みの強さと腰痛は関係することが
明らかになりました。
さらに、膝の痛みに腰痛が加わることに
よって日常生活への影響(障害)が
大きくなったとしています。
膝の痛みと腰痛それぞれ原因に対応した
リハビリが必要ということなのかも
知れません。
またWolfeによれば、変形性膝関節の
患者さんにおいて約50%に背部痛が
合併すると報告しています。
それを踏まえると、膝の痛みがあるから
膝関節だけに注目するのではなく、
腰痛のような合併しやすい症状を
知り、対応することが必要であると
言えます。
本コラムでは変形性膝関節症の患者さんの
膝の痛みと腰痛の関係性を解説しました。
本コラムが少しでも皆さまの
お役に立てましたら幸いです。
最後までお読みいただき
ありがとうございました。
(執筆日:2023年3月10日)
(執筆者:市川 貴章)
参考文献
1)Iijima H, Suzuki Y, Aoyama T, Takahashi M.
Interaction between low back pain and knee pain
contributes to disability level in individuals with
knee osteoarthritis: a cross-sectional study.
Osteoarthritis Cartilage. 2018 Oct;26(10):1319-1325.
doi: 10.1016/j.joca.2018.06.012.
Epub 2018 Jul 9. PMID: 30003966.
2)Wolfe F.
Determinants of WOMAC function, pain and
stiffness scores: evidence for the role of
low back pain, symptom counts, fatigue and
depression in osteoarthritis,
rheumatoid arthritis and fibromyalgia.
Rheumatology (Oxford). 1999 Apr;38(4):355-61.
doi: 10.1093/rheumatology/38.4.355.
PMID: 10378714.
人工膝関節置換術後の患者さんの歩行能力と膝関節伸展筋力
こんにちは!
歩行専門の自費リハビリ施設
ARUKONECT (アルコネクト)の代表
市川です!
今回は人工膝関節術後の患者さんの
歩行能力と膝伸展筋力を解説したいと
思います。
※膝伸展とは?
ひざをピ―ンと伸ばすことです。
今回はIwataらの論文を紹介したいと
思います!
この研究には186名の人口膝関節置換術を
受けられた患者さんが参加しました。
そして、
・膝関節の伸展筋力
・膝関節の伸展速度
・歩行速度
・Timed up go Test(TUG)
※TUGとは?
歩行能力を検査する方法の1つです。
①椅子から立ち上がる
②3m離れたコーンを回る
③椅子に座る
この①~③にかかった時間を計測します。
その結果・・・
【歩行速度】
①手術した側の膝関節伸展速度
②手術していない膝関節の伸展筋力
③膝の痛み
以上の3つが歩行速度と関係があることが
わかっています。
【TUG】
手術した側の膝関節伸展速度が
TUGの結果と関係があることが
わかっています。
【まとめ】
つまり、歩行速度もTUGの結果にも
膝関節の伸展速度が関係があるという
ことです。
膝関節伸展速度を上げるための
トレーニングの方法については
吟味する必要がありますが、
筋力だけでなく、速度にも注目が
必要だなと感じました。
本コラムでは、人工膝関節置換術後の
患者さんの歩行能力と膝関節伸展を
解説しました!
本コラムが皆さまの何かの
お役に立てましたら幸いです。
最後までお読みいただき
ありがとうございました。
(執筆日:2023年1月16日)
(執筆者:市川 貴章)
参考文献
1)Iwata A, Sano Y, Wanaka H, Kobayashi S,
Okamoto K, Yamahara J, Inaba M, Konishi Y,
Inoue J, Kanayama A, Yamamoto S, Iwata H.
Maximum knee extension velocity without
external load is a stronger determinant of
gait function than quadriceps strength
in the early postoperative period following
total knee arthroplasty. PLoS One.
2022 Nov 22;17(11):e0276219.
doi: 10.1371/journal.pone.0276219.
PMID: 36413535; PMCID: PMC9681062.
変形性膝関節症の患者さんは股関節の筋力トレーニングも大切!
脳卒中・整形外科疾患の自費リハビリ施設
ARUKONECT (アルコネクト)の代表
市川です。
本コラムでは変形性膝関節症の患者さんの
股関節の筋力トレーニングの重要性を
解説していきたいと思います。
股関節まわりには数多くの筋肉があります。
今回は股関節を外転させる筋肉の
トレーニングに焦点を当てたいと思います。
股関節の外転(がいてん)とは脚を外側に
開く動きで、主に骨盤や大腿骨の外側の
筋肉が働きます。
股関節外転に関わる筋肉を鍛えると
どのような効果が期待できるのか?
その疑問に答えたThomas らの
論文を紹介したいと思います。
この研究では・・・
股関節外転筋の筋力トレーニングを行う
前後で、痛みやWOMACの点数の変化を
みることで効果を検証しています。
WOMACとは・・・
世界的にも行われている検査で、
痛みやこわばり、日常生活の困難さなど
膝関節の状態を点数で表すことができます。
結果は・・・
股関節外転の筋力トレーニングを行うと
痛みやWOMACの点数を減らす効果が
あることがわかりました。
WOMACの点数が減らせたということは、
痛みやこわばり、日常生活の困難さなど
膝関節の状態を改善できる効果があった
ということです。
ただ・・・
WOMACの点数が減ったのは、
・痛み
・こわばり
・日常生活の困難さ
この3つのどれが改善したためなのか、
または全てが改善したためなのか
不明な点が気になるところです。
痛みが和らいだという結果もありますので
もしかしたらその影響がWOMACの
点数を下げることにつながったのかも
しれません。
股関節外転筋のトレーニングは、
自主トレーニングでも行える方法が
あります。
膝関節の状態によってもトレーニングの
方法が変わりますので、現在リハビリに
通われている方でしたら担当の方に
ご相談いただくのも良いかも知れません。
本コラムでは変形性膝関節症の患者さんが
股関節外転の筋力トレーニングを行うと
どのような効果があるのかを解説しました。
皆さまの何かのお役に立てましたら
とても嬉しいです。
最後までお読みいただき
ありがとうございました。
(更新日:2022年7月23日)
(執筆者:市川 貴章)
参考文献
1)Thomas DT, R S, Prabhakar AJ,
Dineshbhai PV,Eapen C.
Hip abductor strengthening in patients diagnosed
with knee osteoarthritis - a systematic review
and meta-analysis.
BMC Musculoskelet Disord. 2022Jun 29;23(1):
622. doi: 10.1186/s12891-022-05557-6.
PMID: 35768802; PMCID: PMC9241212.
変形性膝関節症に対するテーピングの効果
こんにちは!
歩行専門の自費リハビリ施設
ARUKONECT (アルコネクト)の代表
市川です。
今回のコラムでは変形性膝関節症に対する
テーピングの効果を解説したいと思います。
テーピングをしたことのない方でも
スポーツ選手が関節のまわりにテープを
グルグルと巻いているのを見たことが
ある方はいるのではないでしょうか?
テーピング用のテープはドラッグストア
などにも売っています。
スポーツ現場で使われるテーピング。
変形性膝関節症の症状にも効果が
あるのでしょうか?
今回はMAOらの論文を
紹介したいと思います。
この研究では・・・
変形性膝関節症の患者さんや
膝を手術した患者さんが
参加しました。
テーピングを行うことで
痛み、ひざの筋力、階段の昇り降り、
歩行能力、関節の可動域などに
どのような影響があるのかを
調査しています。
その結果・・・
テーピングは変形性膝関節症の
患者さんの痛みや筋力を改善する効果が
あることがわかりました。
テーピングする場所、テープの幅や
伸縮性の有無などテープの性質も
大切だなと感じています。
もし興味をもたれた方がいましたら、
担当スタッフにご相談いただくのも
良いかも知れません。
今回は変形性膝関節症に対する
テーピングの効果を解説しました。
今回のコラムが少しでも皆さまの
お役に立てましたら嬉しいです。
最後までお読みくださり
ありがとうございました。
(執筆日:2022年6月16日)
(更新日:2023年1月23日)
(執筆者:市川 貴章)
参考文献
1) Mao HY, Hu MT, Yen YY, Lan SJ, Lee SD.
Kinesio Taping Relieves Pain and Improves
IsokineticNot Isometric Muscle Strength in Patients
with Knee OsteoarthritisA Systematic Review
and Meta-Analysis.Int J Environ Res Public Health.
10 04 2021;18(19)doi:10.3390/ijerph181910440
変形性股関節症の患者さんが行う運動の効果とは?
こんにちは!
脳卒中・整形外科疾患の自費リハビリ施設
ARUKONECT (アルコネクト)の代表
市川です。
本日は変形性股関節の患者さんが
行う運動の効果を解説したいと
思います。
変形性股関節症は股関節に痛みが生じ、
進行すると骨切り術や人工股関節置換術
などの手術をしなくてはならない場合も
あります。
私が病院に勤めていた頃、変形性股関節症が
進行し手術された方を担当していました。
診断されてからの経過年数が長い方が多く、
当時はその経過を踏まえつつ、
リハビリの内容を考えていました。
では変形性股関節の患者さんが行う
運動にはどのような効果が
あるのでしょうか?
この疑問に答えたFransenらの
論文を紹介したいと思います。
この研究での運動とは関節可動域運動、
筋力トレーニング、有酸素運動などの
ことです。
・痛みの強さ
・日常生活の困難さ
・生活の質(生活の満足度)
などの運動前後での変化をみることで
運動の効果を調査しています。
結果は・・・
運動を行うと痛みや日常生活の
困難さは、運動直後から改善がみられ、
その効果は3ヶ月~6ヶ月は持続する
ということがわかりました。
実際に運動を行う時には、
お体の状態、目標やご希望を踏まえ、
どのような運動をどのぐらいを
行うのかを吟味することが大切です!
変形性股関節症は進行の度合いが
関係しますので、運動のみでは
なかなか効果が得られないことも
あるかも知れません。
クリニックや病院などに通院されて
いる方でしたら、担当スタッフに
相談するのも良いかも知れません。
本コラムでは変形性股関節症の患者さんが
行う運動の効果を解説しました。
皆さまの何かのお役に立てましたら
とても嬉しいです。
最後までお読みいただき
ありがとうございました。
(更新日:2022年10月25日)
(執筆者:市川 貴章)
参考文献
1) Fransen M, McConnell S,
Hernandez-Molina G,Reichenbach S.
Exercise for osteoarthritis of the hip.
Cochrane Database Syst Rev. 2014 Apr 22;(4):
CD007912. doi: 10.1002/14651858.
CD007912.pub2.
PMID: 24756895.