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リハビリコラム

2022-11-15 16:48:00

脳梗塞患者さんの痙縮と脳画像での予測因子

 

こんにちは!
歩行専門の自費リハビリ施設
ARUKONECT (アルコネクト)の代表
市川です!

 

 

脳卒中の方の悩まれる症状の1つ、痙縮。
筋肉がこわばってしまったり、腕や脚が
突っ張ってしまう症状がみられます。


今回は、この痙縮と脳画像での予測因子を
解説していきたいと思います。

  

 

Liらの虚血性脳卒中(脳梗塞)の患者さん
103人の脳画像(MRI)データを用いた
研究があります。


痙縮がみられる方には痙縮がみられない方に
比べて、病変の全容積や運動ネットワーク
構造の病変の容積が大きかったとしています。


※運動ネットワーク構造とは・・・
錐体路、運動野など運動の指令に
関わる部位のことです。


また0.5cm未満もしくは3cm以上を
カットオフ値(基準値)としています。


つまり痙縮は病変が0.5cm未満だと
発症しにくく、3cm以上だと
発症が予測されるということです。

 

 

ただし・・・
0.5cm未満の病変の患者さんの中には、
痙縮を発症された方も含まれており、
3cm以上の病変の患者さんの中にも
痙縮を発症されていない方も
含まれています。


カットオフ値が出てきたとき、
まず確認したいのが、”感度・特異度”です。
いずれも検査がどの程度正確に
判断できるのか示す指標です。


※厳密には的中率や尤度比なども
 見た方が良いです。


0.5cm未満をカットオフ値とした場合、
感度が低い(43.9%)のです。
つまり・・・偽陰性に要注意です。


そのためには、病変の大きさのみに
注目するのではなく、他の検査や
予測となる根拠が必要になります。


例えば・・・
筋緊張(筋肉のこわばる程度)や
腱反射などの身体の検査です。

 

 

さらに・・・
Liらの研究は脳梗塞の患者さんに
限定している点、小脳や脳幹の
脳梗塞の方は含まれていないことに
注意が必要です!

 

 

本コラムでは、脳梗塞の患者さんの
痙縮と脳画像での予測因子を
解説しました。


本コラムが皆さまの何かの
お役に立てましたら幸いです。


最後までお読みいただき
ありがとうございました。

 

 

(更新日:2022年11月15日)
(執筆者:市川 貴章) 

 

 

参考文献
1)Ri S, Glaess-Leistner S, Wissel J.
Early brain imaging predictors of
post-stroke spasticity. J Rehabil Med.
2021 Mar 22;53(3):jrm00169.
doi: 10.2340/16501977-2803.
PMID: 33616193; PMCID: PMC8814863.

 

 

 

 

2022-11-14 14:36:00

脳卒中患者さんの痙縮に対する電気刺激療法

 

こんにちは!
歩行専門の自費リハビリ施設
ARUKONECT (アルコネクト)の代表
市川です!

 

 

脳卒中の患者さんの症状の1つ、痙縮。
筋肉がこわばってしまったり、

腕や脚が突っ張ってしまう症状で、
運動機能にも影響があるとされています。


>>慢性期脳卒中患者さんの痙縮と
  運動機能の関連

  

 

1.ガイドライン

痙縮への対処方法として日本脳卒中学会の
脳卒中治療ガイドライン2021には、

・ボツリヌス毒素療法
・装具療法
・経皮的末梢神経電気刺激(TENS)
・髄腔内バクロフェンポンプ療法
などが推奨されています。


アメリカの心臓/脳卒中学会の
ガイドラインにおいては、
・ボツリヌス毒素
・NMES(神経筋電気刺激)や振動刺激
・髄腔内バクロフェン療法
などが推奨されています。


痙縮に対する振動刺激の効果は
以前コラムで解説しました!

>>脳卒中の患者さんの痙縮に
対するリハビリ!振動刺激療法とは?


今回は”電気刺激”に焦点を当てて
解説していきたいと思います!

 

 

2.システマティックレビューとメタ分析の結果

システマティックレビューとは・・・
似た研究を集め
統合し分析を行うものです。


メタ分析とは・・・
似た研究を集め、統合し分析を
行うところまでは同じなのですが、
統計学的な手法を用いて解析する点が
異なります。

 

 

Steinらによれば・・・
NMES(電気刺激)と他のリハビリを
組み合わせることで痙縮の軽減が
図れるとしています。


またLinらによれば・・・
TENS(電気刺激)を行うことで
足関節の痙縮の軽減が図れると
しています。

 

 

3.まとめ

電気刺激療法を行うときのポイント、
それはパラメータと刺激部位を
適切に設定することです。


パラメータとは・・・
電気の強さ・実施時間などのことです。


パラメータを適切に設定するには、
システマティックレビューや
メタ分析の結果をより詳細に
吟味しなくてはなりません。


1つの結果に頼らず、様々な論文の
結果を踏まえた上でご利用者様と
実施の検討を行うことが大事だと
考えています!

 

 

本コラムでは、脳卒中患者さんの
痙縮に対する電気刺激療法を
解説しました。


本コラムが皆さまの何かの
お役に立てましたら幸いです。


最後までお読みいただき
ありがとうございました。

 

 

(更新日:2022年11月14日)
(執筆者:市川 貴章) 

 

 

参考文献
1)Pundik S, McCabe J, Skelly M,Tatsuoka C,Daly JJ.
Association of spasticity and motor dysfunction
in chronic stroke. Ann Phys Rehabil Med.
2019 Nov;62(6):397-402. doi: 10.1016/j.
rehab.2018.07.006.
Epub 2018 Aug 10. PMID: 30099149.

2)Stein C, Fritsch CG, Robinson C,
Sbruzzi G, Plentz RD.
Effects of Electrical Stimulation in
Spastic Muscles After Stroke:
Systematic Review and Meta-Analysis
of Randomized Controlled Trials.
Stroke. 2015 Aug;46(8):2197-205.
doi: 10.1161/STROKEAHA.115.009633.
Epub 2015 Jul 14. PMID: 26173724.


3)Lin S, Sun Q, Wang H, Xie G.
Influence of transcutaneous electrical
nerve stimulation on spasticity, balance,
and walking speed in stroke patients:
A systematic review and meta-analysis.
J Rehabil Med. 2018 Jan 10;50(1):3-7.
doi: 10.2340/16501977-2266.
PMID: 28862711.

 

 

 

 

2022-11-12 16:00:00

脳卒中患者さんの痙縮~発生率と危険因子~

 

こんにちは!
歩行専門の自費リハビリ施設
ARUKONECT (アルコネクト)の代表
市川です!

 

 

本コラムでは脳卒中患者さんの
痙縮の発生率と危険因子を
解説したいと思います。


痙縮とは・・・
筋肉がこわばってしまったり、
手や脚が突っ張ってしまう
症状のことです。

  

 

今回はZengらの論文を
紹介したいと思います!

 

 

この論文は・・・
脳卒中患者さんの有病率と危険因子を
メタアナリシスという方法で
調査しています。


※メタアナリシスとは?
似た研究を集めて、統計学的な手法を用いて
解析する方法です。

 

 

その結果・・・

【発生率】
マヒのある脳卒中患者さんの痙縮の
発生率は39.5%、重度の痙縮の
(mAS3以上)発生率は9.4%でした。


※mAS(modified Ashworth Scale) とは?
痙縮を検査する方法の1つです。
関節を動かしたときの、筋肉の抵抗感で
0、1、1+、2、3、4の6段階で
評価するもので、数字が大きいほど、
痙縮が強いと判断します。


痙縮の定義から踏まえるとクローヌス、
深部腱反射などの検査と組み合わせて
判断した方が良いかなと思います。

 

 

【危険因子】
中等度~重度のマヒがある場合の
オッズ比は6.573(95%CI 2.579-16.755)
でした。

つまり・・・

中等度~重度のマヒがある場合、
(マヒが中等度・重度でない場合に比べ)
痙縮が生じやすい可能性があるのです。


さらに(重度の)痙縮の発生率は、
発症後よりも時間経過とともに
増加することも明らかにされています。

 

 

Liらの報告によれば、
痙縮と筋力低下の影響が組み合わさることで、
運動障害を生じ、運動学習も阻害すると
言われています。


つまり・・・
痙縮は手や脚の動きに影響を及ぼし、
動作の獲得を邪魔するのです。

 

 

痙縮のメカニズムを踏まえると、
運動機能を高めるリハビリに併せて
痙縮への対応を行っていくことが
大切だなと思います。


次回のコラムでは痙縮に対する
リハビリを解説したいと考えています!
ぜひそちらもご覧ください!

 

 

本コラムでは、脳卒中患者さんの
痙縮の発生率と危険因子を
解説しました。


本コラムが皆さまの何かの
お役に立てましたら幸いです。


最後までお読みいただき
ありがとうございました。

 

 

(執筆日:2022年11月12日)
(更新日:2022年12月29日)

(執筆者:市川 貴章) 

 

 

参考文献

1)Zeng H, Chen J, Guo Y, Tan S.
Prevalence and Risk Factors for Spasticity
After Stroke: A Systematic Review and Meta-Analysis.
Front Neurol. 2021 Jan 20;11:616097.
doi: 10.3389/fneur.2020.616097.
PMID: 33551975; PMCID: PMC7855612.


2)Li S, Francisco GE, Rymer WZ.
A New Definition of Poststroke Spasticity and
the Interference of Spasticity With
Motor Recovery From Acute to Chronic Stages.
Neurorehabil Neural Repair. 2021 Jul;
35(7):601-610. doi: 10.1177/15459683211011214.
Epub 2021 May 12. PMID: 33978513.

 

 

 

 

2022-11-11 13:50:00

脳卒中患者さんの脳画像~運動機能と歩行能力~

 

こんにちは!
歩行専門の自費リハビリ施設
ARUKONECT (アルコネクト)の代表
市川です!

 

 

本コラムでは、脳卒中患者さんの
脳画像について、運動機能と
歩行能力に焦点を当てて
解説したいと
思います。

 

 

今回はFrenkel-Toledoらの論文を
紹介したいと思います!

 

 

この研究では・・・
脳卒中発症後1年以上経過し、
歩行が見守りもしくは自立している
患者さん67
名が参加しました。


脳画像とマヒした脚の運動機能そして
歩行能力との関係が調査されました。


※歩行能力とは?
この研究では歩行速度のことです。

 

 

その結果(一部)・・・

①脳卒中の病変が左側の場合

脚の運動機能には・・・
内包後脚が関係することが
わかりました。


歩行能力には・・・
内包後脚・放線冠・外包・
尾状核が関係することが
わかりました。


②脳卒中の病変が右側の場合

脚の運動機能には・・・
放線冠・上縦束・島皮質が
関係することがわかりました。


歩行能力には・・・
放線冠・上縦束・島皮質・被殻・
視床・内包・外包・シルビウス溝周辺の
皮質が関係することがわかりました。

 

 

まとめると・・・
脚の運動に関係する神経や運動の調整に
関わる脳の部位の病変が歩行能力に
影響するということです。

 

 

脳画像をもとに現れる症状を推測し、
マヒした脚の運動機能や歩行を
妨げている原因を明らかにすることが
大切であると思います。

 

 

本コラムでは、脳卒中患者さんの
脳画像について、脚の運動機能と
歩行能力に焦点を当て
解説しました。


本コラムが皆さまの何かの
お役に立てましたら幸いです。


最後までお読みいただき
ありがとうございました。

 

 

(執筆日:2022年11月11日)
(更新日:2023年2月17日)
(執筆者:市川 貴章) 

 

 

参考文献

1)Frenkel-Toledo S, Ofir-Geva S,
Mansano L, Granot O, Soroker N.
Stroke Lesion Impact on Lower Limb Function.
Front Hum Neurosci. 2021 Feb 1;15:592975.
doi: 10.3389/fnhum.2021.592975.
PMID: 33597852; PMCID: PMC7882502.

 

 

 

 

2022-11-09 09:00:00

脳卒中患者さんの脳画像~バランス能力と歩行能力~

 

こんにちは!
歩行専門の自費リハビリ施設
ARUKONECT (アルコネクト)の代表
市川です!

 

 

本コラムでは脳卒中患者さんの
脳画像について解説します。
特にバランス能力と歩行能力に焦点を
当てたいと思います!

  

 

今回はHandelzaltsらの論文を
紹介します!

 

 

この研究には、脳卒中を発症されてから
3ヶ月未満の患者さん
46名が
参加しました。


そして脳画像と転倒閾値、バランス能力、
マヒ側の脚の運動機能、歩行距離との
関係性が調査されました。


※転倒閾値とは?
この論文では「反射性バランス能力」と
定義しています。
急にバランスを崩した際のバランスの
復帰を評価したものです。

 

 

その結果・・・
バランス能力、歩行能力、
マヒ側の脚の運動機能は、
皮質脊髄路に沿った被殻や白質(神経線維)が
関係することがわかりました。


※皮質脊髄路は運動に関わる神経の道です。
※被殻は運動の調整に関わる部位です。


さらに・・・
【病変が右側の場合】
転倒閾値・バランス能力・マヒ側の
脚の運動機能は内包後脚や上放線冠
関係していることがわかりました。


※内包後脚は先程の皮質脊髄路や感覚に
 関わる神経線維の通り道です。


【病変が左側の場合】
転倒閾値・歩行距離・マヒ側の
脚の運動機能は被殻や外包に関係する
ことがわかりました。

 

 

私の経験からも脳卒中患者さんの
症状は人ぞれぞれで違います。



そのため脳画像を参考にしながら、
身体の状態を検査で丁寧にみることが
大切だと感じています。


例えば・・・
一口に”バランス”と言っても
バランスを保つためには様々な
要素で成り立っています。


Horakらの報告では、
・生体力学的制約
・安定限界/垂直性
・予測姿勢調整
・姿勢反応
・感覚的方向性
・歩行の安定性


この6つを基盤としてバランスが
成り立つと説明しています。


1つの考え方でありますが、この6つの
どれがバランス能力に影響しているのか
検査を行い、その結果に応じた
リハビリが必要だと思います。

 

 

本コラムでは、脳卒中患者さんの
脳画像について、バランス能力と
歩行能力に焦点を当てて
解説しました。


本コラムが皆さまの何かの
お役に立てましたら幸いです。


最後までお読みいただき
ありがとうございました。

 

 

(執筆日:2022年11月9日)
(更新日:2023年1月1日)
(執筆者:市川 貴章) 

 

 

参考文献

1)Handelzalts S, Melzer I, Soroker N.
Analysis of Brain Lesion Impact on
Balance and Gait Following Stroke.
Front Hum Neurosci. 2019 May 14;13:149.
doi: 10.3389/fnhum.2019.00149.
PMID: 31139067; PMCID: PMC6527742.

2)Horak FB, Wrisley DM, Frank J.
The Balance Evaluation Systems Test (BESTest) to
differentiate balance deficits.
Phys Ther. 2009 May;89(5):484-98.
doi: 10.2522/ptj.20080071.
Epub 2009 Mar 27.
PMID: 19329772; PMCID: PMC2676433.

 

 

 

 

2024.05.06 Monday