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リハビリコラム

2023-01-07 22:39:00

パーキンソン病患者さんのバランストレーニング〜リズミカルな 聴覚刺激の併用〜

 

こんにちは!
歩行専門の自費リハビリ施設
ARUKONECT (アルコネクト)の代表
市川です。

 

 

本コラムではパーキンソン病患者さんの
バランストレーニング〜リズミカルな
聴覚刺激との併用を解説したいと
思います。

 

 

今回はTamineらの報告を
紹介したいと思います!

 

 

この研究では、
パーキンソン病の患者さんが
154名が参加しました。


①リズミカルな聴覚刺激(RAS)に
 合わせたバランストレーニング

②バランストレーニング

③一般的な教育プログラム


①〜③のグループに分けられ、
それぞれの効果が調査されました。


※リズミカルな聴覚刺激(RAS)とは?
 メトロームや音楽に合わせて
 歩行練習などを行う方法です。
 Rhythmic Auditory Stimulation
  (RAS)と呼ばれます。

 この研究ではメトロームのリズムを
 使用しています。



※一般的な教育プログラムとは?
 この研究ではパーキンソン病、
 転倒予防に関わる知識などの
 提供が行われています。

 

 

その結果・・・

リズミカルな聴覚刺激を併用した
バランストレーニングを行ったグループは、
バランス能力向上、転倒恐怖感の軽減、
歩行能力、日常生活動作、
運動症状が
改善されました。


※日常生活動作と運動症状は、
Unified Parkinson's disease Rating Scale 
(UPDRS)と言われるパーキンソン病
患者さんの症状を詳しく見るために
開発された検査が用いられています。


ちなみに・・・
バランストレーニングのみを行った
グループでもバランス能力改善が
得られたと報告しています。

 

 

実際にリハビリで行うことを想定すると、
聴覚刺激の種類、テンポなどで
効果に差があるのかが気になるところです。


バランストレーニング自体の効果も
あるかと思いますので、リズミカルな
聴覚刺激を追加し行うのかについては、
リハビリの経過をきちんと追う必要が
あるなと感じました。

 

 

本コラムではパーキンソン病患者さんの
バランストレーニング〜リズミカルな
聴覚刺激の併用〜を解説しました。



本コラムが少しでも皆さまの
お役に
立てましたら幸いです。


最後までお読みいただき
ありがとうございました。

 

 

(執筆日:2023年1月7日)
(執筆者:市川 貴章) 

 

 

参考文献

1) Capato TTC, de Vries NM, IntHout J,
Barbosa ER, Nonnekes J, Bloem BR.
Multimodal Balance Training Supported by
Rhythmical Auditory Stimuli in Parkinson's Disease:
A Randomized Clinical Trial. J Parkinsons Dis.
2020;10(1):333-346. doi: 10.3233/JPD-191752.
PMID: 31884492; PMCID: PMC7029328.

 

 

 

 

2023-01-05 16:38:00

パーキンソン病患者さんの転倒と転倒恐怖感

 

こんにちは!
歩行専門の自費リハビリ施設
ARUKONECT (アルコネクト)の代表
市川です。

 

 

本コラムではパーキンソン病患者さんの
転倒と転倒恐怖感を解説したいと思います。

 

 

転倒恐怖感はその名のとおり、
転倒に対する恐怖感。


転倒によって転倒恐怖感が引き起こされ、
パーキンソン病患者さんの体の動きにまで
影響するとS Rahmanらによって
報告されています。


転倒恐怖感によって活動量が減り、
そしてさらなる身体機能低下に
つながる可能性もゼロではありません。

 

 

今回は転倒の要因を調査したLiuらの
論文を紹介したいと思います。

その結果・・・
すくみ足、脚の筋力低下、濡れている場所
転倒した経験があること、照明が暗い場所、
転倒恐怖感などが影響することが
わかりました。


※すくみ足とは?
足がなかなか前に出なくなる症状です。
歩き始めや方向転換するとき、そして
狭い場所を歩くときにみられることが
あります。

 

 

この結果をみると「転倒」は
身体機能面だけの問題で生じているのでは
ないことがわかります。


身体機能面だけのアプローチだけでは
不十分と言えそうです。


このことからリハビリ専門職だけでなく、
医師、看護師、介護士、栄養士、
ケアマネジャーなど様々な職種が
それぞれの専門性をもって対応することが
転倒予防へとつながるのかなと
感じています。


転倒予防の方法については、
改めてコラムで書きたいと思っています!

 

 

本コラムではパーキンソン病患者さんの
転倒と転倒恐怖感について解説しました。


本コラムが少しでも皆さまの
お役に
立てましたら幸いです。


最後までお読みいただき
ありがとうございました。

 

 

(執筆日:2023年1月5日)
(執筆者:市川 貴章) 

 

 

参考文献
1)Rahman S, Griffin HJ, Quinn NP, Jahanshahi M.
On the nature of fear of falling in Parkinson's disease.
Behav Neurol. 2011;24(3):219-28. doi: 10.3233/
BEN-2011-0330.
PMID: 21876261;
PMCID: PMC5377977.


2)Liu WY, Tung TH, Zhang C, Shi L.
Systematic review for the prevention and
management of falls and fear of falling in patients
with Parkinson's disease. Brain Behav.
2022 Aug;12(8):e2690. doi: 10.1002/brb3.2690.
Epub 2022 Jul 14. PMID: 35837986; PMCID: PMC9392538.

 

 

 

 

2022-11-28 15:54:00

脳卒中患者さんの歩行~マヒ側の推進力を向上するためには~

 

こんにちは!
歩行専門の自費リハビリ施設
ARUKONECT (アルコネクト)の代表
市川です。

 

 

本コラムでは脳卒中の患者さんの
歩行時のマヒ側推進力について
解説したいと思います。

 

 

Awadらによれば、歩行距離は
マヒ側の推進力と股関節伸展角度
(TLA)によって予測されると
言われています。


そして、歩行時の推進力はTLAが
影響するとHsiaoらによって
報告されています。


つまり・・・
歩行中の推進力を得るためには
股関節伸展(脚を後ろに伸ばすこと)が
重要と言えそうです。

 

 

一方、Lewekらは脳卒中患者さんの
トレッドミル上(ランニングマシン)での
歩行中、弾性バンドを用いて後方へ
抵抗力を与えました。


すると・・・
マヒ側・非マヒ側ともに推進力が
向上した(特にマヒ側が向上)と
報告し、Hsiaoらの研究同様にTLAが
歩行中の推進力と関係があることが
わかりました。


さらに、弾性バンドによる抵抗力を
なくした後でも
推進力は向上したままで
あったと報告しています。

 

 

Lewekらの研究は、歩行中の
推進力向上のために
活用できそうだなと
個人的に感じています。


それと同時に、マヒ側の運動機能、
関節や筋肉の柔軟性、筋シナジー、
荷重量などの影響をみながら
TLAを構築するための戦略を
考えた方が良いなとも考えています。

 

 

本コラムでは脳卒中の患者さんの
歩行時におけるマヒ側の推進力について
解説しました。


本コラムが皆さまの何かの
お役に
立てましたら幸いです。


最後までお読みいただき
ありがとうございました。

 

 

(更新日:2022年11月28日)
(更新日:2023年6月18日)
(執筆者:市川 貴章) 

 

 

参考文献
1)Awad LN, Binder-Macleod SA, Pohlig RT,
Reisman DS. Paretic Propulsion and Trailing Limb
AngleAre Key Determinants of Long-Distance
Walking Function After Stroke.
Neurorehabil Neural Repair. 2015
Jul;29(6):499-508.
doi: 10.1177/1545968314554625.
Epub 2014 Nov 10.
PMID: 25385764; PMCID: PMC4426250.

2)Hsiao H, Knarr BA, Higginson JS,

Binder-Macleod SA. The relative contribution
of ankle moment and trailing limb angle to
propulsive force during gait. Hum Mov Sci.
2015 Feb;39:212-21. doi: 10.1016/j.
humov.2014.11.008. Epub 2014 Dec 12.
PMID: 25498289; PMCID: PMC4272868.

3)Hsiao H, Knarr BA, Higginson JS,
Binder-Macleod SA.
Mechanisms to increase propulsive force for
individuals poststroke. J Neuroeng Rehabil.
2015 Apr 18;12:40. doi: 10.1186/s12984-
015-0030-8. PMID: 25898145;
PMCID: PMC4406180.

4)Lewek MD, Raiti C, Doty A.
The Presence of a Paretic Propulsion
Reserve During Gait in Individuals
Following Stroke. Neurorehabil Neural Repair.
2018 Dec;32(12):1011-1019.
doi: 10.1177/1545968318809920.
PMID: 30558525; PMCID: PMC6300055.

 

 

 

 

2022-11-18 16:19:00

脳卒中患者さんの屋外歩行~歩行速度の目安~

 

こんにちは!
歩行専門の自費リハビリ施設
ARUKONECT (アルコネクト)の代表
市川です!

 

 

以前、脳卒中患者さんの屋外を
自由に歩けるかの予測因子

解説しました。


>>脳卒中患者さんが屋外を
  自由に歩けるかの予測因子


Bijleveld-Uitmanらによると、
屋外を歩行可能であるか
歩行速度や歩行距離によって
予測できるとされています。

 

 

では歩行速度の目安はいくつに
なるのでしょうか?

 

 

van de Portらによると、
屋外での歩行可能かどうかの
カットオフ値(基準値)は0.66m/秒
とされています。


➔0.66m/秒では・・・
陰性的中率が低い(57%)点に
注意が必要です。
屋外を歩くことが難しいと正しく
分類できる確率です。


一方、Fulkらによれば、
そのカットオフ値(基準値)は
0.49m/秒とされています。


さらに屋外を制限なく歩行可能かの
カットオフ値は、0.93m/秒としています。

 

 

様々な基準値があるのは・・・
参加された患者さんの発症からの
期間であったり、屋外歩行の基準が
異なるためです。


屋外歩行の基準は、
例えば歩数で分類したり、
範囲(自宅のみ・自宅周辺)で
分類したりと様々です。


そのため基準値がどのように
算出されているのかがとても
大切です!


ご利用者様の年齢、発症からの期間など
様々な視点からみて妥当である数値
(基準値)を目標とするのも
良いのかも知れません。

 

 

Miyataらによれば歩行能力とバランス能力は
関係性があるとされています。
このことからも歩行能力は歩行速度以外にも
歩行距離やバランス能力など様々な視点から
評価し、リハビリを行うことが大切だと
感じています。

 

 

 

本コラムでは、脳卒中患者さんの屋外歩行
~歩行速度の目安~を解説しました。


本コラムが皆さまの何かの
お役に立てましたら幸いです。


最後までお読みいただき
ありがとうございました。

 

 

(更新日:2022年11月18日)
(執筆者:市川 貴章) 

 

 

 

参考文献
1)Bijleveld-Uitman M, van de Port I, Kwakkel G.
Is gait speed or walking distance a better predictor
for community walking after stroke?
J Rehabil Med. 2013 Jun;45(6):535-40.
doi: 10.2340/16501977-1147. PMID: 23584080.

2)van de Port IG, Kwakkel G, Lindeman E.
Community ambulation in patients with
chronic stroke: how is it related to gait speed?
J Rehabil Med. 2008 Jan;40(1):23-7.
doi: 10.2340/16501977-0114. PMID: 18176733.

3)Fulk GD, He Y, Boyne P, Dunning K.
Predicting Home and Community Walking
Activity Poststroke. Stroke. 2017
Feb;48(2):406-411. doi: 10.1161/
STROKEAHA.116.015309.
Epub 2017 Jan 5. PMID: 28057807.

4
)Miyata K, Hasegawa S, Iwamoto H, Otani T,
Kaizu Y, Shinohara T, Usuda S.
Which Balance Evaluation Systems Test sections
best distinguish levels of post-stroke
functionalwalking status? J Rehabil Med. 2021
Sep 24;53(9):jrm00230. 
doi: 10.2340/16501977-2870.
PMID: 34486068; PMCID: PMC8638744.

 

 

 

 

2022-11-17 13:59:00

脳卒中患者さんの痙縮に対するストレッチ

 

こんにちは!
歩行専門の自費リハビリ施設
ARUKONECT (アルコネクト)の代表
市川です!

 

 

筋肉がこわばってしまったり、腕や脚が
突っ張ってしまう症状である痙縮。


今回は、痙縮に対するストレッチの
効果を解説します!

  

 

Gomez-Cuaresmaらの脳卒中の
患者さん322名をデータを用いた
ストレッチの有効性を調査した
論文があります。
※系統的レビュー・メタ分析の
 論文です。

 

 

ほとんどが発症後3~6ヶ月を
経過しており、痙縮が認められる
患者さんでした。


ストレッチの方法として、
①理学療法士によるストレッチ
②セルフストレッチ
③機器を用いたストレッチの
3種類がありました。
中には2種類の方法を組み合わせて
行った研究もありました。


さらに、
①静的ストレッチ
②動的ストレッチがあり、
こちらも組み合わせて行った
研究もありました。

 

 

その結果・・・
痙縮に対するストレッチの有効性を
示すことができませんでした。

 

 

ただし・・・
テーピングが用いられていたり、
ボトックス注射を組み合わせて行っている
研究が含まれている点で結果に影響が
及ぼした可能性も考えられます。


ストレッチを行う時間や回数、
期間に関しても、研究によって
異なります。


さらには・・・
対照群(効果を比較するグループ)にも
ストレッチを行っている研究が
含まれていることから、
痙縮に対するストレッチの有効性の
結論は慎重になった方が良いかも
知れません。


私であれば、より情報を吟味し
ご利用者様と相談の上、実施すると
思います。


情報の吟味とは、ご利用者様の年齢、
疾患、発症期間、ストレッチの方法、
実施時間、期間などです。


痙縮のメカニズムを踏まえると
その対応はストレッチのみならず、
他のリハビリプログラムも
必要なのかも知れません。

 

 

本コラムでは、脳卒中の患者さんの
痙縮に対するストレッチの効果を
解説しました。


本コラムが皆さまの何かの
お役に立てましたら幸いです。


最後までお読みいただき
ありがとうございました。

 

 

(執筆日:2022年11月17日)
(更新日:2023年6月18日)
(執筆者:市川 貴章) 

 

 

参考文献
1)Gomez-Cuaresma L, Lucena-Anton D,
Gonzalez-Medina G, Martin-Vega FJ,
Galan-Mercant A, Luque-Moreno C.
Effectiveness of Stretching in Post-Stroke
Spasticity and Range of Motion:
Systematic Review and Meta-Analysis.
J Pers Med. 2021 Oct 24;11(11):1074.
doi: 10.3390/jpm11111074.
PMID: 34834426; PMCID: PMC8619362.

 

 

 

 

2024.05.06 Monday