リハビリコラム
脳梗塞患者さんの痙縮と脳画像での予測因子
こんにちは!
歩行専門の自費リハビリ施設
ARUKONECT (アルコネクト)の代表
市川です!
脳卒中の方の悩まれる症状の1つ、痙縮。
筋肉がこわばってしまったり、腕や脚が
突っ張ってしまう症状がみられます。
今回は、この痙縮と脳画像での予測因子を
解説していきたいと思います。
Liらの虚血性脳卒中(脳梗塞)の患者さん
103人の脳画像(MRI)データを用いた
研究があります。
痙縮がみられる方には痙縮がみられない方に
比べて、病変の全容積や運動ネットワーク
構造の病変の容積が大きかったとしています。
※運動ネットワーク構造とは・・・
錐体路、運動野など運動の指令に
関わる部位のことです。
また0.5cm未満もしくは3cm以上を
カットオフ値(基準値)としています。
つまり痙縮は病変が0.5cm未満だと
発症しにくく、3cm以上だと
発症が予測されるということです。
ただし・・・
0.5cm未満の病変の患者さんの中には、
痙縮を発症された方も含まれており、
3cm以上の病変の患者さんの中にも
痙縮を発症されていない方も
含まれています。
カットオフ値が出てきたとき、
まず確認したいのが、”感度・特異度”です。
いずれも検査がどの程度正確に
判断できるのか示す指標です。
※厳密には的中率や尤度比なども
見た方が良いです。
0.5cm未満をカットオフ値とした場合、
感度が低い(43.9%)のです。
つまり・・・偽陰性に要注意です。
そのためには、病変の大きさのみに
注目するのではなく、他の検査や
予測となる根拠が必要になります。
例えば・・・
筋緊張(筋肉のこわばる程度)や
腱反射などの身体の検査です。
さらに・・・
Liらの研究は脳梗塞の患者さんに
限定している点、小脳や脳幹の
脳梗塞の方は含まれていないことに
注意が必要です!
本コラムでは、脳梗塞の患者さんの
痙縮と脳画像での予測因子を
解説しました。
本コラムが皆さまの何かの
お役に立てましたら幸いです。
最後までお読みいただき
ありがとうございました。
(更新日:2022年11月15日)
(執筆者:市川 貴章)
参考文献
1)Ri S, Glaess-Leistner S, Wissel J.
Early brain imaging predictors of
post-stroke spasticity. J Rehabil Med.
2021 Mar 22;53(3):jrm00169.
doi: 10.2340/16501977-2803.
PMID: 33616193; PMCID: PMC8814863.