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リハビリコラム

2022-11-08 09:00:00

脳卒中患者さんの痙縮と運動機能との関係

 

こんにちは!
歩行専門の自費リハビリ施設
ARUKONECT (アルコネクト)の代表
市川です!

 

 

本コラムでは脳卒中患者さんの
痙縮と運動機能との関係を
解説したいと思います。


※痙縮とは?
筋肉がこわばってしまったり、
手や脚が突っ張ってしまう症状のことです。

 

 

今回はPundikらの論文を
紹介したいと思います!

 

 

この論文では・・・
中等度~重度のマヒがある脳卒中患者さんが
128名参加され、痙縮と運動機能との関係が
調査されました。

 

 

その結果・・・

①腕や手(上肢)は、筋肉の緊張が高いと
筋力も低い傾向がありました。

※痙縮の症状の1つに筋緊張亢進
(筋肉の緊張が高まる)があります。

例えば・・・
指を曲げる筋肉の緊張が
高いと、
指を伸ばす筋力が低下すると
いうことです。


②手や脚の運動は痙縮と(少なからず)
関係があることもわかりました。


Liらの報告を加えると、
痙縮は手や脚の動きに影響を及ぼし、
動作の獲得を邪魔するとも言われています。


痙縮が手や脚の運動を邪魔しているとすれば、
痙縮に対するアプローチ、例えば装具や
電気刺激療法、振動刺激療法など
適応によって実施を検討することも
必要かも知れません。

 

 

手や脚の運動機能が十分に発揮できない
原因を検査であったり、脳画像であったり
様々な視点から分析することが大切だなと
感じています。

 

 

本コラムでは、脳卒中患者さんの
痙縮と運動機能の関係を解説しました。


本コラムが皆さまの何かの
お役に立てましたら幸いです。


最後までお読みいただき
ありがとうございました。

 

 

(執筆日:2022年11月8日)
(更新日:2022年12月29日)

(執筆者:市川 貴章) 

 

 

参考文献

1)Pundik S, McCabe J, Skelly M,Tatsuoka C,
Daly JJ.
Association of spasticity and motor dysfunction
in chronic stroke. Ann Phys Rehabil Med.
2019 Nov;62(6):397-402. doi: 10.1016/j.
rehab.2018.07.006.
Epub 2018 Aug 10. PMID: 30099149.

2)Li S, Francisco GE, Rymer WZ.
A New Definition of Poststroke Spasticity and
the Interference of Spasticity With
Motor Recovery From Acute to Chronic Stages.
Neurorehabil Neural Repair. 2021 Jul;
35(7):601-610. doi: 10.1177/15459683211011214.
Epub 2021 May 12. PMID: 33978513.

 

 

 

 

2022-11-07 09:00:00

脳卒中患者さんのステッピング練習の効果

 

こんにちは!
歩行専門の自費リハビリ施設
ARUKONECT (アルコネクト)の代表
市川です!

 

 

本コラムでは脳卒中患者さんの
ステッピング練習の効果を
解説したいと思います。

  

 

今回はHornbyらの論文を
紹介したいと思います!

 

 

この研究には・・・
脳卒中患者さんが90名が
参加しました。

①高強度のステッピング練習

②低強度のステッピング練習

③前方への歩行練習のみ

この3つのグループに
振り分けられました。


※ステッピング練習とは?

Ⓐトレッドミルトレーニング
 様々な方向への歩行、
 障害物を越える練習
 重りをつけた歩行など

Ⓑ歩行練習
 早歩き、狭い場所の通過など

Ⓒ階段昇降

以上のトレーニングのことです。

 

 

予測最大心拍数=208-(0.7×年齢)

この数値の70~80%の心拍数を目標として
運動を行うグループを「高強度」
式に表すと・・・
高強度=208-(0.7×年齢)×0.7~0.8


この数値の30~40%の心拍数を目標として
運動を行うグループを「低強度」
式に表すと・・・
低強度=208-(0.7×年齢)×0.3~0.4


前方への歩行練習を行うグループには
高強度のグループと同様に
予測最大心拍数の70~80%の心拍数を
目標に運動を行いました。

 

 

【運動強度の目安】
予測最大心拍数は、適切な負荷で
運動するための
大切な目安です。

予測最大心拍数を算出する式は、
・208-(0.7×年齢)
・220-年齢

ちなみに・・・
心拍数から運動強度を計算する方法として
カルボーネンの式があります。

運動強度(%)=A÷B×100
A=(運動時心拍数-安静時心拍数)
B=(最大心拍数-安静時心拍数)

高血圧や糖尿病などの既往歴、
血圧や脈拍の推移などをみて
負荷を抑えることが
必要な場合があります!

 

 

その結果・・・
高強度のグループは低強度のグループと
比較してマヒ側の立脚時間が増えると
いうことがわかりました。


つまり・・・
マヒ側の脚で支えている時間が
増えた(延びた)ということです。


※立脚期と遊脚期とは?
立脚期・・・脚で支えている時
遊脚期・・・脚を出している時
歩行はこの大まかにはこの2つに
分けられます。

 

 

Lewekらの報告によれば、歩幅の
左右差の改善には、言葉による
修正が必要とされています。


HornbyらとLewekらの報告を踏まえると
歩行能力の改善には、個々の課題に合った
リハビリを行うことが大切
ということです。

 

 

本コラムでは、脳卒中患者さんの
ステッピング練習の効果を
解説しました。


本コラムが皆さまの何かの
お役に立てましたら幸いです。


最後までお読みいただき
ありがとうございました。

 

 

(執筆日:2022年11月6日)
(更新日:2022年12月29日)
(執筆者:市川 貴章) 

 

 

参考文献

1)Hornby TG, Henderson CE, Plawecki A,
Lucas E, Lotter J, Holthus M, Brazg G, Fahey M,
Woodward J, Ardestani M, Roth EJ.
Contributions of Stepping Intensity and
Variability to Mobility in Individuals Poststroke.
Stroke. 2019 Sep;50(9):2492-2499.
doi: 10.1161/STROKEAHA.119.026254.
Epub 2019 Aug 22.
PMID: 31434543;PMCID: PMC7241260.

2)
Lewek MD, Braun CH, Wutzke C, Giuliani C.
The role of movement errors in modifying
spatiotemporal gait asymmetry post stroke:
a randomized controlled trial.
Clin Rehabil. 2018 Feb;32(2):161-172.
doi: 10.1177/0269215517723056.
Epub 2017 Jul 27.
PMID: 28750549; PMCID: PMC5748372.

 

 

 

 

2022-11-05 09:00:00

脳卒中患者さんの歩行能力と膝伸展筋力との関係性

 

こんにちは!
歩行専門の自費リハビリ施設
ARUKONECT (アルコネクト)の代表
市川です!

 

 

本コラムでは脳卒中患者さんの
歩行能力と膝伸展筋力との関係性を
解説したいと思います。


※膝伸展筋力とは?
 膝を伸ばす力のことです。
 握力と同じように数値ができる筋力計と
 呼ばれるものを使用することもあります。

  

 

今回はWangらの論文を
紹介したいと思います!

 

 

この研究では・・・
歩行が自立している慢性期の脳卒中患者さん
35名が参加し、
歩行速度、持久力、
膝伸展筋力との関係性が調査されました。

 

 

その結果・・・

【歩行速度】
歩行速度はマヒ側の膝伸展筋力によって
約49%が説明できることがわかりました。
(自由度調整済決定係数=0.497)

【持久力(VO2peak)】
持久力は非マヒ側の膝伸展筋力によって
約42%が説明できることがわかりました。
(自由度調整済決定係数=0.422)

 

 

※自由度調整済決定係数とは?
(回帰式の)予測精度のことです。
0~1の範囲で表され、1に近づくほどに
(回帰式の)精度が高いと判断されます。


また絶対的な基準ではありませんが、
0.5以上あると予測精度が高いと
判断できます。


今回の数値をみると、0.5に近いところに
あるため、
膝伸展筋力は歩行能力に
関係があると
言えそうです。

 

 

では歩行自立の判断材料としての
膝伸展筋力の目安はいくつなのでしょうか?


Akasawaらの報告によれば、
 (単位:)

・マヒ側の膝伸展筋力は0.46N/m/kg
・非マヒ側の膝伸展筋力:0.65N/m/kg
・マヒ側と非マヒ側の合計:1.31N/m/kg


筋力計のある施設の場合は
参考になるかもしれません。


ちなみに・・・
筋力計がない場合でも
起立できる台の高さなどから
推定することはできます!


研究に参加されている患者さんによって
基準値は変化しますので、
当施設では参考にする基準値は
ご利用者様によって変えています!

 

 

本コラムでは、脳卒中患者さんの
歩行能力と膝伸展筋力の関係性を
解説しました。


本コラムが皆さまの何かの
お役に立てましたら幸いです。


最後までお読みいただき
ありがとうございました。

 

 

(執筆日:2022年11月5日)
(更新日:2022年12月30日)
(執筆者:市川 貴章) 

 

 

参考文献

1)Wang WT, Huang LT, Chou YH, Wei TS, Lin CC.
Nonparetic knee extensor strength is
the determinant of exercise capacity of
community-dwelling stroke survivors.
ScientificWorldJournal. 2014;2014:769875.
doi: 10.1155/2014/769875. Epub 2014 Aug 14.
PMID: 25197712; PMCID: PMC4150499.

2)Akazawa N, Okawa N, Tamura K, Moriyama H.
Determining the cut-off value forknee extensor
strength for identifying independence
in gait in chronic stroke survivors.
J Rehabil Med. 2017 Nov 21;49(9):765-767.
doi: 10.2340/16501977-2279. PMID: 28949369.

 

 

 

 

2022-11-04 09:30:00

脳卒中患者さんの歩行における非対称性の修正するには?

 

こんにちは!
歩行専門の自費リハビリ施設
ARUKONECT (アルコネクト)の代表
市川です!

 

 

本コラムでは脳卒中患者さんの
歩行における非対称性の修正する
方法を
解説したいと思います。

  

 

今回はLewekの論文を
紹介したいと思います!


この研究は立脚時間・歩幅の
非対称性に注目しています。


※立脚時間とは?
歩行中、脚で支えている時期を
「立脚期」といい、その時間を
「立脚時間」といいます。

 ちなみに脚を前に出す時は、
 「遊脚期」といいます。

 

 

この論文では立脚時間や歩幅が
非対称である
脳卒中患者さんが集められました。


そして・・・
①立脚時間の非対称性が強い

②歩幅の非対称が強い

①もしくは②のグループに分けられました。


その2つのグループには
Ⓐエラー増強
Ⓑエラー最小
Ⓒ通常


このⒶ~Ⓒの3つの条件下で、
スプリットベルト型トレッドミルでの
トレーニングと通常の歩行練習の
2種類のリハビリを実施し、その効果が
調査されました。


※スプリットベルト型トレッドミルとは?
トレッドミルはスポーツジムにあるような
ランニングマシンのことです。

スプリット型は左右の脚をのせている
ベルトが違う速度で動かすことも
できるタイプです。


Ⓐエラー増強とは?
例えば、立脚時間が短い場合に、
立脚時間を長くするように、
ベルトの速さを調整する設定です。


Ⓑエラー最小とは?
例えば、立脚時間が短い場合に、
その状態に合わせて、ベルトの
速さを調整する設定です。


Ⓒ通常とは?
通常行われるトレッドミルでの
トレーニングです。

 

 

その結果・・・

【歩幅】
どのグループもトレーニング前後を
比較すると、歩幅の非対称性の改善を
示しました。


【立脚時間】
トレーニングによる効果や
トレーニング方法の差はみられないことを
示しました。


【歩行速度】
歩行速度はトレーニング前後で向上する
傾向があり、歩幅の非対称性の改善と
関連があることがわかりました。

 

 

Ⓐエラー増強Ⓑエラー最小Ⓒ通常

この3つのトレーニング方法には効果に
差は見られませんでした。


しかし「言葉によるフィードバック」は
3つの方法に共通しており、それが功を
奏したのではないかと著者は述べています。


歩幅の非対称性は言葉がけで幾分
修正される可能性が
あるということです。


立脚時間の非対称性は効果が
見られなかったため、立脚時間の
非対称性の改善にはまた違った視点が
必要なのかも知れません。


例えば・・・
脚の位置を変えてステップを行い、
その脚で支える力が発揮できるのかを
調べ、その結果によってリハビリの
内容を修正することも大切です。

 

 

本コラムでは、脳卒中患者さんの
歩行における非対称性の修正する
方法を解説しました。



本コラムが少しでも皆さまの
お役に立てましたら幸いです。


最後までお読みいただき
ありがとうございました。

 

 

(執筆日:2022年11月4日)
(更新日:2023年12月4日)
(執筆者:市川 貴章) 

 

 

参考文献

1)Lewek MD, Braun CH, Wutzke C, Giuliani C.
The role of movement errors in modifying
spatiotemporal gait asymmetry post stroke:
a randomized controlled trial.
Clin Rehabil. 2018 Feb;32(2):161-172.
doi: 10.1177/0269215517723056.
Epub 2017 Jul 27.
PMID: 28750549; PMCID: PMC5748372.

 

 

 

 

2022-11-03 09:30:00

脳卒中患者さんの歩行能力の予測~MRIの有用性~

 

こんにちは!
歩行専門の自費リハビリ施設
ARUKONECT (アルコネクト)の代表
市川です!

 

 

本コラムでは脳卒中患者さんの
歩行能力の予測におけるMRIの
有用性を
解説したいと思います。


※MRIとは?
磁場を発生させて体内を様子を画像
(断面図)でみることができる検査です。

  

 

今回はImuraらの論文を
紹介したいと思います!

 

 

この論文では、脳卒中患者さんの
歩行能力の予測においてMRIを
使用している論文が集められました。

 

 

その結果・・・
歩行回復には、脳の運動関連領域や島が
影響があることがわかりました。


※運動関連領域とは?
一次運動野、放線冠、内包、
大脳基底核などの名前にもあるように
運動に関係する場所です。



さらに皮質脊髄路や皮質網様体脊髄路などの
神経路も歩行能力と関係があることが
わかりました。

※皮質脊髄路とは?
 運動に関わる神経の道です。

皮質網様体脊髄路とは?
 筋肉の緊張具合や姿勢の調整に
 関わる神経の道です。

 

 

予後を予測するためには、
MRIの所見を参考にしつつ、
検査で詳しく身体の状態を丁寧に
みていくことが大切だと考えています。


※もちろんリハビリ専門職のみならず
医師や看護師、介護士など様々な職種の
見解が必要になります。

 

 

本コラムでは脳卒中患者さんの
歩行能力の予測におけるMRIの
有用性を
解説しました。


本コラムが少しでも皆さまの
お役に立てましたら幸いです。


最後までお読みいただき
ありがとうございました。

 

 

(執筆日:2022年11月3日)
(更新日:2023年1月1日)
(執筆者:市川 貴章) 

 

 

参考文献

1)Imura T, Mitsutake T, Iwamoto Y, Tanaka R.
A systematic review of the usefulness of
magnetic resonance imaging in predicting
the gait ability of stroke patients.
Sci Rep. 2021 Jul 12;11(1):14338.
doi: 10.1038/s41598-021-93717-4.
PMID: 34253774;PMCID: PMC8275756.

 

 

 

 

2024.05.06 Monday