リハビリコラム
パーキンソン病患者さんの歩行の特徴とは?
こんにちは!
歩行専門の自費リハビリ施設
ARUKONECT (アルコネクト)の代表
市川です!
本コラムではパーキンソン病患者さんの
歩行の特徴を解説したいと思います。
今回はKarpodini らの論文を
紹介したいと思います。
この研究では・・・
パーキンソン病の患者さんと
パーキンソン病などの病気を
患っていない方との歩行の違いが
調査されました。
その結果・・・
パーキンソン病患者さんは
①歩行速度の低下
②ストライド(2歩分の歩幅)低下
③両脚支持時間が長くなる
④遊脚(脚を前に出す)時間の短くなる
⑤股関節の可動域が狭くなる
この5つが特徴として
明らかになりました。
歩行速度や歩幅などの歩行パラメーターの
一側面を捉えたものになりますが、
歩行分析を行うときに参考になるのかなと
思っています。
歩行分析は課題をみつけたり、
リハビリメニュー立案にとても
重要な役割を果します。
しかし機器が揃っていない限りは
セラピスト自身の目でみて確認するもので、
少なからず経験によって解釈が
歪められてしまう可能性があります。
(自分自身の経験として)。
そのため、歩行分析以外の
検査(筋力やバランス能力など)を
組み合わせながら歩行中の課題を
分析することが良いなと
感じています!
本コラムではパーキンソン病患者さんの
歩行の特徴を解説しました。
少しでも皆さまのお役に立てましたら
幸いです。
最後までお読みいただき
ありがとうございました。
(執筆日:2022年9月27日)
(更新日:2022年12月31日)
(執筆者:市川 貴章)
参考文献
1)Zanardi APJ, da Silva ES, Costa RR,
Passos-Monteiro E, Dos Santos IO, Kruel LFM,
Peyré-Tartaruga LA.
Gait parameters of Parkinson's disease compared
with healthy controls: a systematic review
and meta-analysis.
Sci Rep. 2021 Jan 12;11(1):752.
doi: 10.1038/s41598-020-80768-2.
PMID: 33436993; PMCID: PMC7804291.
パーキンソン病患者さんに対するリハビリプログラムの比較
こんにちは!
歩行専門の自費リハビリ施設
ARUKONECT (アルコネクト)の代表
市川です!
本コラムではパーキンソン病患者さんに
対するリハビリプログラム、
①リズミカルキューイング
②ダンス
③筋力トレーニング
この①~③の効果を解説したいと思います!
そこで今回はKarpodini らの論文を
紹介したいと思います!
この研究では・・・
Hoehn-Yahr stageⅠ~Ⅳの
パーキンソン病患者さんが対象でした。
※Hoehn&Yahrステージとは?
1~5までの5段階あり、症状の
重症度を評価するものです。
①リズミカルキューイング
②ダンス
③筋力トレーニング
この3つのリハビリの効果が
調査されました。
※リズミカルキューイングとは?
タンバリンやメトロノーム、音楽などを
聴きながら歩行練習を実施する方法です。
その結果・・・
①リズミカルキューイング
➔・歩行速度
・ストライド長、
・UPDRSパートⅢ(運動症状)が改善
②ダンス
➔・ストライド長
・TUG(歩行能力)、
・UPDRSパートⅢ(運動症状)が改善
③筋力トレーニング
➔・TUG(歩行能力)
・PDQ-39(生活の満足度)が改善
※UPDRSとは?
パーキンソン病の症状を詳しくみるための
検査でパートⅠ~Ⅳまであります。
今回の論文では集めた研究間の結果の差が
大きいものもあるため、結果の解釈には
とても注意が必要です。
結果に差があるということは、
「効果がある場合」
「効果がない場合」
この2つの場合があるということです。
実際に行うか否かについては
他の論文も集め、総合的にみて効果が
どのぐらい期待できるのかを検討する
ことがとても大切かなと思います!
パーキンソン病の症状の1つに
「姿勢反射障害」があります。
バランスを崩しやすくなっている場合が
ありますので、状態に応じたリハビリを
行うことが大事ですね!
もし訪問リハビリや通所リハビリを
受けている方でしたら、スタッフの
方に、ご相談いただくのも良いかも
知れません!
本コラムでは
①リズミカルキューイング
②ダンス
③筋力トレーニング
この3つの効果を解説しました。
本コラムが皆さまの何かの
お役に立てましたら幸いです。
最後までお読みいただき
ありがとうございました。
(執筆日:2022年9月24日)
(更新日:2022年12月31日)
(執筆者:市川 貴章)
参考文献
1)Karpodini CC, Dinas PC, Angelopoulou E,
Wyon MA, Haas AN, Bougiesi M,
Papageorgiou SG, Koutedakis Y.
Rhythmic cueing, dance, resistance training,
and Parkinson's disease: A systematic review
and meta-analysis.
Front Neurol. 2022 Aug 9;13:875178.
doi: 10.3389/fneur.2022.875178.
PMID: 36034281; PMCID: PMC9413961.
パーキンソン病患者さんの脊椎変形と歩行能力の関係
こんにちは!
歩行専門の自費リハビリ施設
ARUKONECT (アルコネクト)の代表
市川です!
本コラムではパーキンソン病
患者さんの脊椎変形と歩行能力の
関係を解説していきたいと
思います。
今回はNakamuraらの論文を
紹介したいと思います!
この研究では・・・
Hoehn-Yahr stageⅠ~Ⅳの
パーキンソン病患者さん32名が
参加しています。
※Hoehn&Yahrステージとは?
1~5までの5段階あり、症状の
重症度を評価するものです。
改良された修正版も開発されています。
ちなみに”ホー(エ)ン・ヤール”と
読みます。
参加された患者さんは、
脊柱側弯の程度(角度)、胸椎後弯、
胸腰椎後弯、腰椎後弯の角度、大腿骨の
骨密度が計測されました。
【背骨について】
脊椎(背骨)は頸椎・胸椎・腰椎の
3つのパートで構成されています。
頸椎は前方、胸椎は後方、腰椎は
前方に彎曲(わんきょく)していて、
横からみるとちょうどS字カーブに
なっています。
余談にはなりますが、このS字カーブに
よって背骨にかかる負担を減らしている
とも言われています。
側弯は背骨が左右に彎曲(わんきょく)
している状態です。
その他、
・パーキンソン病の運動症状:
Unified Parkinson's Disease Rating Scale
(UPDRS)パートⅢ
・歩行能力:Timed Up and Go Test(TUG)
以上の検査も行われました。
※UPDRSとは?
パーキンソン病の症状をとらえるために
開発された検査です。
運動症状をみるパート3だけでなく精神面や
日常生活などの影響をみることができます。
※TUGとは?
①椅子から立ち上がる
②歩いて3m先のコーンを回る
③椅子に座る
この①~③にかかる時間を
計測し歩行能力をみる検査です。
その結果・・・
歩行能力(TUG)は運動症状や腰椎前弯、
骨密度が関連していることがわかりました。
この結果から、リハビリ専門職だけでなく
医師や看護師などの他職種の連携が
大切なことがわかります。
リハビリでは腰椎の柔軟性を引きだすこと、
歩行練習を行うことも検討するかも
知れません。
>>パーキンソン病の患者さんが行う
歩行練習の効果とは?
本コラムでは
パーキンソン病患者さんの
脊椎変形と歩行能力の関係を
解説しました。
本コラムが少しでも皆さまの
お役に立てましたら幸いです。
最後までお読みいただき
ありがとうございました。
(執筆日:2022年9月23日)
(更新日:2023年1月2日)
(執筆者:市川 貴章)
参考文献
1)Nakamura Y, Machida Y, Hanawa H,
Kanai M, Asano S.
Analysis of Relationships between Spinal Deformity
and Walking Ability in Parkinson's Disease Patients.
Spine Surg Relat Res.
2019 Feb 28;3(4):348-353.
doi: 10.22603/ssrr.2018-0046.
PMID: 31768455; PMCID: PMC6834471.
パーキンソン病の患者さんが行う歩行練習の効果
こんにちは!
歩行専門の自費リハビリ施設
ARUKONECT (アルコネクト)の代表
市川です!
本コラムではパーキンソン病
患者さんのリハビリの1つ、
歩行練習の効果を
解説していきたいと思います。
そこで今回はCaiらの論文を
紹介したいと思います!
この研究では・・・
Hoehn-Yahr stageⅠ~Ⅲの
パーキンソン病患者さん27名が
参加しています。
※Hoehn&Yahrステージとは?
1~5までの5段階あり、症状の
重症度を評価するものです。
”ホー(エ)ン・ヤール”と読みます。
参加された患者さんは、
最低20分以上・週3回
または週60分の歩行練習を
行うことを約束されました。
歩行練習の効果は、
①UPDRS-Ⅲ(パーキンソン病の運動症状)
②functional-MRI(脳の活動状態や結合性)
などで確認されました。
その結果・・・
①歩行練習後、UPDRS-Ⅲの得点が減少
(運動症状の改善がみられた)
②歩行に関係する脳の部位である脚橋被蓋核
(PPN)の結合性がUPDRS-Ⅲの得点変化と
関係性があることがわかりました。
ちなみに・・・
PPNの機能的な結合性減少は、
歩数や歩行時間とも関係していることも
わかっています。
歩行練習を行うと脳の機能的な変化を経て
パーキンソン病の運動症状に良い効果が
得られる可能性があるかも知れません。
「じゃあ明日から歩く練習をしよう」と
思われた方、お待ちください!
お体の状態にお一人お一人で
違いがあります。
もし訪問リハビリやデイケアなどで
リハビリを行っている方でしたら
歩行練習の方法を担当の方に
相談いただくのも良いかも知れません!
本コラムでは
パーキンソン病患者さんが行う
歩行練習の効果を解説しました。
本コラムが皆さまの何かの
お役に立てましたら幸いです。
最後までお読みいただき
ありがとうございました。
(執筆日:2022年9月15日)
(更新日:2022年12月31日)
(執筆者:市川 貴章)
参考文献
1)Cai J, Liu A, Wang Y, Tan SN, Chomiak T,
Burt J, Camicioli R, Hu B, McKeown MJ, Ba F.
Walking exercise alters pedunculopontine
nucleus connectivity in Parkinson's disease
in a dose-dependent manner. Front Neurosci.
2022 Aug 9;16:930810.
doi: 10.3389/fnins.2022.930810.
PMID: 36017180; PMCID: PMC9397130.
パーキンソン病患者さんの屋外歩行の判断基準~歩行速度~
こんにちは!
歩行専門の自費リハビリ施設
ARUKONECT (アルコネクト)の代表
市川です!
本コラムではパーキンソン病患者さんの
屋外歩行の判断基準についてを
解説していきたいと思います。
今回はElbersらの論文を
紹介したいと思います!
この論文では・・・
パーキンソン病の患者さんで
Hoehn-Yahr stage2~4の方が
(軽度または中等度の症状)が
参加されました。
※Hoehn-Yahr stageとは?
パーキンソン病の重症度分類のことです。
段階が1~5まであり、パーキンソン病の
症状の程度で分類されます。
Nottingham extended activities of
daily living index (NEAI)という検査で、
①屋外歩行が可能なグループ
②屋外歩行が困難なグループ
①、②のグループに分けられました。
その結果・・・
屋外歩行を実施できるのかを
歩行速度によって判断(予測)できる
ことがわかりました。
その目安となる歩行速度は
0.88m/secでした。
さらに転倒恐怖感の検査する
Falls Efficacy Scale (FES) の
結果を加えることで精度が
向上することもわかっています。
屋外歩行の判断基準として、
「歩行速度」「転倒恐怖感」
この2つは必要なのかも知れません。
屋外歩行では、道路の起伏や周辺の物、
人など多くのことに注意を配らなくては
なりません。
そのためバランス、注意などの能力も
大切だなと感じています。
本コラムではパーキンソン病患者さんの
屋外歩行の判断基準についてを
解説しました。
本コラムが皆さまの何かの
お役に立てましたら幸いです。
最後までお読みいただき
ありがとうございました。
(執筆日:2022年9月12日)
(更新日:2022年12月29日)
(執筆者:市川 貴章)
参考文献
1)Elbers RG, van Wegen EE,
Verhoef J,Kwakkel G.
Is gait speed a valid measure to predict
community ambulation in patients with
Parkinson's disease?
J Rehabil Med. 2013 Apr;45(4):370-5.
doi: 10.2340/16501977-1123.
PMID: 23450464.