リハビリコラム
脳卒中患者さんの歩行速度とバランステストの関係性とは?
こんにちは!
脳卒中・整形外科疾患の自費リハビリ施設
ARUKONECT (アルコネクト)の代表
市川です。
本コラムでは脳卒中の患者さんの
歩行速度とバランステストの関係性を
解説したいと思います。
今回は歩行速度とバランス能力との関係性を
研究したMadhavan らの論文を
ご紹介したいと思います。
脳卒中を患った方で、少なくとも
5分間は歩行可能な方を
対象として、
ゆっくり歩く方(0.8m/sec未満)と
速く歩く方(0.8m/sec以上)で
分けています。
※0.8m/secとは1秒間に80cmの
速度です。
バランス能力の検査として
・Mini-BESTest
・BBS
この2つを採用しています。
※mini-BESTest=
Mini-Balance EvaluationSystems Test:
ミニベステストと読みます。
合計点は28点です。
※BBS=Berg Balance scale:
バーグバランススケールと読みます。
合計点は56点です。
歩行速度を予測するには、この2つの
バランステストのどちらが有用で
あるのかを比較しています。
結果は・・・
ゆっくり歩く方と速く歩く方を
分けるバランスの得点は、
mini-BESTest 18.5点
BBS 47.5点
ということがわかりました。
歩行速度だけをみるとmini-BESTestと
方が(BBSと比べて)予測するのには有用
という結果でした。
だからといってmini-BESTestだけ
検査を行えばと良いというワケでは
ありません!!(←ここ重要です。)
バランス能力と一口にいっても
筋力、感覚など様々な要素で
成り立っています。
バランスの検査・評価は数多く
開発されていますが、それぞれに
得手・不得手があります!
そのため目標やお悩みごとに合わせた
検査を行うことが大切です!
(バランス検査だけではなくリハビリ検査
全般に言えることです。)
この論文では歩行速度の速い方と
ゆっくりな方を0.8m/secで分けています。
個人的には、けっこう早い速度だなと
思いました。
自宅周辺に限らず外出するための
指標の1つとしては有用なのかも
知れません。
本コラムでは脳卒中の患者さんの
歩行速度とバランステストとの関係性を
解説しました。
本コラムが皆さまの何かの
お役に立てましたら幸いです。
最後までお読みいただき
ありがとうございました。
(更新日:2022年8月4日)
(執筆者:市川 貴章)
参考文献
1)Madhavan S, Bishnoi A.
Comparison of the Mini-Balance Evaluations
Systems Test with the Berg Balance Scale
in relationship to walking speed and motorrecovery
post stroke.
Top Stroke Rehabil. 2017 Dec;24(8):579-584.
doi: 10.1080/10749357.2017.1366097.
Epub 2017 Aug 21.
PMID: 28826325; PMCID: PMC5839481.