リハビリコラム
脳卒中患者さんの歩行能力と膝伸展筋力との関係性
こんにちは!
歩行専門の自費リハビリ施設
ARUKONECT (アルコネクト)の代表
市川です!
本コラムでは脳卒中患者さんの
歩行能力と膝伸展筋力との関係性を
解説したいと思います。
※膝伸展筋力とは?
膝を伸ばす力のことです。
握力と同じように数値ができる筋力計と
呼ばれるものを使用することもあります。
今回はWangらの論文を
紹介したいと思います!
この研究では・・・
歩行が自立している慢性期の脳卒中患者さん
35名が参加し、歩行速度、持久力、
膝伸展筋力との関係性が調査されました。
その結果・・・
【歩行速度】
歩行速度はマヒ側の膝伸展筋力によって
約49%が説明できることがわかりました。
(自由度調整済決定係数=0.497)
【持久力(VO2peak)】
持久力は非マヒ側の膝伸展筋力によって
約42%が説明できることがわかりました。
(自由度調整済決定係数=0.422)
※自由度調整済決定係数とは?
(回帰式の)予測精度のことです。
0~1の範囲で表され、1に近づくほどに
(回帰式の)精度が高いと判断されます。
また絶対的な基準ではありませんが、
0.5以上あると予測精度が高いと
判断できます。
今回の数値をみると、0.5に近いところに
あるため、膝伸展筋力は歩行能力に
関係があると言えそうです。
では歩行自立の判断材料としての
膝伸展筋力の目安はいくつなのでしょうか?
Akasawaらの報告によれば、
(単位:)
・マヒ側の膝伸展筋力は0.46N/m/kg
・非マヒ側の膝伸展筋力:0.65N/m/kg
・マヒ側と非マヒ側の合計:1.31N/m/kg
筋力計のある施設の場合は
参考になるかもしれません。
ちなみに・・・
筋力計がない場合でも
起立できる台の高さなどから
推定することはできます!
研究に参加されている患者さんによって
基準値は変化しますので、
当施設では参考にする基準値は
ご利用者様によって変えています!
本コラムでは、脳卒中患者さんの
歩行能力と膝伸展筋力の関係性を
解説しました。
本コラムが皆さまの何かの
お役に立てましたら幸いです。
最後までお読みいただき
ありがとうございました。
(執筆日:2022年11月5日)
(更新日:2022年12月30日)
(執筆者:市川 貴章)
参考文献
1)Wang WT, Huang LT, Chou YH, Wei TS, Lin CC.
Nonparetic knee extensor strength is
the determinant of exercise capacity of
community-dwelling stroke survivors.
ScientificWorldJournal. 2014;2014:769875.
doi: 10.1155/2014/769875. Epub 2014 Aug 14.
PMID: 25197712; PMCID: PMC4150499.
2)Akazawa N, Okawa N, Tamura K, Moriyama H.
Determining the cut-off value forknee extensor
strength for identifying independence
in gait in chronic stroke survivors.
J Rehabil Med. 2017 Nov 21;49(9):765-767.
doi: 10.2340/16501977-2279. PMID: 28949369.