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リハビリコラム

2022-08-19 11:30:00

脳卒中患者さんの快適歩行速度と最大歩行速度の関係性とは?

 

こんにちは!
歩行専門の自費リハビリ施設
ARUKONECT (アルコネクト)の代表
市川です!

 

 

本コラムは脳卒中の患者さんの
快適歩行速度と最大歩行速度の
関係性を解説したいと思います。

 

 

脳卒中患者さんの歩行速度は
職場復帰や
行動範囲と関係があると
過去の研究で報告されています。


歩行能力の一指標である歩行速度には
「快適歩行速度」
「最大歩行速度」
この2つがあります。


快適歩行速度とは・・・
普段と同じように歩いた時の速度です。


最大歩行速度とは・・・
できるだけ速く歩いた時の速度です。


研究を行うときには、測定の誤差を
少なくするために最大歩行速度を
計測することがあります。

 

 

最大歩行速度は快適歩行速度に1.4を
かけることで予測値が算出できると
報告されています。


つまり・・・
最大歩行速度(予測値)=快適歩行速度×1.4
という式が成り立つということです。

 

 

「速く歩けるようにならないといけない」
と不安を感じられるかも知れません。


予測する歩行速度と実際の歩行速度に
差があるということは、歩行速度を
上げられない要因があるということです。


その要因を分析し紐解いていくことが
歩行能力向上のために必要なことです。

 

 

今回は、脳卒中の患者さんの快適歩行速度と
最大歩行速度の関係性を解説しました。


本コラムが皆さまの何かの
お役に立てましたら幸いです。


最後までお読みいただき
ありがとうございました。

 

 

(更新日:2022年12月29日)
(執筆者:市川 貴章) 

 

 

参考文献
1)Jarvis HL, Brown SJ, Price M, Butterworth C,
Groenevelt R, Jackson K, Walker L, Rees N,
Clayton A, Reeves ND.
Return to Employment After Stroke in
Young Adults: How Important Is the
Speed and
Energy Cost of Walking?
Stroke. 2019 Nov;50(11):3198-3204.
doi: 10.1161/

STROKEAHA.119.025614. Epub 2019 Sep 26.
PMID: 31554503; PMCID: PMC6824505.

2)Fulk GD, He Y, Boyne P, Dunning K.
Predicting Home and Community Walking
Activity
Poststroke.
Stroke. 2017 Feb;48(2):406-411.

doi: 10.1161/STROKEAHA.116.015309.
Epub 2017 Jan 5. PMID: 28057807.

3)Vive S, Elam C, Bunketorp-Käll L.
Comfortable and Maximum Gait Speed in
Individuals with Chronic Stroke and
Community-Dwelling Controls.
J Stroke Cerebrovasc Dis. 2021 Oct;30(10):
106023. doi: 10.1016/j.
jstrokecerebrovasdis.2021.106023.
Epub 2021 Aug 7.PMID: 34375858.

2022-08-15 16:13:00

脳卒中患者さんのバランス能力と歩行速度の関係とは?

 

こんにちは!
歩行専門の自費リハビリ施設
ARUKONECT (アルコネクト)の代表
市川です。

 

 

本コラムでは脳卒中患者さんの
バランス能力と
歩行速度の関係についてを
解説したいと思います!



今回はMiddletonらの論文を
ご紹介いたします。

 

 

この研究では・・・
脳卒中を発症し6ヶ月以上を
経過している患者さんが対象となりました。


①歩行速度を上げられるグループ

②歩行速度を上げられないグループ

この2つのグループに分けられ、
バランス能力や歩行速度などの
比較をしています。


歩行速度を上げられるというのは
「普段通りの速度」「できるだけ速い速度」
この差が0.2m/秒以上ある場合と
定義しています。

 

 

その結果は・・・
歩行速度を上げられるグループは
バランス能力が高い(要因をもっている)
ということがわかりました。


つまり歩行速度を上げるためには、

バランス能力が影響することが
わかりました。

 

 

私が気になるところは・・・
歩行速度を計測する際、杖を使用した
人数が2グループ間で差があったことです。

歩行速度を上げられるグループに
杖の使用者が少なかったのです。


杖の使用人数になぜ差があったのか、
その要因を踏まえるとどのような結果に
なるのか気になります!

 

 

今回の論文でわかったこと、
それはバランス能力と歩行速度は
(少なからず)関係性があることです。


歩行能力の一指標である歩行速度。
速く歩けるだけでなく、バランスを
崩さずに安全に歩けることも
大切なことだと思います。

 

 

今回は、脳卒中の患者さんの
バランス能力と歩行速度の関係性を
解説しました。



本コラムが皆さまの何かの
お役に立てましたら幸いです。


最後までお読みいただき
ありがとうございました。

 

 

(更新日:2022年12月29日)
(執筆者:市川 貴章) 

 

 

参考文献

1)Middleton A, Braun CH, Lewek MD, Fritz SL.
Balance impairment limits ability to increase
walking speed in individuals with chronic stroke.
Disabil Rehabil. 2017 Mar;39(5):497-502.
doi: 10.3109/09638288.2016.1152603.
Epub 2016 Mar 13. PMID: 26972087;
PMCID: PMC5021555.

 

 

 

 

2022-08-08 20:30:00

脳卒中患者さんが使用するアームスリング~バランスや歩行への影響~

 

こんにちは!
歩行専門の自費リハビリ施設
ARUKONECT (アルコネクト)の代表
市川です。

 

 

本コラムでは脳卒中の患者さんが
使用するアームスリングのバランスや
歩行への影響を
解説したいと思います。


今回はLinらの論文を
ご紹介したいと思います!

 

 

※アームスリングとは?
マヒした肩を保護するために
装着する装具です。


Linらはアームスリングを使用した場合、
バランス能力、歩行速度・歩幅などに
どのような影響があるのかを
調査しています。

 

 

その結果・・・
アームスリングを装着すると、

(装着しない場合に比べて)
歩行速度が向上することがわかりました。


一方で歩幅やバランスには影響が
みられないことがわかりました。

 

 

【私が気になるところ】

①歩行自立度が高い方が対象

研究に参加された方は
歩行自立度が高い患者さん、
(一人で歩行可能な方)でした。

※歩行自立度とは?
歩行における介助の度合いを表すものです。


②アームスリングの種類が様々

アームスリングには様々な
タイプが
あるのですが、効果(影響)に影響を
及ぼした可能性もあります。


③歩行速度の効果量(影響)が幅広い

アームスリングを使用することで
歩行速度が向上することが明らかに
されました。

しかし・・・
その効果量(影響)が幅広く0に
かなり近いため、必ず効果があると
言い切ることが難しいのかなと
思いました。

 

 

アームスリングの効果に関しては、
様々な
論議がなされています。


肩の痛みがひどい場合は、肩を保護するため、
痛みの悪化を防ぐ目的で
アームスリングの
使用をおススメすることもあります。


マヒがあるから必ず使用するワケではなく、
その必要性は十分に検討が必要かと
思います。

 

 

脳卒中の患者さんが
使用するアームスリングのバランスや
歩行への影響を
解説しました。



本コラムが少しでも皆さまの
お役に
立てましたら幸いです。


最後までお読みいただき
ありがとうございました。

 

 

(執筆日:2022年8月8日)
(更新日:2023年6月18日)
(執筆者:市川 貴章) 

 

 

参考文献

1)Lin LC, Liao CD, Wu CW, Huang SW,
Hong JP, Chen HC.
Effect of arm sling application on gait and balance
in patients with post-stroke hemiplegia:
a systematic review and meta-analysis. Sci
Rep. 2021 May 27;11(1):11161.
doi: 10.1038/s41598-021-90602-y.
PMID: 34045541; PMCID: PMC8160322.

 

 

 

 

2022-08-06 17:29:00

運動失調の検査!SARAとは?

 

こんにちは!
歩行専門の自費リハビリ施設
ARUKONECT (アルコネクト)の代表
市川です。

 

 

本コラムでは運動失調の検査の1つ
SARAについてを
解説したいと思います。


今回はChoi らの論文を
ご紹介したいと思います!

 

 

運動失調とは?
腕・手や脚を滑らかに
動かせなくなってしまうもので、
脳卒中、多系統萎縮症、多発性硬化症
などの
患者さんにみられる症状です。


その検査として開発されたのが
Scale for the Assessment and 
Rating of Ataxia 「SARA」 です。


運動失調を点数化することができ、
現在の状態、状態の経過を確認できます。

 

 

Choi らの報告では、
発症してまもない脳卒中の患者さんが
対象となりました。


SARA以外にも、
・脳卒中の重症度(日常生活に関係する)
・体幹機能
・バランス能力
・歩行能力などの検査が行われました。


※脳卒中の重症度(日常生活動作に関係する):
 modified Rankin Scale(mRS)

※体幹機能:
Trunk Control Test(TCT)

※バランス能力:
Berg Balance Scale(BBS)

※歩行能力:
Timed Up-and-Go(TUG)
 
いずれも得点で状態をみることが
できる検査です。

 

 

その結果・・・
mRS(脳卒中の重症度)と
SARA(運動失調)の得点・TCT(体幹)の
得点に
関係性があることがわかりました。



さらにはSARAの得点はBBS(バランス)、
TCT(体幹)、TUG(歩行能力)とも
関係性があることもわかりました。

 

 

症状に合わせてリハビリの検査を
行うことで目標を達成するための
課題もみえてきます。


検査を行うことで経過を追うこともでき、
現在のリハビリメニューが妥当なのかを
振り返る判断材料の1つになります。

 

 

本コラムでは運動失調の検査の
1つであるSARAについてを
解説しました。


本コラムが少しでも皆さまの
お役に
立てましたら幸いです。


最後までお読みいただき
ありがとうございました。

 

 

(執筆日:2022年8月6日)
(更新日:2023年1月2日)
(執筆者:市川 貴章) 

 

 

参考文献

1)
Choi SW, Han N, Jung SH, Kim HD,
Eom MJ,Bae HW.
Evaluation of Ataxia in Mild Ischemic Stroke
Patients Using the Scale for the Assessment
and Rating of Ataxia (SARA).
Ann Rehabil Med. 2018 Jun 27;42(3):375-383.
doi: 10.5535/arm.2018.42.3.375.
PMID: 29961735; PMCID: PMC6058584.

 

 

 

 

2022-08-05 16:12:00

脳卒中の患者さんの肩の痛み。その危険因子とは?

 

こんにちは!
歩行専門の自費リハビリ施設
ARUKONECT (アルコネクト)の代表
市川です。

 

 

本コラムでは脳卒中の患者さんの
肩の痛みの危険因子についてを
解説したいと思います。


今回は肩の痛みの危険因子を研究した
Kimらの論文をご紹介したいと思います!

 

 

この研究では・・・
脳卒中の患者さんを対象として
腕の運動、可動域(動く範囲)、
痙縮(けいしゅく)の程度など
肩関節に
関わる検査が、発症後
1ヶ月、
3ヶ月、6ヶ月と経過を追って
実施されました。

 

 

その結果・・・
肩関節の痛みの発生率は、
1ヶ月時点で31%
6ヶ月時点では54%でした。


そして・・・
発症6ヶ月時点で
肩関節の痛みがある方は、
(痛みを生じていない方に比べて)
①年齢が70歳未満
②腕のマヒが重度である
②棘上筋の炎症・断裂がある


この3つが当てはまると
いうことがわかりました。


※棘上筋とは?
肩関節の深いところにあって
主に肩を外に広げるために働く
小さな筋肉です。


ちなみに発症後1ヶ月・3ヶ月・6ヶ月の
時期によって肩関節の痛みに関係する
要因に違いがあることもわかっています。

 

 

少なくともこの期間は肩関節を
痛めないようにするために注意を払い、
リハビリを行うことが必要なのかも
知れません。

 

 

【私が気になる点】
※少しややこしい表現となることを
 お含みおきください。


①肩関節痛への影響の程度をみるために
「オッズ比」を算出しています。
オッズ比の場合、95%信頼区間が1を
またぐか否かが大切な判断基準になります。
(またぐ場合は影響があると言えない)


棘上筋の炎症・断裂をみると
オッズ比の信頼区間が1に近いところまで
幅広いのが気になります。
つまり影響があると言い切れない
場合もあるということです。


②この研究では6ヶ月まで経過を
追っていましたが、それ以降は
どのような傾向を辿ったのか
気になるところです。

 

 

本コラムでは脳卒中の患者さんの
肩の痛みの危険因子を解説しました。


本コラムが少しでも皆さまの
お役に
立てましたら幸いです。


最後までお読みいただき
ありがとうございました。

 

 

(執筆日:2022年8月5日)
(更新日:2023年6月18日)
(執筆者:市川 貴章) 

 

 

参考文献
1)Kim YH, Jung SJ, Yang EJ, Paik NJ. Clinical and
sonographic risk factors for hemiplegic
shoulder pain: A longitudinal observational study.
J Rehabil Med. 2014 Jan;46(1):81-7.
doi: 10.2340/16501977-1238.
PMID: 24129640.

 

 

 

 

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2024.03.28 Thursday