リハビリコラム
脳卒中患者さんに対する非マヒ側の筋力トレーニングの効果
こんにちは!
歩行専門の自費リハビリ施設
ARUKONECT (アルコネクト)の代表
市川です!
本コラムでは脳卒中患者さんに対する
非マヒ側の筋力トレーニングの効果を
解説したいと思います。
※非マヒ側とは?
マヒしていない側のことです。
今回はShaoらの論文を
紹介したいと思います!
この研究では・・・
脳卒中患者さん139名が参加しました。
①通常のリハビリに基づく非マヒ側の
筋力トレーニング
②通常のリハビリ
立位でのステップ練習・体幹トレーニングなど
この2つのグループに分けられ
それぞれの効果が調査されました。
その結果・・・
バランス能力と非マヒ側の筋力は
①と②の両方のグループで
改善がみられました。
しかしながら、6分間歩行距離や
マヒ側の筋力は①のグループが
(②のグループに比べて)改善が
得られたと報告しています。
マヒ側だけでなく、非マヒ側の
トレーニングも大切ということですね!
この論文のポイントは
非マヒ側の筋力トレーニングを
立位で行ったことなのかなと
思います!
本コラムでは、脳卒中患者さんの
非マヒ側の筋力トレーニングの効果を
解説しました。
本コラムが皆さまの何かの
お役に立てましたら幸いです。
最後までお読みいただき
ありがとうございました。
(執筆日:2023年2月11日)
(執筆日:2023年2月17日)
(執筆者:市川 貴章)
参考文献
1)Shao C, Wang Y, Gou H, Xiao H, Chen T.
Strength Training of the Nonhemiplegic Side
Promotes Motor Function Recovery i
n Patients With Stroke:
A Randomized Controlled Trial.
Arch Phys Med Rehabil. 2023 Feb;104(2):
188-194. doi: 10.1016/j.apmr.2022.09.012.
Epub 2022 Oct 17. PMID: 36261056.
脳卒中患者さんの反張膝のリハビリとは?
こんにちは!
歩行専門の自費リハビリ施設
ARUKONECT (アルコネクト)の代表
市川です!
今回は脳卒中患者さんの反張膝の
リハビリについて解説したいと思います。
そもそも反張膝とは?
歩行中に膝が急激に伸展(伸びる)
する現象のことです。
その原因は?
①足関節背屈の可動域制限
②下腿三頭筋の過活動
などがあります。
そして反張膝は膝の半月板の
容積とも関係していると
言われています。
膝関節への負担を考えると、
すぐにでも解決したいところでは
ありますが、原因は一つではないことが
多い印象があります。
では反張膝に対するリハビリは
どんなことを行うと良いのでしょうか?
主に
①固有受容器トレーニング
②装具療法
③電気刺激療法(FES)
この3つの効果をそれぞれ調査した
Geerarsらの論文では、
急性期~亜急性期での反張膝に対しては
固有受容器トレーニングが有効である
可能性が示唆されています。
固有受容器トレーニングは、
立位や歩行練習中に
膝関節が伸びすぎると、
音で知らせたり、セラピストが
言葉で伝えたりする方法が
とられています。
反張膝になっている原因を
分析することも大切なことです。
股関節・膝関節・足関節・骨盤帯・
体幹などの機能だけではなく、
「コントロール可能な膝関節の角度」
「どの部分をサポートすると膝関節を
円滑にコントロールできるのか」
その詳細を分析する観察・触診も
重要だなと感じています。
本コラムでは、脳卒中患者さんの
反張膝に対するリハビリを解説しました!
本コラムが皆さまの何かの
お役に立てましたら幸いです。
最後までお読みいただき
ありがとうございました。
(執筆日:2023年2月6日)
(執筆者:市川 貴章)
参考文献
1)Li W, Li T, Xi X, Zhang R,
Sun W,Zhang D, Gong W.
Does higher knee hyperextension in patients
with hemiplegia affect lateral and medial
meniscus volume in the paretic leg?
A cross-sectional study.
BMC Sports Sci Med Rehabil. 2023
Jan 5;15(1):4. doi: 10.1186/
s13102-022-00611-1.
PMID: 36600322; PMCID: PMC9814213.
2)Geerars M, Minnaar-van der Feen N,
Huisstede BMA.
Treatment of knee hyperextension
in post-stroke gait. A systematic review.
Gait Posture. 2022 Jan;91:137-148.
doi: 10.1016/j.gaitpost.2021.08.016.
Epub 2021 Aug 24. PMID: 34695721.
脳卒中患者さんに対する前庭リハビリテーション~Gaze Stability Exercise~
こんにちは!
歩行専門の自費リハビリ施設
ARUKONECT (アルコネクト)の代表
市川です!
今回は脳卒中患者さんに対する前庭
リハビリテーションについてを
解説したいと思います。
※前庭リハビリテーションとは?
前庭とは平衡感覚を保つために
必要な器官です。
腕・脚・首・目の動きと関係があり、
姿勢を保つために働きます。
これらの調整がうまくいかなくなると
めまい、ふらつきなどが見られるように
なります。
前庭機能に対するリハビリテーションには
①適応
②慣れ
③代償
この中の「適応」に
Gaze Stability Exerciseという
方法があります。
※Gaze Stability Exerciseとは?
目の前にある文字などを見続けながら、
目だけを動かしたり、頭を動かしたり、
手を動かしたりする方法です。
Zhaoらは脳卒中患者さんに対して
Gaze Stability Exerciseを行い
その効果を検証しています。
この研究には・・・
40名の脳卒中患者さんが
参加されています。
そして、
①Gaze Stability Exerciseを
行うグループ
②Gaze Stability Exerciseを
行わないグループ
この2つのグループに分けられました。
ちなみに両グループともに、通常行われる
リハビリは実施しています。
その結果・・・
Gaze Stability Exerciseを
行ったグループは、
(行わなかったグループに比べて)
バランス能力、歩行能力、
マヒ側の立脚時間、立脚時間の
非対称性が改善することが
わかりました。
※立脚時間とは?
歩行には大きく
「立脚期」「遊脚期」
この2つに分けることができます。
立脚期は脚で支えるときのことです。
立脚時間は脚で支えている時間のことです。
立脚時間の非対称性とは?
左右の立脚時間の差です。
その差が大きくなると非対称性が
増すことになります。
【注意点】
では明日から試してみようと思った方、
お待ちください!!
他のリハビリと同じことですが、
検査や評価を行った後に行うことを
おススメします。
「めまい」には様々な原因がありますので、
前庭リハビリテーションを行うことの
リスクも検討する必要があります。
例えば、首にある動脈の血流が少なくなる
ことが原因で”めまい”などの症状が
みられることもあります。
興味をもたれた方は、現在リハビリを
行っている方でしたら専任スタッフの方に
ご相談いただくのをお勧めします!
本コラムでは、脳卒中患者さんに対する
前庭リハビリテーションを解説しました!
本コラムが皆さまの何かの
お役に立てましたら幸いです。
最後までお読みいただき
ありがとうございました。
(執筆日:2023年1月27日)
(執筆者:市川 貴章)
参考文献
1)Zhao R, Lu J, Xiao Y, Liu X, Wang Y, Xu G.
Effects of Gaze Stabilization Exercises on Gait,
Plantar Pressure, and Balance Function
in Post-Stroke Patients:
A Randomized Controlled Trial. Brain Sci.
2022 Dec 9;12(12):1694. doi: 10.3390/
brainsci12121694. PMID: 36552154;
PMCID: PMC9775540.
脳卒中患者さんのマヒした脚に対するCI療法
こんにちは!
歩行専門の自費リハビリ施設
ARUKONECT (アルコネクト)の代表
市川です!
今回は脳卒中患者さんのマヒした脚に
対するCI療法を解説したいと思います。
今回はZhouらの論文を紹介したいと
思います!
※CI療法とは?
英語では、
constraint-induced movement therapy
と言われているもので、脳卒中によって
マヒした手に対するリハビリの1つです。
日常生活で使用することをマヒした手を
目標として、課題(練習)を行ったり、
その練習が日常生活に活かせるように
工夫された方法です。
マヒした手に対するリハビリとして
発展したCI療法ですが、
脚に対して行われる場合もあります。
Zhouらの論文はマヒした脚に対する
CI療法の効果を調査した研究です。
その結果・・・
マヒした脚に対するCI療法は、
(従来の理学療法と比べて)
①マヒした脚の運動機能
②バランス能力
③歩行速度
④歩行能力
⑤日常生活動作能力
①~⑤の改善が得られたと
報告しています。
【私が気になるところ】
①CI療法の方法が統一されていないこと
インソールを使用したり、
マヒしていない側の脚に添え木を使用したりと
方法が様々な点が気になりました。
②CI療法の介入時期
どのリハビリでも同じなのですが、
発症して間もないころに効果があるのか、
発症からしばらく経過が経っても効果が
あるのか気になるところです。
私としては、マヒされた脚に対して
積極的に介入することに意味が
あるのかなと思いました。
ということは・・・
通常のリハビリとの違いが
気になり始めました。
下肢のCI療法のプロトコル(手順書)が
あるようなので読んでみたいと思います!
本コラムでは、脳卒中患者さんの
マヒした脚に対するCI療法を
解説しました!
本コラムが皆さまの何かの
お役に立てましたら幸いです。
最後までお読みいただき
ありがとうございました。
(執筆日:2023年1月9日)
(執筆者:市川 貴章)
参考文献
1)Zhou M, Tu Y, Cui J, Gao P, Yi T, Wang J,
Hao Q, Li H, Zhu T.
Effect of constraint-induced movement therapy
onlower extremity motor dysfunction in
post-stroke patients: A systematic review and
meta-analysis. Front Neurol. 2022 Nov 21;13
:1028206. doi: 10.3389/fneur.2022.1028206.
PMID: 36479056; PMCID: PMC9720264.
脳卒中患者さんの歩行~マヒ側の推進力を向上するためには~
こんにちは!
歩行専門の自費リハビリ施設
ARUKONECT (アルコネクト)の代表
市川です。
本コラムでは脳卒中の患者さんの
歩行におけるマヒ側の推進力について
解説したいと思います。
Awadらによれば、歩行距離はマヒ側の
推進力と股関節を後ろに伸ばす
角度(TLA)によって予測されると
言われています。
そして歩行中の推進力はTLAが
影響することがHsiaoらによって
明らかにされています。
つまり・・・歩行中の推進力を
得るためには股関節をいかにして
伸展(後ろに伸ばす)を行えるかが
キーになりそうです。
Lewekらは脳卒中患者さんにトレッドミル上
(ランニングマシン)で歩いていただき、
その際、弾性バンドを用いて後方へ引く力
(抵抗力)を与えました。
その結果・・・
マヒ側・非マヒ側ともに推進力が
向上した(特にマヒ側)とされ、
Hsiaoらの研究同様にTLAが推進力と
関係があることがわかりました。
さらには後方へ引く力(抵抗力)を除いても
推進力は向上したままであったことも
わかっています。
Lewekらはトレーニングとして用いては
いませんが、歩行速度や歩行距離と
関係のある推進力を向上させるための
戦略として活用できそうです。
ただし・・・
マヒ側の運動機能、関節や筋肉の柔軟性、
筋シナジー、荷重量などの影響を踏まえた
上でTLAを構築するための戦略を
考えた方が良いかなと思いました。
本コラムでは脳卒中の患者さんの
歩行におけるマヒ側の推進力について
解説しました。
本コラムが皆さまの何かの
お役に立てましたら幸いです。
最後までお読みいただき
ありがとうございました。
(更新日:2022年11月28日)
(執筆者:市川 貴章)
参考文献
1)Awad LN, Binder-Macleod SA, Pohlig RT,
Reisman DS. Paretic Propulsion and Trailing Limb
AngleAre Key Determinants of Long-Distance
Walking Function After Stroke.
Neurorehabil Neural Repair. 2015
Jul;29(6):499-508.
doi: 10.1177/1545968314554625.
Epub 2014 Nov 10.
PMID: 25385764; PMCID: PMC4426250.
2)Hsiao H, Knarr BA, Higginson JS,
Binder-Macleod SA. The relative contribution
of ankle moment and trailing limb angle to
propulsive force during gait. Hum Mov Sci.
2015 Feb;39:212-21. doi: 10.1016/j.
humov.2014.11.008. Epub 2014 Dec 12.
PMID: 25498289; PMCID: PMC4272868.
3)Hsiao H, Knarr BA, Higginson JS,
Binder-Macleod SA.
Mechanisms to increase propulsive force for
individuals poststroke. J Neuroeng Rehabil.
2015 Apr 18;12:40. doi: 10.1186/s12984-
015-0030-8. PMID: 25898145;
PMCID: PMC4406180.
4)Lewek MD, Raiti C, Doty A.
The Presence of a Paretic Propulsion
Reserve During Gait in Individuals
Following Stroke. Neurorehabil Neural Repair.
2018 Dec;32(12):1011-1019.
doi: 10.1177/1545968318809920.
PMID: 30558525; PMCID: PMC6300055.