歩行専門の自費リハビリ施設「アルコネクト 」

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リハビリコラム

2022-11-05 09:00:00

脳卒中患者さんの歩行能力と膝伸展筋力との関係性

 

こんにちは!
歩行専門の自費リハビリ施設
ARUKONECT (アルコネクト)の代表
市川です!

 

 

本コラムでは脳卒中患者さんの
歩行能力と膝伸展筋力との関係性を
解説したいと思います。


※膝伸展筋力とは?
 膝を伸ばす力のことです。
 握力と同じように数値ができる筋力計と
 呼ばれるものを使用することもあります。

  

 

今回はWangらの論文を
紹介したいと思います!

 

 

この研究では・・・
歩行が自立している慢性期の脳卒中患者さん
35名が参加し、
歩行速度、持久力、
膝伸展筋力との関係性が調査されました。

 

 

その結果・・・

【歩行速度】
歩行速度はマヒ側の膝伸展筋力によって
約49%が説明できることがわかりました。
(自由度調整済決定係数=0.497)

【持久力(VO2peak)】
持久力は非マヒ側の膝伸展筋力によって
約42%が説明できることがわかりました。
(自由度調整済決定係数=0.422)

 

 

※自由度調整済決定係数とは?
(回帰式の)予測精度のことです。
0~1の範囲で表され、1に近づくほどに
(回帰式の)精度が高いと判断されます。


また絶対的な基準ではありませんが、
0.5以上あると予測精度が高いと
判断できます。


今回の数値をみると、0.5に近いところに
あるため、
膝伸展筋力は歩行能力に
関係があると
言えそうです。

 

 

では歩行自立の判断材料としての
膝伸展筋力の目安はいくつなのでしょうか?


Akasawaらの報告によれば、
 (単位:)

・マヒ側の膝伸展筋力は0.46N/m/kg
・非マヒ側の膝伸展筋力:0.65N/m/kg
・マヒ側と非マヒ側の合計:1.31N/m/kg


筋力計のある施設の場合は
参考になるかもしれません。


ちなみに・・・
筋力計がない場合でも
起立できる台の高さなどから
推定することはできます!


研究に参加されている患者さんによって
基準値は変化しますので、
当施設では参考にする基準値は
ご利用者様によって変えています!

 

 

本コラムでは、脳卒中患者さんの
歩行能力と膝伸展筋力の関係性を
解説しました。


本コラムが皆さまの何かの
お役に立てましたら幸いです。


最後までお読みいただき
ありがとうございました。

 

 

(執筆日:2022年11月5日)
(更新日:2022年12月30日)
(執筆者:市川 貴章) 

 

 

参考文献

1)Wang WT, Huang LT, Chou YH, Wei TS, Lin CC.
Nonparetic knee extensor strength is
the determinant of exercise capacity of
community-dwelling stroke survivors.
ScientificWorldJournal. 2014;2014:769875.
doi: 10.1155/2014/769875. Epub 2014 Aug 14.
PMID: 25197712; PMCID: PMC4150499.

2)Akazawa N, Okawa N, Tamura K, Moriyama H.
Determining the cut-off value forknee extensor
strength for identifying independence
in gait in chronic stroke survivors.
J Rehabil Med. 2017 Nov 21;49(9):765-767.
doi: 10.2340/16501977-2279. PMID: 28949369.

 

 

 

 

2022-11-04 09:30:00

脳卒中患者さんの歩行における非対称性の修正するには?

 

こんにちは!
歩行専門の自費リハビリ施設
ARUKONECT (アルコネクト)の代表
市川です!

 

 

本コラムでは脳卒中患者さんの
歩行における非対称性の修正する
方法を
解説したいと思います。

  

 

今回はLewekの論文を
紹介したいと思います!


この研究は立脚時間・歩幅の
非対称性に注目しています。


※立脚時間とは?
歩行中、脚で支えている時期を
「立脚期」といい、その時間を
「立脚時間」といいます。

 ちなみに脚を前に出す時は、
 「遊脚期」といいます。

 

 

この論文では立脚時間や歩幅が
非対称である
脳卒中患者さんが集められました。


そして・・・
①立脚時間の非対称性が強い

②歩幅の非対称が強い

①もしくは②のグループに分けられました。


その2つのグループには
Ⓐエラー増強
Ⓑエラー最小
Ⓒ通常


このⒶ~Ⓒの3つの条件下で、
スプリットベルト型トレッドミルでの
トレーニングと通常の歩行練習の
2種類のリハビリを実施し、その効果が
調査されました。


※スプリットベルト型トレッドミルとは?
トレッドミルはスポーツジムにあるような
ランニングマシンのことです。

スプリット型は左右の脚をのせている
ベルトが違う速度で動かすことも
できるタイプです。


Ⓐエラー増強とは?
例えば、立脚時間が短い場合に、
立脚時間を長くするように、
ベルトの速さを調整する設定です。


Ⓑエラー最小とは?
例えば、立脚時間が短い場合に、
その状態に合わせて、ベルトの
速さを調整する設定です。


Ⓒ通常とは?
通常行われるトレッドミルでの
トレーニングです。

 

 

その結果・・・

【歩幅】
どのグループもトレーニング前後を
比較すると、歩幅の非対称性の改善を
示しました。


【立脚時間】
トレーニングによる効果や
トレーニング方法の差はみられないことを
示しました。


【歩行速度】
歩行速度はトレーニング前後で向上する
傾向があり、歩幅の非対称性の改善と
関連があることがわかりました。

 

 

Ⓐエラー増強Ⓑエラー最小Ⓒ通常

この3つのトレーニング方法には効果に
差は見られませんでした。


しかし「言葉によるフィードバック」は
3つの方法に共通しており、それが功を
奏したのではないかと著者は述べています。


歩幅の非対称性は言葉がけで幾分
修正される可能性が
あるということです。


立脚時間の非対称性は効果が
見られなかったため、立脚時間の
非対称性の改善にはまた違った視点が
必要なのかも知れません。


例えば・・・
脚の位置を変えてステップを行い、
その脚で支える力が発揮できるのかを
調べ、その結果によってリハビリの
内容を修正することも大切です。

 

 

本コラムでは、脳卒中患者さんの
歩行における非対称性の修正する
方法を解説しました。



本コラムが少しでも皆さまの
お役に立てましたら幸いです。


最後までお読みいただき
ありがとうございました。

 

 

(執筆日:2022年11月4日)
(更新日:2023年12月4日)
(執筆者:市川 貴章) 

 

 

参考文献

1)Lewek MD, Braun CH, Wutzke C, Giuliani C.
The role of movement errors in modifying
spatiotemporal gait asymmetry post stroke:
a randomized controlled trial.
Clin Rehabil. 2018 Feb;32(2):161-172.
doi: 10.1177/0269215517723056.
Epub 2017 Jul 27.
PMID: 28750549; PMCID: PMC5748372.

 

 

 

 

2022-11-03 09:30:00

脳卒中患者さんの歩行能力の予測~MRIの有用性~

 

こんにちは!
歩行専門の自費リハビリ施設
ARUKONECT (アルコネクト)の代表
市川です!

 

 

本コラムでは脳卒中患者さんの
歩行能力の予測におけるMRIの
有用性を
解説したいと思います。


※MRIとは?
磁場を発生させて体内を様子を画像
(断面図)でみることができる検査です。

  

 

今回はImuraらの論文を
紹介したいと思います!

 

 

この論文では、脳卒中患者さんの
歩行能力の予測においてMRIを
使用している論文が集められました。

 

 

その結果・・・
歩行回復には、脳の運動関連領域や島が
影響があることがわかりました。


※運動関連領域とは?
一次運動野、放線冠、内包、
大脳基底核などの名前にもあるように
運動に関係する場所です。



さらに皮質脊髄路や皮質網様体脊髄路などの
神経路も歩行能力と関係があることが
わかりました。

※皮質脊髄路とは?
 運動に関わる神経の道です。

皮質網様体脊髄路とは?
 筋肉の緊張具合や姿勢の調整に
 関わる神経の道です。

 

 

予後を予測するためには、
MRIの所見を参考にしつつ、
検査で詳しく身体の状態を丁寧に
みていくことが大切だと考えています。


※もちろんリハビリ専門職のみならず
医師や看護師、介護士など様々な職種の
見解が必要になります。

 

 

本コラムでは脳卒中患者さんの
歩行能力の予測におけるMRIの
有用性を
解説しました。


本コラムが少しでも皆さまの
お役に立てましたら幸いです。


最後までお読みいただき
ありがとうございました。

 

 

(執筆日:2022年11月3日)
(更新日:2023年1月1日)
(執筆者:市川 貴章) 

 

 

参考文献

1)Imura T, Mitsutake T, Iwamoto Y, Tanaka R.
A systematic review of the usefulness of
magnetic resonance imaging in predicting
the gait ability of stroke patients.
Sci Rep. 2021 Jul 12;11(1):14338.
doi: 10.1038/s41598-021-93717-4.
PMID: 34253774;PMCID: PMC8275756.

 

 

 

 

2022-11-01 14:00:00

脳卒中患者さんが外を自由に歩くための目安

 

こんにちは!
歩行専門の自費リハビリ施設
ARUKONECT (アルコネクト)の
代表
市川です!

 

 

本コラムでは脳卒中患者さんの
外を自由に歩くための目安

解説したいと思います。

 

 

そこでBijleveld-Uitmanらの
論文を
紹介したいと思います!

※FIT-stroke試験のデータが
 使用されています。

 

 

この研究には脳卒中の患者さんが
参加され、移動できる範囲に応じて
4つのグループに分けられ
ました。

①屋外での歩行が困難

②車や自宅前の郵便ポストまで歩行可能

③自宅周辺(道を下るなど)は歩行可能

④近くのお店・友人の家まで歩行可能


最終的には・・・
①~③を外を自由に歩けないグループ
④を外を自由に歩けるグループ
この2つのグループに分けられ
調査されました。

 

 

その結果・・・
外を自由に歩くための目安として
「歩行速度」と「歩行距離」が
活用できることがわかりました。

 

 

【この論文でわたしが気になるポイント】

1つ目
自宅近隣を歩ける患者さんも、
外を自由に歩けないグループに
含んでいるところです。


2つ目
歩行速度や歩行距離の具体的な基準値は
算出されていませんので、他の似たような
研究が参考になるのかなと思いました。

歩行速度はこちらの記事をご覧ください!!
>>脳卒中患者さんの屋外歩行~歩行速度の目安~



3つ目
屋外を歩ける方の割合が79.3%と
私の経験からは多いなと感じました。
他の研究ではどのような割合が
報告されているのか気になります。

 

 

外を自由に歩くためには歩行能力だけでなく
バランス能力や注意など様々な機能が
必要になりますので、他の検査との
組み合わせが大事だなと感じています。

 

 

本コラムでは、脳卒中患者さんが外を
自由に歩くための目安を解説しました。


本コラムが皆さまの何かの
お役に立てましたら幸いです。


最後までお読みいただき
ありがとうございました。

 

 

(執筆日:2022年11月1日)
(更新日:2022年12月30日)
(執筆者:市川 貴章) 

 

 

参考文献

1)Bijleveld-Uitman M, van de Port I, Kwakkel G.
Is gait speed or walking distance a better predictor
for community walking after stroke?
J Rehabil Med. 2013 Jun;45(6):535-40.
doi: 10.2340/16501977-1147. PMID: 23584080.

 

 

 

 

2022-10-31 10:36:00

脳卒中患者さんに対するモビライゼーションの効果

 

こんにちは!
歩行専門の自費リハビリ施設
ARUKONECT (アルコネクト)の代表
市川です!

 

 

本コラムでは脳卒中患者さんに対する
モビライゼーションの効果を
解説したいと思います。

 

 

そこでAlamerらの論文を
紹介したいと思います!

 

 

モビライゼーションとは、
関節の動きを出したり、痛みを
緩和するための手技です。


その手技の多くは、患者さんが
座った状態や寝た状態で受ける
ものです。


数あるモビライゼーションの中で
マリガンコンセプトというものが
あります。


このマリガンコンセプトの中には
運動併用モビライゼーション(MVM)が
あります。


患者さんに関節を動かしてもらいながら
モビライゼーションを行うものです。

 

 

Alamerらの論文では・・・
慢性期脳卒中患者さんの足関節
MVMに関する論文が集められました。

 

 

集められた論文のその多くは、

①足関節のMVMを行うグループ

②通常のリハビリ

この2つのグループに分けられていました。


通常のリハビリではストレッチ、
偽MVM、関節可動域運動、
体重負荷運動が行われました。

 

 

その結果・・・
①足関節背屈の関節可動域拡大
※足関節背屈とは?
 つま先を上に挙げる動きです。

②バランス能力の改善

③歩行の時空間パラメータの改善
※時空間パラメータとは?
 歩行速度・歩幅などです。

以上の3つの項目に改善があったと
報告しています。

 

 

【もし私が現場で用いるなら~注意点~】

①MVMを受けたグループは
 通常のリハビリも実施している
 場合がある。

②MVMはストレッチや関節可動域運動と
 どのぐらい効果に違いがあるのか
 気になります!

 

 

モビライゼーションという手技の特性上、
施術するスタッフの技量が関わってきます。

手技の選択にどのようなプロセスを
経て判断されているのかも大切で、

モビライゼーション以外のリハビリに
おいても同じことが言えるかと思います!

 

 

本コラムでは、脳卒中患者さんに対する
モビライゼーションの効果を
解説しました。


本コラムが皆さまの何かの
お役に立てましたら幸いです。


最後までお読みいただき
ありがとうございました。

 

 

(執筆日:2022年10月31日)
(更新日:2022年12月30日)
(執筆者:市川 貴章) 

 

 

参考文献

1)Alamer A, Melese H, Getie K, Deme S,
Tsega M,Ayhualem S, Birhanie G, Abich Y,
Yitayeh Gelaw A.
Effect of Ankle Joint Mobilization with
Movement on Range of Motion,Balance
and Gait Functionin Chronic Stroke Survivors:
Systematic Review of Randomized Controlled Trials.
Degener Neurol Neuromuscul Dis.
2021 Sep 1;11:51-60. doi: 10.2147/
DNND.S317865. PMID: 34512072;
PMCID: PMC8420562.

 

 

 

 

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