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リハビリコラム

2022-11-12 16:00:00

脳卒中患者さんの痙縮~発生率と危険因子~

 

こんにちは!
歩行専門の自費リハビリ施設
ARUKONECT (アルコネクト)の代表
市川です!

 

 

本コラムでは脳卒中患者さんの
痙縮の発生率と危険因子を
解説したいと思います。


痙縮とは・・・
筋肉がこわばってしまったり、
手や脚が突っ張ってしまう
症状のことです。

  

 

今回はZengらの論文を
紹介したいと思います!

 

 

この論文は・・・
脳卒中患者さんの有病率と危険因子を
メタアナリシスという方法で
調査しています。


※メタアナリシスとは?
似た研究を集めて、統計学的な手法を用いて
解析する方法です。

 

 

その結果・・・

【発生率】
マヒのある脳卒中患者さんの痙縮の
発生率は39.5%、重度の痙縮の
(mAS3以上)発生率は9.4%でした。


※mAS(modified Ashworth Scale) とは?
痙縮を検査する方法の1つです。
関節を動かしたときの、筋肉の抵抗感で
0、1、1+、2、3、4の6段階で
評価するもので、数字が大きいほど、
痙縮が強いと判断します。


痙縮の定義から踏まえるとクローヌス、
深部腱反射などの検査と組み合わせて
判断した方が良いかなと思います。

 

 

【危険因子】
中等度~重度のマヒがある場合の
オッズ比は6.573(95%CI 2.579-16.755)
でした。

つまり・・・

中等度~重度のマヒがある場合、
(マヒが中等度・重度でない場合に比べ)
痙縮が生じやすい可能性があるのです。


さらに(重度の)痙縮の発生率は、
発症後よりも時間経過とともに
増加することも明らかにされています。

 

 

Liらの報告によれば、
痙縮と筋力低下の影響が組み合わさることで、
運動障害を生じ、運動学習も阻害すると
言われています。


つまり・・・
痙縮は手や脚の動きに影響を及ぼし、
動作の獲得を邪魔するのです。

 

 

痙縮のメカニズムを踏まえると、
運動機能を高めるリハビリに併せて
痙縮への対応を行っていくことが
大切だなと思います。


次回のコラムでは痙縮に対する
リハビリを解説したいと考えています!
ぜひそちらもご覧ください!

 

 

本コラムでは、脳卒中患者さんの
痙縮の発生率と危険因子を
解説しました。


本コラムが皆さまの何かの
お役に立てましたら幸いです。


最後までお読みいただき
ありがとうございました。

 

 

(執筆日:2022年11月12日)
(更新日:2022年12月29日)

(執筆者:市川 貴章) 

 

 

参考文献

1)Zeng H, Chen J, Guo Y, Tan S.
Prevalence and Risk Factors for Spasticity
After Stroke: A Systematic Review and Meta-Analysis.
Front Neurol. 2021 Jan 20;11:616097.
doi: 10.3389/fneur.2020.616097.
PMID: 33551975; PMCID: PMC7855612.


2)Li S, Francisco GE, Rymer WZ.
A New Definition of Poststroke Spasticity and
the Interference of Spasticity With
Motor Recovery From Acute to Chronic Stages.
Neurorehabil Neural Repair. 2021 Jul;
35(7):601-610. doi: 10.1177/15459683211011214.
Epub 2021 May 12. PMID: 33978513.

 

 

 

 

2022-11-11 13:50:00

脳卒中患者さんの脳画像~運動機能と歩行能力~

 

こんにちは!
歩行専門の自費リハビリ施設
ARUKONECT (アルコネクト)の代表
市川です!

 

 

本コラムでは、脳卒中患者さんの
脳画像について、運動機能と
歩行能力に焦点を当てて
解説したいと
思います。

 

 

今回はFrenkel-Toledoらの論文を
紹介したいと思います!

 

 

この研究では・・・
脳卒中発症後1年以上経過し、
歩行が見守りもしくは自立している
患者さん67
名が参加しました。


脳画像とマヒした脚の運動機能そして
歩行能力との関係が調査されました。


※歩行能力とは?
この研究では歩行速度のことです。

 

 

その結果(一部)・・・

①脳卒中の病変が左側の場合

脚の運動機能には・・・
内包後脚が関係することが
わかりました。


歩行能力には・・・
内包後脚・放線冠・外包・
尾状核が関係することが
わかりました。


②脳卒中の病変が右側の場合

脚の運動機能には・・・
放線冠・上縦束・島皮質が
関係することがわかりました。


歩行能力には・・・
放線冠・上縦束・島皮質・被殻・
視床・内包・外包・シルビウス溝周辺の
皮質が関係することがわかりました。

 

 

まとめると・・・
脚の運動に関係する神経や運動の調整に
関わる脳の部位の病変が歩行能力に
影響するということです。

 

 

脳画像をもとに現れる症状を推測し、
マヒした脚の運動機能や歩行を
妨げている原因を明らかにすることが
大切であると思います。

 

 

本コラムでは、脳卒中患者さんの
脳画像について、脚の運動機能と
歩行能力に焦点を当て
解説しました。


本コラムが皆さまの何かの
お役に立てましたら幸いです。


最後までお読みいただき
ありがとうございました。

 

 

(執筆日:2022年11月11日)
(更新日:2023年2月17日)
(執筆者:市川 貴章) 

 

 

参考文献

1)Frenkel-Toledo S, Ofir-Geva S,
Mansano L, Granot O, Soroker N.
Stroke Lesion Impact on Lower Limb Function.
Front Hum Neurosci. 2021 Feb 1;15:592975.
doi: 10.3389/fnhum.2021.592975.
PMID: 33597852; PMCID: PMC7882502.

 

 

 

 

2022-11-09 09:00:00

脳卒中患者さんの脳画像~バランス能力と歩行能力~

 

こんにちは!
歩行専門の自費リハビリ施設
ARUKONECT (アルコネクト)の代表
市川です!

 

 

本コラムでは脳卒中患者さんの
脳画像について解説します。
特にバランス能力と歩行能力に焦点を
当てたいと思います!

  

 

今回はHandelzaltsらの論文を
紹介します!

 

 

この研究には、脳卒中を発症されてから
3ヶ月未満の患者さん
46名が
参加しました。


そして脳画像と転倒閾値、バランス能力、
マヒ側の脚の運動機能、歩行距離との
関係性が調査されました。


※転倒閾値とは?
この論文では「反射性バランス能力」と
定義しています。
急にバランスを崩した際のバランスの
復帰を評価したものです。

 

 

その結果・・・
バランス能力、歩行能力、
マヒ側の脚の運動機能は、
皮質脊髄路に沿った被殻や白質(神経線維)が
関係することがわかりました。


※皮質脊髄路は運動に関わる神経の道です。
※被殻は運動の調整に関わる部位です。


さらに・・・
【病変が右側の場合】
転倒閾値・バランス能力・マヒ側の
脚の運動機能は内包後脚や上放線冠
関係していることがわかりました。


※内包後脚は先程の皮質脊髄路や感覚に
 関わる神経線維の通り道です。


【病変が左側の場合】
転倒閾値・歩行距離・マヒ側の
脚の運動機能は被殻や外包に関係する
ことがわかりました。

 

 

私の経験からも脳卒中患者さんの
症状は人ぞれぞれで違います。



そのため脳画像を参考にしながら、
身体の状態を検査で丁寧にみることが
大切だと感じています。


例えば・・・
一口に”バランス”と言っても
バランスを保つためには様々な
要素で成り立っています。


Horakらの報告では、
・生体力学的制約
・安定限界/垂直性
・予測姿勢調整
・姿勢反応
・感覚的方向性
・歩行の安定性


この6つを基盤としてバランスが
成り立つと説明しています。


1つの考え方でありますが、この6つの
どれがバランス能力に影響しているのか
検査を行い、その結果に応じた
リハビリが必要だと思います。

 

 

本コラムでは、脳卒中患者さんの
脳画像について、バランス能力と
歩行能力に焦点を当てて
解説しました。


本コラムが皆さまの何かの
お役に立てましたら幸いです。


最後までお読みいただき
ありがとうございました。

 

 

(執筆日:2022年11月9日)
(更新日:2023年1月1日)
(執筆者:市川 貴章) 

 

 

参考文献

1)Handelzalts S, Melzer I, Soroker N.
Analysis of Brain Lesion Impact on
Balance and Gait Following Stroke.
Front Hum Neurosci. 2019 May 14;13:149.
doi: 10.3389/fnhum.2019.00149.
PMID: 31139067; PMCID: PMC6527742.

2)Horak FB, Wrisley DM, Frank J.
The Balance Evaluation Systems Test (BESTest) to
differentiate balance deficits.
Phys Ther. 2009 May;89(5):484-98.
doi: 10.2522/ptj.20080071.
Epub 2009 Mar 27.
PMID: 19329772; PMCID: PMC2676433.

 

 

 

 

2022-11-08 09:00:00

脳卒中患者さんの痙縮と運動機能との関係

 

こんにちは!
歩行専門の自費リハビリ施設
ARUKONECT (アルコネクト)の代表
市川です!

 

 

本コラムでは脳卒中患者さんの
痙縮と運動機能との関係を
解説したいと思います。


※痙縮とは?
筋肉がこわばってしまったり、
手や脚が突っ張ってしまう症状のことです。

 

 

今回はPundikらの論文を
紹介したいと思います!

 

 

この論文では・・・
中等度~重度のマヒがある脳卒中患者さんが
128名参加され、痙縮と運動機能との関係が
調査されました。

 

 

その結果・・・

①腕や手(上肢)は、筋肉の緊張が高いと
筋力も低い傾向がありました。

※痙縮の症状の1つに筋緊張亢進
(筋肉の緊張が高まる)があります。

例えば・・・
指を曲げる筋肉の緊張が
高いと、
指を伸ばす筋力が低下すると
いうことです。


②手や脚の運動は痙縮と(少なからず)
関係があることもわかりました。


Liらの報告を加えると、
痙縮は手や脚の動きに影響を及ぼし、
動作の獲得を邪魔するとも言われています。


痙縮が手や脚の運動を邪魔しているとすれば、
痙縮に対するアプローチ、例えば装具や
電気刺激療法、振動刺激療法など
適応によって実施を検討することも
必要かも知れません。

 

 

手や脚の運動機能が十分に発揮できない
原因を検査であったり、脳画像であったり
様々な視点から分析することが大切だなと
感じています。

 

 

本コラムでは、脳卒中患者さんの
痙縮と運動機能の関係を解説しました。


本コラムが皆さまの何かの
お役に立てましたら幸いです。


最後までお読みいただき
ありがとうございました。

 

 

(執筆日:2022年11月8日)
(更新日:2022年12月29日)

(執筆者:市川 貴章) 

 

 

参考文献

1)Pundik S, McCabe J, Skelly M,Tatsuoka C,
Daly JJ.
Association of spasticity and motor dysfunction
in chronic stroke. Ann Phys Rehabil Med.
2019 Nov;62(6):397-402. doi: 10.1016/j.
rehab.2018.07.006.
Epub 2018 Aug 10. PMID: 30099149.

2)Li S, Francisco GE, Rymer WZ.
A New Definition of Poststroke Spasticity and
the Interference of Spasticity With
Motor Recovery From Acute to Chronic Stages.
Neurorehabil Neural Repair. 2021 Jul;
35(7):601-610. doi: 10.1177/15459683211011214.
Epub 2021 May 12. PMID: 33978513.

 

 

 

 

2022-11-07 09:00:00

脳卒中患者さんのステッピング練習の効果

 

こんにちは!
歩行専門の自費リハビリ施設
ARUKONECT (アルコネクト)の代表
市川です!

 

 

本コラムでは脳卒中患者さんの
ステッピング練習の効果を
解説したいと思います。

  

 

今回はHornbyらの論文を
紹介したいと思います!

 

 

この研究には・・・
脳卒中患者さんが90名が
参加しました。

①高強度のステッピング練習

②低強度のステッピング練習

③前方への歩行練習のみ

この3つのグループに
振り分けられました。


※ステッピング練習とは?

Ⓐトレッドミルトレーニング
 様々な方向への歩行、
 障害物を越える練習
 重りをつけた歩行など

Ⓑ歩行練習
 早歩き、狭い場所の通過など

Ⓒ階段昇降

以上のトレーニングのことです。

 

 

予測最大心拍数=208-(0.7×年齢)

この数値の70~80%の心拍数を目標として
運動を行うグループを「高強度」
式に表すと・・・
高強度=208-(0.7×年齢)×0.7~0.8


この数値の30~40%の心拍数を目標として
運動を行うグループを「低強度」
式に表すと・・・
低強度=208-(0.7×年齢)×0.3~0.4


前方への歩行練習を行うグループには
高強度のグループと同様に
予測最大心拍数の70~80%の心拍数を
目標に運動を行いました。

 

 

【運動強度の目安】
予測最大心拍数は、適切な負荷で
運動するための
大切な目安です。

予測最大心拍数を算出する式は、
・208-(0.7×年齢)
・220-年齢

ちなみに・・・
心拍数から運動強度を計算する方法として
カルボーネンの式があります。

運動強度(%)=A÷B×100
A=(運動時心拍数-安静時心拍数)
B=(最大心拍数-安静時心拍数)

高血圧や糖尿病などの既往歴、
血圧や脈拍の推移などをみて
負荷を抑えることが
必要な場合があります!

 

 

その結果・・・
高強度のグループは低強度のグループと
比較してマヒ側の立脚時間が増えると
いうことがわかりました。


つまり・・・
マヒ側の脚で支えている時間が
増えた(延びた)ということです。


※立脚期と遊脚期とは?
立脚期・・・脚で支えている時
遊脚期・・・脚を出している時
歩行はこの大まかにはこの2つに
分けられます。

 

 

Lewekらの報告によれば、歩幅の
左右差の改善には、言葉による
修正が必要とされています。


HornbyらとLewekらの報告を踏まえると
歩行能力の改善には、個々の課題に合った
リハビリを行うことが大切
ということです。

 

 

本コラムでは、脳卒中患者さんの
ステッピング練習の効果を
解説しました。


本コラムが皆さまの何かの
お役に立てましたら幸いです。


最後までお読みいただき
ありがとうございました。

 

 

(執筆日:2022年11月6日)
(更新日:2022年12月29日)
(執筆者:市川 貴章) 

 

 

参考文献

1)Hornby TG, Henderson CE, Plawecki A,
Lucas E, Lotter J, Holthus M, Brazg G, Fahey M,
Woodward J, Ardestani M, Roth EJ.
Contributions of Stepping Intensity and
Variability to Mobility in Individuals Poststroke.
Stroke. 2019 Sep;50(9):2492-2499.
doi: 10.1161/STROKEAHA.119.026254.
Epub 2019 Aug 22.
PMID: 31434543;PMCID: PMC7241260.

2)
Lewek MD, Braun CH, Wutzke C, Giuliani C.
The role of movement errors in modifying
spatiotemporal gait asymmetry post stroke:
a randomized controlled trial.
Clin Rehabil. 2018 Feb;32(2):161-172.
doi: 10.1177/0269215517723056.
Epub 2017 Jul 27.
PMID: 28750549; PMCID: PMC5748372.

 

 

 

 

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2024.04.26 Friday