歩行専門の自費リハビリ施設「アルコネクト 」

歩行専門”の自費リハビリ施設 『アルコネクト』

▸科学的な裏付けに基づくリハビリ

▸認定理学療法士の資格保有者が対応

▸完全予約制の個別対応
 03-6693-0966
お問い合わせ

リハビリコラム

2023-11-14 14:10:00

脳卒中患者さんに対する機能的電気刺激(FES)を用いた歩行練習

 

こんにちは!
歩行専門の自費リハビリ施設
ARUKONECT (アルコネクト)の代表
市川です。

 

 

本コラムでは脳卒中患者さんに対する
機能的電気刺激(FES)を用いた歩行練習を
解説したいと思います。

 

 

FESは電気刺激療法の1つです。
麻痺している筋肉を電気によって
刺激することで、運動機能を補うものです。


脳卒中患者さんでは、歩行中につま先が
うまく挙げられないこと(下垂足)があるため、
その運動機能を補うために、電気刺激を
行います。

 

 

その効果については、脳卒中理学療法
ガイドラインではいまだ不明確と記載されて
います。


ちなみに理学療法ガイドライン第2版は
Mindsガイドラインライブラリーという
サイトで一般公開されています。


ガイドラインでは「効果は不明確」という
ことですが、効果が得られている研究結果も
報告されているため、実施する際には
より検討が必要かと思います。

 

 

今回はガイドライン公表以降に報告された
Dantasらの論文を紹介したいと思います。

 

 

Dantasらの研究では・・・
①FES+トレッドミルトレーニング
②トレッドミルトレーニングのみ


この2つのグループに分け、
途中(6週間)でグループの入れ替えを
行い、効果を検証しています。


つまり・・・
FES+トレッドミルトレーニングを続けて行い、
その後トレッドミルトレーニングのみに切り替えた
ということになります。


逆も然りで、トレッドミルトレーニングのみを
続けて行い、その後FES+トレッドミル
トレーニングに切り替えています。

 

 

その結果・・・

両グループ
感覚運動障害、バランス、協調性、
持久力の改善が見られた。


トレッドミルトレーニングのみから実施した

協調性が改善がみられた。


FES+トレッドミルトレーニングから実施した

歩行能力の改善がみられたと報告しています。

 

 

グループによって、協調性・歩行能力改善に
違いがみられたのはなぜだろうと疑問に
感じました。
効果の大きさでみるとどのような結果に
なるのか気になるところです。


これはリハビリ全般に言えることですが、
論文1つだけで判断するのではなく、
様々な研究報告を吟味する必要が
あるなと感じています。


その上で、最終的には実施方法については
お一人お一人の病態を考えた上で
検討することが大事なと思います。

 

 

本コラムでは脳卒中患者さんに対する
FESを用いた歩行練習についてを
解説しました。


本コラムが少しでも皆さまの
お役に
立てましたら幸いです。


最後までお読みいただき
ありがとうございました。

 

 

(執筆日:2023年11月16日)
(執筆者:市川 貴章) 

 

 

参考文献
1)Dantas MTAP, Fernani DCGL, Silva TDD,
Assis ISA, Carvalho AC, Silva SB, Abreu LC,
Barbieri FA,Monteiro CBM.
Gait Training with Functional Electrical Stimulation
Improves Mobility in People Post-Stroke. Int J Environ
Res Public Health. 2023 May 5;20(9):5728.
doi: 10.3390/ijerph20095728.
PMID: 37174247; PMCID: PMC10178257.

 

 

 

 

2023-03-10 21:36:00

足関節底屈筋と歩行時の推進力との関係性

 

こんにちは!歩行専門の自費リハビリ施設
ARUKONECT (アルコネクト)の
代表市川です。

 

 

本コラムでは脳卒中患者さんの
足関節底屈筋と歩行時の推進力との関係性を
解説したいと思います。

 

 

こちらの記事が最新版です!
⇩⇩⇩
>> かかとを上げる運動って本当に大事なの?

※足関節底屈筋とは?
足のつま先を下げるとき、立っている時や
かかと挙げを
するときに働く筋肉です。
代表的なのが、下腿三頭筋。
ふくらはぎの筋肉です!

 

 

Awadらによれば、
足関節底屈の筋力と歩行時の推進力は
関係しないと報告されています。


しかし、足関節底屈筋力を生み出す能力は
歩行時におけるマヒ側の推進力、
歩行速度ともに関係するとされています。


実際に発揮されている力と
本来もっている力(潜在能力)の差が
大きいと、筋力を生み出す能力が
低下しているということになります。


さらにHsiaoらによれば、推進力を
生みだすには、立脚後期で
「股関節をいかに後ろに伸ばせるのか」が
より重要であると報告しています。

 

 

私としては、股関節を後ろに伸ばした位置に
キープするためにも足関節底屈筋の働きは
重要だと思います。


そのためは、単に足関節底屈筋の
筋力トレーニングを行うだけではなく、
筋肉が十分な力を発揮できるための
質的な改善も必要なのかなと思います。

 

 

本コラムでは脳卒中患者さんの
足関節底屈筋と歩行時の推進力との
関係性を解説しました。


本コラムが少しでも皆さまの
お役に
立てましたら幸いです。


最後までお読みいただき
ありがとうございました。

 

 

(執筆日:2023年3月10日)
(執筆者:市川 貴章) 

 

 

参考文献
1)Awad LN, Hsiao H, Binder-Macleod SA.
Central Drive to the Paretic Ankle Plantarflexors
Affects the Relationship Between Propulsion
and Walking Speed After Stroke.
J Neurol Phys Ther. 2020 Jan;44(1):42-48.
doi: 10.1097/NPT.0000000000000299.
PMID: 31834220; PMCID: PMC8049399.

2)Hsiao H, Knarr BA, Higginson JS,
Binder-Macleod SA.
The relative contribution of ankle moment and
trailing limb angle to propulsive force during gait.
Hum Mov Sci. 2015 Feb;39:212-21.
doi: 10.1016/j.humov.2014.11.008. Epub 2014 Dec 12.
PMID: 25498289; PMCID: PMC4272868.

 

 

 

 

2023-02-28 16:16:00

脳卒中患者さんの歩行練習~負荷量と練習期間の目安~

 

こんにちは!
歩行専門の自費リハビリ施設
ARUKONECT (アルコネクト)の代表
市川です!

 

 

本コラムでは脳卒中患者さんの
歩行練習の負荷量と練習期間の目安を
解説したいと思います。

  

 

今回はBoyneらの論文を
紹介したいと思います!

 

 

この研究には・・・
発症から少なくとも6ヶ月を経過している
慢性期の脳卒中患者さん55名が
参加しました。


高強度インターバル トレーニング (HIIT) 

中強度有酸素トレーニング


この2つのグループに振り分けられ、
その効果が調査されました。

 

 

高強度インターバル トレーニング (HIIT) とは?

運動強度は予測最大心拍数の
60%以上としています。
休憩(30~60秒)と最大安全速度での
歩行(30秒)を繰り返すトレーニングです


※予測最大心拍数から運動強度を
 決める方法は様々あります。


代表的なものにカルボーネン法があります。
{(220-年齢)ー安静時心拍数}×運動強度
+安静時心拍数の式で求めることができます。


例えば・・・
年齢40歳で安静時心拍数が60として
運動強度60%を目標とします。


{(220-40)ー60}×0.6
 +60=132


目標心拍数は132回/分となります。
つまり心拍数132回/分に到達すると
運動強度60%で運動したことになります。

 

 

中強度有酸素トレーニングとは?


運動強度は予測最大心拍数の約40%を
維持する速度で歩行練習を行い
、2 週間ごとに
負荷量の調節を行うトレーニングです。

 

 

 

その結果・・・
高強度インターバル トレーニングは
(中強度有酸素トレーニングに比べて)
6分間歩行距離と歩行速度が
改善することがわかっています。


ただし効果が十分に得られるには
12週間必要であるとしています。


※実は・・・
歩行距離と歩行速度で改善が
得られるまでの期間に違いがあります。


歩行速度は(歩行距離に比べて)
早い時期に改善が見られています。
 

 

 

このことから歩行練習を実施する際には
負荷量・練習期間も重要といえます。


ただし高血圧や糖尿病などの既往歴、
血圧や脈拍の推移などをみて負荷を
抑えることが必要な場合があります!
ご注意を。

 

 

本コラムでは、歩行練習の負荷量と
練習期間の目安を解説しました。


本コラムが皆さまの何かの
お役に立てましたら幸いです。


最後までお読みいただき
ありがとうございました。

 

 

(執筆日:2023年2月28日)
(執筆者:市川 貴章) 

 

 

参考文献

1)Boyne P, Billinger SA, Reisman DS at al
Optimal Intensity and Duration of Walking
Rehabilitation in Patients With Chronic Stroke:
A Randomized Clinical Trial.
JAMA Neurol. 2023 Feb 23:e230033.
doi: 10.1001/jamaneurol.2023.0033.
Epub ahead of print.
PMID: 36822187; PMCID: PMC9951105.

 

 

 

 

2023-02-27 11:26:00

脳卒中患者さんの固有感覚障害と運動障害

 

こんにちは!
歩行専門の自費リハビリ施設
ARUKONECT (アルコネクト)の代表
市川です!

 

 

本コラムでは脳卒中患者さんの
固有感覚障害と運動障害との
関係性を解説したいと思います。

  

 

今回はYuらの論文を紹介したいと思います

 

 

この研究では・・・
脳卒中患者さん1829名の
研究データが使用されました。

 

 

固有感覚障害とは?

関節の位置を感知する感覚(位置覚)、
指を動かした時の方向を感知する
感覚(運動覚)などの障害です。


運動障害の検査
この研究では・・・
MAS(
Modified Ashworth Scale):筋肉のこわばり
FMA(Fugl-Meyer Assessment):運動機能
FBS(
Berg Balance Scale):バランス能力
などの検査がありました。

 

 

その結果・・・
感覚障害と運動障害は関係性が
あることがわかりました。


しかし関係性の強さを表す数値は
 r= 0.267であり、「弱い」という
結果でした。


また
因果関係ではなく「相関関係」で
あることにも注意しなくてはなりません。

 

 

私は、リハビリの現場で感覚障害に
悩まれる方を多く担当してきました。
中には感覚障害の影響によって、
運動を細かく調節することが難しくなった
患者さんもいらっしゃいました。

 

 

①感覚障害に対するアプローチ方法
②代償手段を用いた運動を引き出す手段
③どのような刺激で感覚が得られやすいのか

以上の3つが大切だと考えています。

 

 

今回は、脳卒中患者さんの
固有感覚障害と運動障害の
関係性を解説しました。



本コラムが皆さまの何かの

お役に立てましたら幸いです。


最後までお読みいただき
ありがとうございました。

 

 

(執筆日:2023年2月27日)
(執筆者:市川 貴章) 

 

 

参考文献
1)Yu Y, Chen Y, Lou T, Shen X.
Correlation Between Proprioceptive Impairment
and Motor Deficits After Stroke
: A Meta-Analysis Review. Front Neurol.
2022 Jan 13;12:688616.
doi: 10.3389/fneur.2021.688616.
PMID: 35095706; PMCID: PMC8793362.

 

 

 

 

2023-02-25 17:06:00

脳卒中患者さんの感覚障害と慢性的な痛み

 

こんにちは!
歩行専門の自費リハビリ施設
ARUKONECT (アルコネクト)の代表
市川です!

 

 

本コラムでは脳卒中患者さんの
感覚障害と慢性的な痛みの
関係性を解説したいと思います。

  

 

今回はHaslamらの論文を紹介します!

 

 

この研究では・・・
少なくとも発症から3ヶ月以上を経過した
脳卒中患者さん533名が参加しました。


感覚障害が慢性的な痛みと
どのような関係性があるのか
調査されています。

 

※感覚障害とは?


物が触れる感覚や関節の位置を
感知する感覚などの障害です。


※慢性的な痛み(慢性疼痛)とは?


ここでは脳卒中特有の痛みのことで、
脳卒中の患者さん全体の7~8%の
方にみられると言われています。

 

 

その結果・・・
①感覚障害があると、
(感覚障害がない場合に比べて)
慢性的な痛みを生じている
可能性が高い。


②慢性的な痛みで悩まれている方は
 発症前と比べて感覚の変化が大きい。
 (感覚障害の程度が重い)


③触覚、固有感覚(関節の位置)など
 感覚障害の種類を問わず、
 慢性的な痛みとの関係がある。
 

①~③のことがわかりました。

 

 

しかし・・・
慢性的な痛みの原因は
感覚障害だけではありません。
その原因を探るために感覚検査だけでなく、
その他の検査を行い、総合的に判断する
ことも大切だなと感じています。


そして慢性的な痛みの原因に感覚障害が
あるとするならば、どのようなリハビリが有効で
あるのか検討が必要かなと思います!


感覚障害に対するリハビリについては
今後、コラムで解説したいと思います!

 

 

今回は、脳卒中患者さんの
感覚障害と慢性的な痛みとの
関係性を解説しました。



本コラムが皆さまの何かの

お役に立てましたら幸いです。


最後までお読みいただき
ありがとうございました。

 

 

(執筆日:2023年2月25日)
(更新日:2023年3月3日)
(執筆者:市川 貴章) 

 

 

参考文献
1)Haslam BS, Butler DS, Kim AS, Carey LM.
Somatosensory Impairment and Chronic Pain
Following Stroke: An Observational Study.
Int J Environ Res Public Health.
2023 Jan 4;20(2):906.
doi: 10.3390/ijerph20020906.
PMID: 36673661; PMCID: PMC9859194.

 

 

 

 

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 ...
2024.11.06 Wednesday