リハビリコラム
脳卒中患者さんのリハビリ!足関節の運動と電気刺激療法の効果
こんにちは!
歩行専門の自費リハビリ施設
ARUKONECT (アルコネクト)の代表
市川です!
本コラムでは慢性期の脳卒中患者さんの
足関節の運動と電気刺激療法を併用した時の
効果についてを解説したいと思います。
今回はChoらの論文を
紹介したいと思います。
この研究では・・・
慢性期の脳卒中患者さん35名が参加し、
2つのグループに分けられました。
①足関節の運動と電気刺激療法:
足関節の動き(背屈・回内)に合わせて
電気刺激療法を実施するグループです。
※背屈とは、つま先をあげる動きです。
※回内とは、小指側をあげ、親指側を
さげる足首をひねる動きです。
②電気刺激療法のみ実施するグループ
①、②のグループともに90分/日の
標準的なリハビリテーションも
行われました。
足関節の運動は、機器を用いて受動的に
(機器に動かされて)行われました。
電気刺激療法は、前脛骨筋・長腓骨筋など
足首をあげるときに働く筋肉に対して
実施されました。
その結果は・・・
足関節の運動と電気刺激を併用した
グループは足関節の筋力や可動域
(回内・回外)の改善が得られました。
(電気刺激療法のみと比べて)
※回内・回外ともに足首を
ひねるような動きです。
さらにバランス能力や転倒恐怖感、
歩行速度、歩幅なども有意な改善が
得られることがわかりました。
ちなみに・・・
電気刺激のみのグループにも
バランス能力や歩幅の改善が
みられていました。
この論文では機器を用いていますが、
足関節の運動を「受動的」に行った場合でも
効果があったことは興味深いなと感じました。
本コラムでは、
慢性期脳卒中患者さんの足関節の運動と
電気刺激療法を併用した時の効果に
ついてを解説しました。
本コラムが皆さまの何かの
お役に立てましたら幸いです。
最後までお読みいただき
ありがとうございました。
(更新日:2022年12月29日)
(執筆者:市川 貴章)
参考文献
1)Cho JE, Shin JH, Kim H.
Does electrical stimulation synchronized with
ankle movements better improve
ankle proprioception and gait kinematics
in chronic stroke? A randomized controlled study.
NeuroRehabilitation. 2022;51(2):259-269.
doi: 10.3233/NRE-220018.
PMID: 35527578; PMCID: PMC9535592.
脳卒中の患者さんの屋外歩行練習の効果
こんにちは!
歩行専門の自費リハビリ施設
ARUKONECT (アルコネクト)の代表
市川です!
本コラムでは脳卒中患者さんの
屋外歩行練習の効果を解説したいと
思います。
今回はKimらの論文を
紹介したいと思います!
この研究では・・・
発症後6ヶ月以上を経過した
脳卒中患者さん26名が参加しました。
さらに、
①標準的なリハビリ+屋外歩行練習
②標準的なリハビリのみ
この2つのグループに分けられました。
※標準的なリハビリとは?
・理学療法を30分/日×週5回×4週間
(体幹や脚のリハビリ)
・作業療法を30分/日×週5回×4週間
(手や肩のリハビリ)
※屋外歩行練習とは?
・30分/日×週5回×4週間
1週間ごとに場所や範囲を変更しました。
その結果・・・
屋外歩行練習を行ったグループは
(行わないグループに比べて)
歩行速度や歩行距離、そして
社会参加のスコアの改善が
得られることが明らかになりました。
【私が気になる点】
1つ目
トレーニング方法による効果量
(効果の大きさ)の違いが
どの程度あるのか気になります。
2つ目
屋外歩行練習を行ったグループは、
30分多くリハビリを行っている点です。
もしかしたら屋外という環境要因以外にも
歩行量も影響している可能性があります。
屋外歩行は通行者とのすれ違い・坂道など
屋内ではあまり経験できないことを
練習することができます。
私の経験からも屋外歩行練習を続けて
行うことで、屋外を一人で歩けるように
なった方、自信がつき職場まで
歩けるようになった方もいらっしゃいます。
その経験からも屋外歩行練習は
とても大切だなと感じています。
本コラムでは、
脳卒中患者さんが行う
屋外歩行練習の効果を
解説しました。
本コラムが皆さまの何かの
お役に立てましたら幸いです。
最後までお読みいただき
ありがとうございました。
(執筆日:2022年10月25日)
(更新日:2023年2月17日)
(執筆者:市川 貴章)
参考文献
1)Kim M, Cho K, Lee W. Community walking
training program improves walking function
and social participation in chronic stroke patients.
Tohoku J Exp Med. 2014 Dec;234(4):281-6.
doi: 10.1620/tjem.234.281. PMID: 25483170.
脳卒中患者さんが行う体重負荷練習の効果
こんにちは!
歩行専門の自費リハビリ施設
ARUKONECT (アルコネクト)の代表
市川です!
本コラムでは脳卒中患者さんが行う
体重負荷練習の効果を解説したいと
思います。
今回はLiaoらの論文を
紹介したいと思います!
この研究では・・・
発症から6ヶ月以上を経過した
脳卒中患者さん56名が参加しました。
①バランストレーニンググループ
機器を用いたバランス練習を
行いました。
②ラテラルウェッジグループ
マヒされてない側に傾斜5°の
インソールを使用。
③通常のリハビリグループ
この3つのグループに振り分けられ、
バランス能力に対する効果が
調査されました。
その結果・・・
バランストレーニングや
ラテラルウェッジを用いることで
バランス能力が向上することが
わかりました。
※この研究ではバランス能力の検査に
Balance Computerized Adaptive Test:
バランスCATが使用されています。
この検査を用いた理由が
気になるところです!
脳卒中発症後6ヶ月以降でも、
体重移動(負荷)練習を行うことで、
バランス能力に効果が期待できる
ということです。
私としては、トレーニング方法による
効果量の違いも気になるところです。
本コラムでは、
脳卒中患者さんが行う
体重移動(負荷)練習の効果を
解説しました。
本コラムが皆さまの何かの
お役に立てましたら幸いです。
最後までお読みいただき
ありがとうございました。
(執筆日:2022年10月21日)
(更新日:2022年12月31日)
(執筆者:市川 貴章)
参考文献
1)Liao WC, Lai CL, Hsu PS, Chen KC, Wang CH.
Different weight shift trainings can improve
the balance performance of patients with
a chronic stroke: A randomized controlled trial.
Medicine (Baltimore). 2018 Nov;97(45):e13207.
doi: 10.1097/MD.0000000000013207.
PMID: 30407361; PMCID: PMC6250502.
脳卒中患者さんの歩行自立度と歩数の関係
こんにちは!
歩行専門の自費リハビリ施設
ARUKONECT (アルコネクト)の代表
市川です!
本コラムでは脳卒中の患者さんの
歩行自立度と歩数の関係性を
解説していきたいと思います。
今回はKuboらの論文を
紹介したいと思います!
この研究では・・・
亜急性期の脳卒中患者さんが
参加しました。
※亜急性期とは?
発症後2週間~6ヶ月の時期の
ことを指します。
参加した患者さんは、
・1日の歩数
・6分間歩行(6分間の歩行距離)
・脚の運動障害(マヒの程度)
などが検査され、歩行自立度 との関係が
調査されました。
※ 歩行自立度とは?
歩行時の介助量を表すものです。
自立度が高いということは、一人で
歩けることを意味します。
その結果・・・
歩行自立度には1日の歩数と
関係があることがわかりました。
そして、
一人で歩行可能な患者さんは、
歩くことが難しい患者さんと比較し
1日の歩数が多い傾向がありました。
さらには、歩行自立を予測するための
1日の歩数は4286歩であることも
わかりました。
【私が気になるところ】
①病期について
今回の研究では、病期(発症からの期間)が
亜急性期に限定されています。
発症6ヶ月以降の慢性期(生活期)では
どのような結果になるのかが
気になります。
②1日の歩数について
歩数を確保できていない背景に
どのような理由があるのか
気になるところです。
③歩数の基準値
歩行自立に必要な歩数である4286歩を
越えている患者さんの中にも、
歩行自立度の低い方が含まれている点です。
歩数だけに注目するのではなく、
感覚障害やバランス障害、
高次脳機能障害などの歩行への影響を
考え、歩行困難な原因を探ることも
大切だと感じています。
リハビリ場面だけで歩数を確保することは
うまくいかないこともあります。
そんな時は看護師さんや介護士さんなど
他の職種との連携が大切だなと思います。
本コラムでは脳卒中患者さんの
歩行自立度と歩数の関係を解説しました。
本コラムが少しでも皆さまの
お役に立てましたら幸いです。
最後までお読みいただき
ありがとうございました。
(執筆日:2022年9月2日)
(更新日:2023年1月4日)
(執筆者:市川 貴章)
参考文献
1)Kubo H, Kanai M, Nozoe M, Inamoto A,
Taguchi A, Mase K, Shimada S.
Daily steps are associated with walking ability
in hospitalized patients with sub-acute stroke.
Sci Rep. 2022 Jul 17;12(1):12217.
doi: 10.1038/s41598-022-16416-8.
Erratum in: Sci Rep. 2022 Aug 23;12(1):
14380. PMID: 35843983; PMCID: PMC9288997.
脳卒中患者さんの歩行能力の変化
こんにちは!
歩行専門の自費リハビリ施設
ARUKONECT (アルコネクト)の代表
市川です!
本コラムでは脳卒中の患者さんの
歩行能力の変化についてを
解説していきたいと思います。
以前、脳卒中患者さんの歩行能力は
徐々に改善することを解説しました!
>>知りたい!脳卒中の患者さんの
歩行回復の予後とは?
脳卒中によって生じた障害の程度に
よっても歩行回復の傾向が異なることが
Buvarpらが報告しています。
Buvarpらの研究では・・・
脳卒中患者さんを重症度を
軽度と中等度のグループに分けて
歩行能力の回復経過を調査しています。
その結果・・・
中等度の症状がある患者さんは
発症後3ヶ月目に歩行能力の
大きな改善がみられたとしています。
加えて75歳以上の患者さんでは、
重症度(軽度・中等度)に関係なく
発症後3ヶ月目で歩行能力の大きな
改善がみられたとしています。
まとめると・・・
歩行能力の回復は重症度によって
異なる経過を辿る可能性がある
ということがわかったということです。
リハビリ専門病棟である
回復期リハビリテーション病棟。
その平均入院日数は2~3ヶ月ほど
言われます。
その平均入院日数と今回の研究結果を
踏まえると、退院後のリハビリも
大切だなと感じています。
当施設も医療機関・介護施設と
連携しつつ、微力ながらお力に
なりたいと考えています。
本コラムでは脳卒中患者さんの
歩行能力の変化を解説しました。
本コラムが少しでも皆さまの
お役に立てましたら幸いです。
最後までお読みいただき
ありがとうございました。
(執筆日:2022年8月20日)
(更新日:2023年6月18日)
(執筆者:市川 貴章)
参考文献
1)Buvarp D, Rafsten L, Sunnerhagen KS.
Predicting Longitudinal Progression in
Functional Mobility After Stroke:
A Prospective Cohort Study.
Stroke. 2020 Jul;51(7):2179-2187.
doi: 10.1161/STROKEAHA.120.029913.
Epub 2020 Jun 17. PMID: 32568652;
PMCID: PMC7306259.