リハビリコラム
脳卒中患者さんが使用するアームスリング~バランスや歩行への影響~
こんにちは!
歩行専門の自費リハビリ施設
ARUKONECT (アルコネクト)の代表
市川です。
本コラムでは脳卒中の患者さんが
使用するアームスリングのバランスや
歩行への影響を解説したいと思います。
今回はLinらの論文を
ご紹介したいと思います!
※アームスリングとは?
マヒした肩を保護するために
装着する装具です。
Linらはアームスリングを使用した場合、
バランス能力、歩行速度・歩幅などに
どのような影響があるのかを
調査しています。
その結果・・・
アームスリングを装着すると、
(装着しない場合に比べて)
歩行速度が向上することがわかりました。
一方で歩幅やバランスには影響が
みられないことがわかりました。
【私が気になるところ】
①歩行自立度が高い方が対象
研究に参加された方は
歩行自立度が高い患者さん、
(一人で歩行可能な方)でした。
※歩行自立度とは?
歩行における介助の度合いを表すものです。
②アームスリングの種類が様々
アームスリングには様々なタイプが
あるのですが、効果(影響)に影響を
及ぼした可能性もあります。
③歩行速度の効果量(影響)が幅広い
アームスリングを使用することで
歩行速度が向上することが明らかに
されました。
しかし・・・
その効果量(影響)が幅広く0に
かなり近いため、必ず効果があると
言い切ることが難しいのかなと
思いました。
アームスリングの効果に関しては、
様々な論議がなされています。
肩の痛みがひどい場合は、肩を保護するため、
痛みの悪化を防ぐ目的でアームスリングの
使用をおススメすることもあります。
マヒがあるから必ず使用するワケではなく、
その必要性は十分に検討が必要かと
思います。
脳卒中の患者さんが
使用するアームスリングのバランスや
歩行への影響を解説しました。
本コラムが少しでも皆さまの
お役に立てましたら幸いです。
最後までお読みいただき
ありがとうございました。
(執筆日:2022年8月8日)
(更新日:2023年6月18日)
(執筆者:市川 貴章)
参考文献
1)Lin LC, Liao CD, Wu CW, Huang SW,
Hong JP, Chen HC.
Effect of arm sling application on gait and balance
in patients with post-stroke hemiplegia:
a systematic review and meta-analysis. Sci
Rep. 2021 May 27;11(1):11161.
doi: 10.1038/s41598-021-90602-y.
PMID: 34045541; PMCID: PMC8160322.