リハビリコラム
脳卒中患者さんに対する機能的電気刺激(FES)を用いた歩行練習
こんにちは!
歩行専門の自費リハビリ施設
ARUKONECT (アルコネクト)の代表
市川です。
本コラムでは脳卒中患者さんに対する
機能的電気刺激(FES)を用いた歩行練習を
解説したいと思います。
FESは電気刺激療法の1つです。
麻痺している筋肉を電気によって
刺激することで、運動機能を補うものです。
脳卒中患者さんでは、歩行中につま先が
うまく挙げられないこと(下垂足)があるため、
その運動機能を補うために、電気刺激を
行います。
その効果については、脳卒中理学療法
ガイドラインではいまだ不明確と記載されて
います。
ちなみに理学療法ガイドライン第2版は
Mindsガイドラインライブラリーという
サイトで一般公開されています。
ガイドラインでは「効果は不明確」という
ことですが、効果が得られている研究結果も
報告されているため、実施する際には
より検討が必要かと思います。
今回はガイドライン公表以降に報告された
Dantasらの論文を紹介したいと思います。
Dantasらの研究では・・・
①FES+トレッドミルトレーニング
②トレッドミルトレーニングのみ
この2つのグループに分け、
途中(6週間)でグループの入れ替えを
行い、効果を検証しています。
つまり・・・
FES+トレッドミルトレーニングを続けて行い、
その後トレッドミルトレーニングのみに切り替えた
ということになります。
逆も然りで、トレッドミルトレーニングのみを
続けて行い、その後FES+トレッドミル
トレーニングに切り替えています。
その結果・・・
両グループ
感覚運動障害、バランス、協調性、
持久力の改善が見られた。
トレッドミルトレーニングのみから実施した
協調性が改善がみられた。
FES+トレッドミルトレーニングから実施した
歩行能力の改善がみられたと報告しています。
グループによって、協調性・歩行能力改善に
違いがみられたのはなぜだろうと疑問に
感じました。
効果の大きさでみるとどのような結果に
なるのか気になるところです。
これはリハビリ全般に言えることですが、
論文1つだけで判断するのではなく、
様々な研究報告を吟味する必要が
あるなと感じています。
その上で、最終的には実施方法については
お一人お一人の病態を考えた上で
検討することが大事なと思います。
本コラムでは脳卒中患者さんに対する
FESを用いた歩行練習についてを
解説しました。
本コラムが少しでも皆さまの
お役に立てましたら幸いです。
最後までお読みいただき
ありがとうございました。
(執筆日:2023年11月16日)
(執筆者:市川 貴章)
参考文献
1)Dantas MTAP, Fernani DCGL, Silva TDD,
Assis ISA, Carvalho AC, Silva SB, Abreu LC,
Barbieri FA,Monteiro CBM.
Gait Training with Functional Electrical Stimulation
Improves Mobility in People Post-Stroke. Int J Environ
Res Public Health. 2023 May 5;20(9):5728.
doi: 10.3390/ijerph20095728.
PMID: 37174247; PMCID: PMC10178257.