リハビリコラム
脳卒中患者さんの歩行練習~負荷量と練習期間の目安~
こんにちは!
歩行専門の自費リハビリ施設
ARUKONECT (アルコネクト)の代表
市川です!
本コラムでは脳卒中患者さんの
歩行練習の負荷量と練習期間の目安を
解説したいと思います。
今回はBoyneらの論文を
紹介したいと思います!
この研究には・・・
発症から少なくとも6ヶ月を経過している
慢性期の脳卒中患者さん55名が
参加しました。
①高強度インターバル トレーニング (HIIT)
②中強度有酸素トレーニング
この2つのグループに振り分けられ、
その効果が調査されました。
①高強度インターバル トレーニング (HIIT) とは?
運動強度は予測最大心拍数の
60%以上としています。
休憩(30~60秒)と最大安全速度での
歩行(30秒)を繰り返すトレーニングです
※予測最大心拍数から運動強度を
決める方法は様々あります。
代表的なものにカルボーネン法があります。
{(220-年齢)ー安静時心拍数}×運動強度
+安静時心拍数の式で求めることができます。
例えば・・・
年齢40歳で安静時心拍数が60として
運動強度60%を目標とします。
{(220-40)ー60}×0.6
+60=132
目標心拍数は132回/分となります。
つまり心拍数132回/分に到達すると
運動強度60%で運動したことになります。
②中強度有酸素トレーニングとは?
運動強度は予測最大心拍数の約40%を
維持する速度で歩行練習を行い、2 週間ごとに
負荷量の調節を行うトレーニングです。
その結果・・・
高強度インターバル トレーニングは
(中強度有酸素トレーニングに比べて)
6分間歩行距離と歩行速度が
改善することがわかっています。
ただし効果が十分に得られるには
12週間必要であるとしています。
※実は・・・
歩行距離と歩行速度で改善が
得られるまでの期間に違いがあります。
歩行速度は(歩行距離に比べて)
早い時期に改善が見られています。
このことから歩行練習を実施する際には
負荷量・練習期間も重要といえます。
ただし高血圧や糖尿病などの既往歴、
血圧や脈拍の推移などをみて負荷を
抑えることが必要な場合があります!
ご注意を。
本コラムでは、歩行練習の負荷量と
練習期間の目安を解説しました。
本コラムが皆さまの何かの
お役に立てましたら幸いです。
最後までお読みいただき
ありがとうございました。
(執筆日:2023年2月28日)
(執筆者:市川 貴章)
参考文献
1)Boyne P, Billinger SA, Reisman DS at al
Optimal Intensity and Duration of Walking
Rehabilitation in Patients With Chronic Stroke:
A Randomized Clinical Trial.
JAMA Neurol. 2023 Feb 23:e230033.
doi: 10.1001/jamaneurol.2023.0033.
Epub ahead of print.
PMID: 36822187; PMCID: PMC9951105.