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リハビリコラム

2022-10-28 22:37:00

慢性期の脳卒中患者さんの歩行能力改善に必要なこと

 

こんにちは!
歩行専門の自費リハビリ施設
ARUKONECT (
アルコネクト)の代表
市川です!

 

 

本コラムでは慢性期の脳卒中患者さんの
歩行能力改善に必要なことを
解説したいと思います。

 

 

そこで今回はpangらの論文を
紹介したいと思います。

 

 

この研究では・・・
発症から1年以上を経過した50歳以上の
脳卒中患者さん63名が参加しました。


そして・・・
①脚のエクササイズ
②腕のエクササイズ
この2つのグループに分けられました。


脚のエクササイズは・・・
・有酸素運動
・バランストレーニング
・筋力トレーニング


腕のエクササイズは・・・
・肩の筋力トレーニング
・腕へ体重をかけるトレーニング
・手の筋力トレーニングと
 機能的トレーニング
 (ものを掴んで移動させる)
うまく手首が動かせない患者さんには
電気刺激が併用されました。


この2つのグループは・・・
1時間/回、週3回、19週間の
リハビリを行いました。

 

 

その結果の一部を紹介したいと思います。


脚のエクササイズを行ったグループは
エクササイズの前後の比較で
歩行距離、脚の筋力(左右とも)
バランス能力の有意な改善がみられました。


腕のエクササイズを行ったグループは
エクササイズの前後の比較で
歩行距離・バランス能力の有意な
改善がみられました。


そして歩行能力に改善には
・マヒしている脚の筋力
・全身持久力
この2つによって説明されるという
ことがわかりました。

 

 

この論文を読み、実際に現場で応用していく
ときに注意が必要だなと感じた点を
紹介したいと思います。


1つ目は・・・
歩行能力改善を100%とした場合に、
「マヒしている脚の筋力」
「全身持久力」
この2つで説明できるのは
22.9
%であることです。


残りの80%近くは
この2つの要因だけでは
説明ができないということです。


つまり、歩行能力改善には
他にも要因があるのではないか
ということが言えるかと思います。


2つ目は・・・
今回は各トレーニングの変化量の
差をみているため、各トレーニングに
よる効果の差は調査されていません。


そして何より、トレーニング方法によって
効果量(効果の大きさ)の違いが
どの程度あるのか気になるところです。

 

 

腕のエクササイズを行ったグループにも
歩行能力やバランス能力が変化した点は
興味深いなと感じました。

 

 

本コラムでは、
慢性期脳卒中患者さんの歩行能力改善に
必要なことを解説しました。


この論文は2008年の報告ですし、
1つの論文のみで判断するのは
危険なので似た論文を探し、
コラムに追記していきたいと思います。


本コラムが皆さまの何かの
お役に立てましたら幸いです。


最後までお読みいただき
ありがとうございました。

 

 

(更新日:20221028)
(
執筆者:市川 貴章

 

 

参考文献
1)Pang MY, Eng JJ. Determinants of improvement
in walking capacity among individuals
with chronic stroke following
a multi-dimensional exercise program.
J Rehabil Med. 2008 Apr;40(4):284-90.
doi: 10.2340/16501977-0166.
PMID: 18382824.

 

 

 

 

2024.10.09 Wednesday