リハビリコラム
脳卒中患者さんの感覚障害と慢性的な痛み
こんにちは!
歩行専門の自費リハビリ施設
ARUKONECT (アルコネクト)の代表
市川です!
本コラムでは脳卒中患者さんの
感覚障害と慢性的な痛みの
関係性を解説したいと思います。
今回はHaslamらの論文を紹介します!
この研究では・・・
少なくとも発症から3ヶ月以上を経過した
脳卒中患者さん533名が参加しました。
感覚障害が慢性的な痛みと
どのような関係性があるのか
調査されています。
※感覚障害とは?
物が触れる感覚や関節の位置を
感知する感覚などの障害です。
※慢性的な痛み(慢性疼痛)とは?
ここでは脳卒中特有の痛みのことで、
脳卒中の患者さん全体の7~8%の
方にみられると言われています。
その結果・・・
①感覚障害があると、
(感覚障害がない場合に比べて)
慢性的な痛みを生じている
可能性が高い。
②慢性的な痛みで悩まれている方は
発症前と比べて感覚の変化が大きい。
(感覚障害の程度が重い)
③触覚、固有感覚(関節の位置)など
感覚障害の種類を問わず、
慢性的な痛みとの関係がある。
①~③のことがわかりました。
しかし・・・
慢性的な痛みの原因は
感覚障害だけではありません。
その原因を探るために感覚検査だけでなく、
その他の検査を行い、総合的に判断する
ことも大切だなと感じています。
そして慢性的な痛みの原因に感覚障害が
あるとするならば、どのようなリハビリが有効で
あるのか検討が必要かなと思います!
感覚障害に対するリハビリについては
今後、コラムで解説したいと思います!
今回は、脳卒中患者さんの
感覚障害と慢性的な痛みとの
関係性を解説しました。
本コラムが皆さまの何かの
お役に立てましたら幸いです。
最後までお読みいただき
ありがとうございました。
(執筆日:2023年2月25日)
(更新日:2023年3月3日)
(執筆者:市川 貴章)
参考文献
1)Haslam BS, Butler DS, Kim AS, Carey LM.
Somatosensory Impairment and Chronic Pain
Following Stroke: An Observational Study.
Int J Environ Res Public Health.
2023 Jan 4;20(2):906.
doi: 10.3390/ijerph20020906.
PMID: 36673661; PMCID: PMC9859194.
関節リウマチに対する有酸素運動の効果
こんにちは!
歩行専門の自費リハビリ施設
ARUKONECT (アルコネクト)の代表
市川です!
今回は関節リウマチの患者さんに対する
有酸素運動の効果を解説したいと
思います。
今回はYeらの論文を紹介したいと思います!
有酸素運動とは?
・歩行
・自転車を使ったトレーニング(エルゴメーター)
・トレッドミルを使ったトレーニング
・ジョギング などの運動のことです。
有酸素運動を行うことで、
関節リウマチ患者さんの
・機能障害(HAQ-DI)
・痛み
・最大酸素摂取量(持久力)
・起立テスト
以上の4つが有酸素運動を行わない場合に
比べて改善したと報告しています。
また有酸素運動を長期的に行うことで
炎症値(CRP)も減少することも
明らかにされています。
関節リウマチの患者さんでは
関節を軟骨や骨が破壊されることで
変形が生じることがあります。
そして腫れや痛みがみられることも
あります。
有酸素運動を行う前に、運動することの
リスクについて確認を行った後、
身体に合う運動を行うことが大切です。
またYeらの研究では、有酸素運動を
最大心拍数50~90%で行っていますが、
過負荷になりすぎないように注意が
必要なのかなと思います!
本コラムでは、関節リウマチの患者さんの
有酸素運動の効果を解説しました!
本コラムが皆さまの何かの
お役に立てましたら幸いです。
最後までお読みいただき
ありがとうございました。
(執筆日:2023年2月18日)
(執筆者:市川 貴章)
参考文献
1)Ye H, Weng H, Xu Y, Wang L, Wang Q, Xu G.
Effectiveness and safety of aerobic exercise for
rheumatoid arthritis: a systematic review and
meta-analysis of randomized controlled trials.
BMC Sports Sci Med Rehabil.
2022 Feb 5;14(1):17.
doi: 10.1186/s13102-022-00408-2.
PMID: 35123568; PMCID: PMC8818158.
脳卒中患者さんの両脚に電気刺激!どんな効果がある?
こんにちは!
歩行専門の自費リハビリ施設
ARUKONECT (アルコネクト)の代表
市川です!
本コラムでは脳卒中患者さんの
両脚に電気刺激を行うことで
得られる効果を解説します。
今回はKwongらの論文を紹介したいと思います!
この研究では・・・
脳卒中患者さん80名が参加しました。
①両脚の電気刺激+課題指向型練習
②マヒ側の電気刺激+課題指向型練習
③非マヒ側の電気刺激+課題指向型練習
この3つのグループに分けられ
それぞれの効果が調査されました。
ここでいう電気刺激とは?
TENSとよばれる種類です。
電気が流れる感覚はあるけれど、
手や脚が電気によって動くことはない
程度の刺激で行う方法です。
課題指向型練習とは?
スクワット、かかと挙げ、段差昇降
などの練習のことです。
その結果・・・
(片脚の電気刺激と比べて)
両側の電気刺激と課題指向型練習を
行ったグループではマヒ側の足関節背屈筋力と
歩行能力の改善が得られることがわかりました。
※背屈とは?
足関節の場合は、つま先を挙げる
動きのことです。
マヒ側の手や脚に電気刺激を行うことは
昔から行われていました。
ただ今回の研究ではマヒ側だけでなく、
マヒしていない(非マヒ)側にも電気刺激を
行っている点が今までと違うところです。
非マヒ側とマヒ側を同時に電気刺激することで
改善が得られるとすれば、リハビリメニューの
選択肢の一つになりうるかも知れません。
脳卒中患者さんの非マヒ側の筋力トレーニングの
効果も検証されていることを踏まえると、
マヒ側だけでなく非マヒ側にも注目が必要ですね!
今回は脳卒中患者さんの両脚同時に
電気刺激することで得られる効果を
解説しました。
本コラムが皆さまの何かの
お役に立てましたら幸いです。
最後までお読みいただき
ありがとうございました。
(執筆日:2023年2月13日)
(更新日:2023年2月25日)
(執筆者:市川 貴章)
参考文献
1)Kwong PWH, Ng GYF, Chung RCK, Ng SSM.
Bilateral Transcutaneous Electrical Nerve
StimulationImproves Lower-Limb Motor
Function in SubjectsWith Chronic Stroke:
A Randomized Controlled Trial.
J Am Heart Assoc. 2018 Feb 8;7(4):e007341.
doi: 10.1161/JAHA.117.007341.
PMID: 29437598; PMCID: PMC5850185.
脳卒中患者さんに対する非マヒ側の筋力トレーニングの効果
こんにちは!
歩行専門の自費リハビリ施設
ARUKONECT (アルコネクト)の代表
市川です!
本コラムでは脳卒中患者さんに対する
非マヒ側の筋力トレーニングの効果を
解説したいと思います。
※非マヒ側とは?
マヒしていない側のことです。
今回はShaoらの論文を
紹介したいと思います!
この研究では・・・
脳卒中患者さん139名が参加しました。
①通常のリハビリに基づく非マヒ側の
筋力トレーニング
②通常のリハビリ
立位でのステップ練習・体幹トレーニングなど
この2つのグループに分けられ
それぞれの効果が調査されました。
その結果・・・
バランス能力と非マヒ側の筋力は
①と②の両方のグループで
改善がみられました。
しかしながら、6分間歩行距離や
マヒ側の筋力は①のグループが
(②のグループに比べて)改善が
得られたと報告しています。
マヒ側だけでなく、非マヒ側の
トレーニングも大切ということですね!
この論文のポイントは
非マヒ側の筋力トレーニングを
立位で行ったことなのかなと
思います!
本コラムでは、脳卒中患者さんの
非マヒ側の筋力トレーニングの効果を
解説しました。
本コラムが皆さまの何かの
お役に立てましたら幸いです。
最後までお読みいただき
ありがとうございました。
(執筆日:2023年2月11日)
(執筆日:2023年2月17日)
(執筆者:市川 貴章)
参考文献
1)Shao C, Wang Y, Gou H, Xiao H, Chen T.
Strength Training of the Nonhemiplegic Side
Promotes Motor Function Recovery i
n Patients With Stroke:
A Randomized Controlled Trial.
Arch Phys Med Rehabil. 2023 Feb;104(2):
188-194. doi: 10.1016/j.apmr.2022.09.012.
Epub 2022 Oct 17. PMID: 36261056.
脳卒中患者さんの反張膝のリハビリとは?
こんにちは!
歩行専門の自費リハビリ施設
ARUKONECT (アルコネクト)の代表
市川です!
今回は脳卒中患者さんの反張膝の
リハビリについて解説したいと思います。
そもそも反張膝とは?
歩行中に膝が急激に伸展(伸びる)
する現象のことです。
その原因は?
①足関節背屈の可動域制限
②下腿三頭筋の過活動
などがあります。
Liらによれば、反張膝は膝の半月板の
容積とも関係していると言われています。
つまり膝関節に対して負担がかかっている
状態ということです。
膝関節への負担を考えると、
すぐにでも解決したいところでは
ありますが、原因は一つではないことが
多い印象があります。
では反張膝に対してどんなリハビリを
行うと良いのでしょうか?
反張膝に対するリハビリの効果を
調査したgeerarsらの論文では、
①固有受容器トレーニング
②装具療法
③電気刺激療法(FES)
この3つを挙げています。
①固有受容器トレーニング
固有受容器トレーニングには、
膝を曲げた状態でトレーニングする方法
膝が伸びすぎたときに音で知らせる方法、
チューブを使って抵抗力を与える方法
など様々な方法があります。
いずれにしても、「膝が急激に伸びすぎない」
ことが主眼におかれています。
その結果、固有受容器アプローチは
脳卒中の亜急性期における反張膝に対して
短期的な効果として期待できるとされています。
その他、装具療法やFESは効果があると
確証をもてないのが現状です。
何より大切なのは分析です。
固有受容器トレーニングが有効とされていても
その原因に合わせてリハビリを行うことが
大切と考えています。
コラム冒頭で挙げている
足関節背屈制限が反張膝の原因で
あれば、それに対するアプローチが
必要になります。
コントロール可能な膝関節の角度と
その範囲を知り、体のどの部分をサポートすると
反張膝にならずにコントロールできるのか
観察・触察が重要になります。
本コラムでは、脳卒中患者さんの
反張膝に対するリハビリを解説しました!
本コラムが皆さまの何かの
お役に立てましたら幸いです。
最後までお読みいただき
ありがとうございました。
(執筆日:2023年2月6日)
(更新日:2023年9月1日)
(執筆者:市川 貴章)
参考文献
1)Li W, Li T, Xi X, Zhang R,
Sun W,Zhang D, Gong W.
Does higher knee hyperextension in patients
with hemiplegia affect lateral and medial
meniscus volume in the paretic leg?
A cross-sectional study.
BMC Sports Sci Med Rehabil. 2023
Jan 5;15(1):4. doi: 10.1186/
s13102-022-00611-1.
PMID: 36600322; PMCID: PMC9814213.
2)Geerars M, Minnaar-van der Feen N,
Huisstede BMA.
Treatment of knee hyperextension
in post-stroke gait. A systematic review.
Gait Posture. 2022 Jan;91:137-148.
doi: 10.1016/j.gaitpost.2021.08.016.
Epub 2021 Aug 24. PMID: 34695721.