リハビリコラム
非特異的腰痛に対するエクササイズの効果
こんにちは!
歩行専門の自費リハビリ施設
ARUKONECT (アルコネクト)の代表
市川です。
本コラムでは、非特異的腰痛に対する
エクササイズの効果を解説したいと
思います。
今回はAsadaらの論文を
紹介したいと思います。
腰痛は様々な原因で起きます。
非特異的腰痛とは、炎症、腫瘍、感染など
原因が明らかなもの以外の腰痛のことです。
Asadaらの研究では、製造業に従事する方が
参加しました。
①3分で行える簡単なエクササイズをするグループ
②エクササイズをしないグループ
簡単なエクササイズとは・・・
①ハムストリングスのストレッチ
②体幹の回旋(曲げる・伸ばすを組み合わせた)
その結果・・・
エクササイズを行ったグループは(行わなかった
グループに比べて)痛みが軽減されたと
報告しています。
腰痛は日本人の30 歳以上の有病率は
24.3~31.7%とされています。
この有病率からリハビリ専門職の資格を
持つ者としては見過ごせない問題と
考えています。
冒頭でもお話しましたが、腰痛は
様々な要因で生じます。
そのため、その原因を詳しく
検査・評価を行う必要があります。
その原因によってアプローチも
変わってきます。
このことは、腰痛に限らずリハビリ全般に
言えることではないかなと思っています。
本コラムでは非特異的腰痛に対する
エクササイズの効果を解説しました。
本コラムが少しでも皆さまの
お役に立てましたら幸いです。
最後までお読みいただき
ありがとうございました。
(執筆日:2023年11月16日)
(執筆者:市川 貴章)
参考文献
1)Asada F, Nomura T, Takano K, Kubota M,
Iwasaki M, Oka T, Matsudaira K. Effect of
quick simple exercise on non-specific
low back pain in Japanese workers:
a randomized controlled trial.
Environ Health Prev Med. 2023;28:36.
doi: 10.1265/ehpm.22-00203.
PMID: 37316255; PMCID: PMC10287985.
脳卒中患者さんに対する機能的電気刺激(FES)を用いた歩行練習
こんにちは!
歩行専門の自費リハビリ施設
ARUKONECT (アルコネクト)の代表
市川です。
本コラムでは脳卒中患者さんに対する
機能的電気刺激(FES)を用いた歩行練習を
解説したいと思います。
FESは電気刺激療法の1つです。
麻痺している筋肉を電気によって
刺激することで、運動機能を補うものです。
脳卒中患者さんでは、歩行中につま先が
うまく挙げられないこと(下垂足)があるため、
その運動機能を補うために、電気刺激を
行います。
その効果については、脳卒中理学療法
ガイドラインではいまだ不明確と記載されて
います。
ちなみに理学療法ガイドライン第2版は
Mindsガイドラインライブラリーという
サイトで一般公開されています。
ガイドラインでは「効果は不明確」という
ことですが、効果が得られている研究結果も
報告されているため、実施する際には
より検討が必要かと思います。
今回はガイドライン公表以降に報告された
Dantasらの論文を紹介したいと思います。
Dantasらの研究では・・・
①FES+トレッドミルトレーニング
②トレッドミルトレーニングのみ
この2つのグループに分け、
途中(6週間)でグループの入れ替えを
行い、効果を検証しています。
つまり・・・
FES+トレッドミルトレーニングを続けて行い、
その後トレッドミルトレーニングのみに切り替えた
ということになります。
逆も然りで、トレッドミルトレーニングのみを
続けて行い、その後FES+トレッドミル
トレーニングに切り替えています。
その結果・・・
両グループ
感覚運動障害、バランス、協調性、
持久力の改善が見られた。
トレッドミルトレーニングのみから実施した
協調性が改善がみられた。
FES+トレッドミルトレーニングから実施した
歩行能力の改善がみられたと報告しています。
グループによって、協調性・歩行能力改善に
違いがみられたのはなぜだろうと疑問に
感じました。
効果の大きさでみるとどのような結果に
なるのか気になるところです。
これはリハビリ全般に言えることですが、
論文1つだけで判断するのではなく、
様々な研究報告を吟味する必要が
あるなと感じています。
その上で、最終的には実施方法については
お一人お一人の病態を考えた上で
検討することが大事なと思います。
本コラムでは脳卒中患者さんに対する
FESを用いた歩行練習についてを
解説しました。
本コラムが少しでも皆さまの
お役に立てましたら幸いです。
最後までお読みいただき
ありがとうございました。
(執筆日:2023年11月16日)
(執筆者:市川 貴章)
参考文献
1)Dantas MTAP, Fernani DCGL, Silva TDD,
Assis ISA, Carvalho AC, Silva SB, Abreu LC,
Barbieri FA,Monteiro CBM.
Gait Training with Functional Electrical Stimulation
Improves Mobility in People Post-Stroke. Int J Environ
Res Public Health. 2023 May 5;20(9):5728.
doi: 10.3390/ijerph20095728.
PMID: 37174247; PMCID: PMC10178257.
パーキンソン病のバランス障害に対する体幹トレーニング
こんにちは!
歩行専門の自費リハビリ施設
ARUKONECT (アルコネクト)の代表
市川です。
本コラムではパーキンソン病のバランス障害に
対する体幹トレーニングの効果を解説したいと
思います。
パーキンソン病患者さんにはバランス障害が
見られることがあります。
バランス障害は歩行障害とも強く関連し、
バランスの改善が歩行能力の改善に
重要であるとされています。
バランス障害に対するリハビリには
バランストレーニング、有酸素運動などが
挙げられます。また体幹トレーニングによる
効果を検証した研究も報告されています。
そこで、バランス障害に対する
体幹トレーニングに関する論文を集め
検討したLópez-Liriaらの報告を
紹介したいと思います。
López-Liriaらの論文では
体幹トレーニングを
・体幹の筋力増強
・体幹の可動性(動き)を改善などに
重きをおいたトレーニングと
定義されています。
またバランスを「静的」「動的」と
分けて検討しています。
静的:座っているときや立っている時に
じっと姿勢を保つこと。
動的:体を動かしながら姿勢を
保つこと。
「じっとしている」「動いている」
この2つに違いがあります。
その結果・・・
体幹トレーニングによって、
静的バランス能力の一部分は
改善する可能性が期待できることが
明らかになりました。
この論文を読んで・・・
体幹トレーニングのみならず、他の
トレーニングと組み合わせることが
大切なのかも知れません。
これはリハビリ全般に言えることなのですが、
体幹の働きが動作や症状に影響を
及ぼしているのか、詳細に検査、
評価を行った上で、介入手段を
検討した方が良さそうです。
本コラムではパーキンソン病の
バランス障害に対する体幹トレーニングに
ついてを解説しました。
本コラムが少しでも皆さまの
お役に立てましたら幸いです。
最後までお読みいただき
ありがとうございました。
(執筆日:2023年11月14日)
(執筆者:市川 貴章)
参考文献
1)López-Liria R, Vega-Tirado S,
Valverde-Martínez MÁ, Calvache-Mateo A,
Martínez-Martínez AM, Rocamora-Pérez P.
Efficacy of Specific Trunk Exercises in the Balance
Dysfunction of Patients with Parkinson's Disease:
A Systematic Review and Meta-Analysis.
Sensors (Basel). 2023 Feb 6;23(4):1817.
doi: 10.3390/s23041817.
PMID: 36850413; PMCID: PMC9959840.
パーキンソン病の運動症状に対する外来リハビリの効果
こんにちは!
歩行専門の自費リハビリ施設
ARUKONECT (アルコネクト)の代表
市川です。
本コラムではパーキンソン病の運動症状に
対する外来リハビリの効果を解説したいと
思います。
パーキンソン病の患者さんの
運動症状は、振戦・筋固縮・
無動(動作緩慢)だけではなく歩行障害、
姿勢障害などの「軸症状」が
みられることがあります。
姿勢障害とは?
・カンプトコルミア:前屈姿勢
・ピサ症候群 :左右どちらかに傾いた姿勢
・アンテロコリス:頸部の前屈
この3つがあります。
このパーキンソン病の患者さんにみられる
姿勢の崩れは、座っているときや
立っているときに見られ、あお向けに
寝た状態では姿勢の崩れが修正されます。
また姿勢障害に関係する要因として
筋緊張、固有感覚、視空間認知、
筋力低下などが考えられています。
では本題に戻りたいと思います。
運動症状に対する外来リハビリには
どのような影響があるのか?
今回はTerasawaらの研究を
紹介したいと思います。
Terasawaらの論文では・・・
運動症状をMDS-UPDRSを用いて
点数化し、32点を境として、軽度と
中等度・重度と定義しています。
※点数が低いほど軽度です。
外来リハビリでは・・・
ストレッチ・筋力増強トレーニング、
バランストレーニング、歩行練習などが
行われました。
その結果・・・
外来リハビリを行うことで、
MDS-UPDRSの運動スコア合計、
運動緩慢・軸症状それぞれの
スコアが有意に減少したと報告しています。
特に中等度、重度の方に効果が
みられたとしています。
つまり・・・
外来リハビリを行うことで、
パーキンソン病患者さんの運動症状を
改善する可能性があるということが
明らかになったということです!
この論文を読んで・・・
様々なトレーニングを行っていることが
良い結果をもたらしたかも知れません。
本コラムではパーキンソン病の
運動症状に対する外来リハビリの
効果を解説しました。
本コラムが少しでも皆さまの
お役に立てましたら幸いです。
最後までお読みいただき
ありがとうございました。
(執筆日:2023年11月13日)
(執筆者:市川 貴章)
参考文献
1)Ameghino L, Rossi M, Merello M.
How Do I Examine Postural Disorders
in Parkinson's Disease? Mov Disord Clin Pract.
2016 Nov 25;3(6):626. doi: 10.1002/mdc3.12457.
PMID: 30838258; PMCID: PMC6353339.
2)Terasawa Y, Ikuno K, Fujii S, Nishi Y,
Tanizawa E, Nabeshima S, Okada Y.
Unveiling the Impact of Outpatient Physiotherapy
on Specific Motor Symptoms in Parkinson’s
Disease: A Prospective Cohort Study.
Brain Neurorehabil. 2023 Oct;16:e26.
変形性関節症に対するリハビリ~運動療法 VS 運動療法+補助療法
こんにちは!
歩行専門の自費リハビリ施設
ARUKONECT (アルコネクト)の代表
市川です。
本コラムでは変形性関節症に対する
運動療法と組み合わせて行う補助療法の
効果を解説します。
今回はFrenchらの論文を
紹介したいと思います。
Frenchらは変形性股関節症と
変形性膝関節症の患者さんを
対象としています。
運動療法とは・・・
体重負荷、ウォーキング、筋力トレーニングなどの
ことで、痛みや身体機能改善のみならず、
幸福感や自己効力感にも良い影響があると
されています。
補助療法とは?
ここでは電気刺激療法(TENS)、温熱療法、
寒冷療法、徒手療法、心理療法、
減量(ダイエット)などが挙げられています。
Frenchらの論文はシステマティックレビュー、
メタアナリシスというタイプです。
いわば論文の総集編、似たような論文を
集め、検討したものです。
※論文を集めたり、どの論文を採用するのか
どうかなど検討をしています。
Frenchらの報告によると、
①運動療法のみ
②運動療法+補助療法
①と②を比べると、
痛み、身体機能、生活の質への効果に
差があるとは言えないとしています。
ただし運動療法+補助療法で改善が
見られたとする研究報告もあることから
一概には言えないとしています。
論文を読んでみて・・・
①変形性関節症の重症度によって
効果が異なる?
②股関節と膝関節の双方の関節症を
統合していることが結果に影響した?
③運動療法そのもの自体の効果が
大きい可能性がある?
などが気になりました。
似たような研究報告でどのような結果が
導き出されているのか、また補助療法
それぞれの効果についても調べる必要が
ありそうです。
やはり、患者さんの状態を丁寧に
検査・評価し、そして明らかになった
課題に対してアプローチを行うということは
大切なのかも知れません。
本コラムでは変形性膝関節症に対する
運動療法と組み合わせて行う補助療法の
効果を解説しました。
本コラムが少しでも皆さまの
お役に立てましたら幸いです。
最後までお読みいただき
ありがとうございました。
(執筆日:2023年11月7日)
(執筆者:市川 貴章)
参考文献
1)French HP, Abbott JH, Galvin R.
Adjunctive therapies in addition to land-based
exercise therapy for osteoarthritis of the hip or knee.
Cochrane Database Syst Rev. 2022 Oct 17;10(10):
CD011915. doi: 10.1002/14651858.CD011915.
pub2. PMID: 36250418; PMCID: PMC9574868.