リハビリコラム
慢性な非特異的腰痛に対するストレッチの効果
こんにちは!
歩行専門の自費リハビリ施設
ARUKONECT (アルコネクト)の代表
市川です。
本コラムでは、慢性的な非特異的腰痛に
対するストレッチの効果についてを
解説したいと思います。
非特異的腰痛とは?
腰痛は様々な原因で起きます。
非特異的腰痛とは、炎症、腫瘍、感染など
原因が明らかなもの以外の腰痛のことです。
今回はTurciらの論文を紹介します!
Turciらの研究では・・・
①セルフストレッチ
②モーターコントロールエクササイズ
この2つのグループに分けられました。
セルフストレッチとは?
呼吸トレーニングを含む脚の
ストレッチが行われました。
モーターコントロールエクササイズとは?
腹横筋、脊柱起立筋、多裂筋などの
体幹トレーニングが行われました。
その結果・・・
セルフストレッチとモータコントロールエクササイズの
両方とも「痛み」「日常生活に影響する機能障害」
「(腰痛の恐怖回避思考)」が改善できることが
わかりました。
過去の論文から、その効果が
実証されているモーターコントロール
エクササイズとストレッチの効果に
差がないということです。
そのため腰痛を改善するために、自主トレーニングも
有効である可能性があるのかも知れません。
運動を実施することのリスクを踏まえながら
行うことで効果が期待できそうです。
具体的にどのような運動が効果があるのか
どうかについては、情報を吟味する必要が
あり、原因によってリハビリの内容も
変える必要もあるなと感じています。
本コラムでは、慢性的な非特異的な腰痛に
対するストレッチの効果についてを解説しました。
本コラムが少しでも皆さまの
お役に立てましたら幸いです。
最後までお読みいただき
ありがとうございました。
(執筆日:2023年11月21日)
(執筆者:市川 貴章)
参考文献
1)Turci AM, Nogueira CG,
Nogueira Carrer HC, Chaves TC.
Self-administered stretching exercises are as effective
as motor control exercises for people with chronic
non-specific low back pain: a randomised trial.
J Physiother. 2023 Apr;69(2):93-99.
doi: 10.1016/j.jphys.2023.02.016.
Epub 2023 Mar 21. PMID: 36958977.
パーキンソン病患者さんの方向転換
こんにちは!
歩行専門の自費リハビリ施設
ARUKONECT (アルコネクト)の代表
市川です。
本コラムではパーキンソン病患者さんの
方向転換についてを解説したいと思います。
パーキンソン病の患者さんの転倒は
そのほとんどが方向転換時に起きると
されています。
また症状が軽度であっても
まっすぐは歩けても、方向転換時に
バランスを崩してしまうという方も
いらっしゃいます。
ではパーキンソン病の患者さんが
方向転換をするときには、どのような
形(戦略)で行うのでしょうか?
今回はMelloneらの研究を
紹介したいと思います。
Melloneらの論文では・・・
①パーキンソン病の患者さん12名
②対照被験者さん19名
それぞれのグループには、直線歩行と
方向転換が組み合わさったコースを
歩いてもらい比較検討されました。
また歩行速度による差をみるために
「通常どおり」「速い」「ゆっくり」と
3つの速度での比較検討も行っています。
その結果・・・
パーキンソン病の患者さんは
(対照被験者さんに比べて)
方向転換がゆっくりであり、
大回りになることが明らかに
なりました。
方向転換時には支持基底面が
狭くなり、速い速度でターンしたときに
不安定さが増すと報告しています。
支持基底面とは?
身体を支えるために、接している体の部位や
杖などに囲まれた面のことです。
この支持基底面が広いと安定し、
狭いと不安定になります。
Melloneらはパーキンソン病の患者さんが
方向転換時に速度がゆっくりであり、
大回りになるのは、姿勢の安定性を確保
するために行っていると結論づけています。
方向転換をスムーズに行えるための
リハビリプログラムを立案する際に
活かせそうですよね。
バランスとの関係があるのであれば、
「バランス」の評価も詳細に行う必要が
ありそうです。
またKingらは方向転換に特化した
トレーニングを行うとどのような効果が
得られるのかを研究しており、その結果が
待たれるところです。
本コラムでは、パーキンソン患者さんの
方向転換についてを解説しました。
本コラムが少しでも皆さまの
お役に立てましたら幸いです。
最後までお読みいただき
ありがとうございました。
(執筆日:2023年11月20日)
(執筆者:市川 貴章)
参考文献
1)Mellone S, Mancini M, King LA,
Horak FB,Chiari L.
The quality of turning in Parkinson's disease:
a compensatory strategy to prevent postural instability?
J Neuroeng Rehabil. 2016 Apr 19;13:39.
doi: 10.1186/s12984-016-0147-4.
PMID: 27094039; PMCID: PMC4837520.
2)King LA, Carlson-Kuhta P, Wilhelm JL,
Lapidus JA, Dale ML, Talman LS,
Barlow N, Mancini M, Horak FB.
TURN-IT: a novel turning intervention program
to improve quality of turning in daily life in people
with Parkinson's disease. BMC Neurol. 2022
Nov 28;22(1):442. doi: 10.1186/s12883-022-02934-5.
PMID: 36443737; PMCID: PMC9703770.
脳卒中患者さんのステッピングトレーニング~運動量と負荷量を増やす意味~
こんにちは!
歩行専門の自費リハビリ施設
ARUKONECT (アルコネクト)の代表
市川です!
本コラムでは脳卒中患者さんの
ステッピングトレーニングの量や負荷量を
増やすことでどのような効果が得られるのかを
解説したいと思います。
今回はHendersonらの論文を
紹介したいと思います!
この研究には・・・
脳卒中患者さんが656名が
参加しました。
①通常のリハビリ
②移行期
③高負荷トレーニング
この3つの時期に振り分けられ
その効果が検証されました。
ステッピング練習とは?
トレッドミルや平地で歩く練習を
行うことです。
負荷量はどのように決める?
「予測最大心拍数」と「ボルグスケール」を
用いる方法があります。
◎予測最大心拍数
=208-(0.7×年齢)で求めることができます。
この数値の70~80%の心拍数を目標として
Hornbyらの研究では負荷をかけています。
◎ボルグスケール
患者さん自身がどのぐらい運動のツラさや
疲労感を感じているのか表す指標です。
心臓のお薬を飲んでいると、脈拍が
上がりにくくなったりすることもありますので、
運動するリスクを踏まえると既往歴の
確認は必要です。
その結果・・・
高負荷のトレーニングを実施することで
1日の歩数が増加し、加えて歩行速度の
向上や歩行距離が延びることが明らかに
なりました。
本コラムでは脳卒中患者さんの
ステッピングトレーニングの量や負荷量を
増やすことでどのような効果が
得られるのかを解説しました。
本コラムが皆さまの何かの
お役に立てましたら幸いです。
最後までお読みいただき
ありがとうございました。
(執筆日:2023年11月20日)
(執筆者:市川 貴章)
参考文献
1)Henderson CE, Plawecki A, Lucas E,
Lotter JK, Scofield M, Carbone A, Jang JH,
Hornby TG.
Increasing the Amount and Intensity
of Stepping Training During Inpatient
Stroke Rehabilitation Improves Locomotor
and Non-Locomotor Outcomes.
Neurorehabil Neural Repair. 2022
Sep;36(9):621-632.
doi: 10.1177/15459683221119759.
Epub 2022 Aug 25.
PMID: 36004813; PMCID: PMC10189784.
スクリーンタイムと腰痛の関係
こんにちは!
歩行専門の自費リハビリ施設
ARUKONECT (アルコネクト)の代表
市川です。
本コラムでは、スクリーンタイムと腰痛との
関係性を解説したいと思います。
スクリーンタイムとは?
パソコン、携帯電話、テレビを
みる時間のことです。
そのスクリーンタイムと腰痛は
関係するのでしょうか。
今回はYueらの論文を紹介します!
Yueらの研究では・・・
20歳以下の若者が対象となりました。
その結果・・・
腰痛を生じている方はパソコン、携帯電話、
テレビをみる時間が長い傾向があることが
わかりました。
さらにパソコンの使用時間が1時間延びるごとに
腰痛の発症リスクが8.2%増加すると
報告しています。
腰痛は様々な要因で生じますが、
生活習慣も影響がありそうです。
ただYueらの研究では、オッズ比によって
スクリーンタイムと腰痛の関連性を
検討しています。
「1」を跨いではいませんが、95%信頼区間が1に
限りなく近いものや1に到達しているものが
あるので、その点は慎重に解釈が必要かなと
感じるところです。
本コラムでは、スクリーンタイムの
腰痛の関係を解説しました。
本コラムが少しでも皆さまの
お役に立てましたら幸いです。
最後までお読みいただき
ありがとうございました。
(執筆日:2023年11月19日)
(執筆者:市川 貴章)
参考文献
1)Yue C, Wenyao G, Xudong Y, Shuang S,
Zhuying S, Yizheng Z, Linlin Z, Jinxin C,
Xingqi W, Yujia L.
Dose-response relationship between daily
screen time and the risk of low back pain
among children and adolescents: a meta-analysis of
57831 participants. Environ Health Prev Med.
2023;28:64. doi: 10.1265/ehpm.23-00177.
PMID: 37899211; PMCID: PMC10613558.
パーキンソン病のすくみ足に対する運動の効果
こんにちは!
歩行専門の自費リハビリ施設
ARUKONECT (アルコネクト)の代表
市川です。
本コラムではパーキンソン病患者さんの
すくみ足に対する運動の効果を
解説したいと思います。
すくみ足とは・・・
”足がすくみ、足が前に
出せなくなること”を言います。
zhangらによれば、すくみ足は
Hoehn&Yahrの重症度分類や
固縮、UPDRSパート2・パート3の
得点と関係すると言われています。
※Hoehn&Yahrの重症度分類
パーキンソン病の進行度合いを
表すものです。
※固縮
筋肉のこわばりのことです。
例えば肘を伸ばそうとすると、
全可動域を通じて抵抗感が感じられます。
※UPDRS
(Unified Parkinson‘s Disease Rating Scale)
パーキンソン病の症状を詳しく調べる検査です。
全4パートから構成されます。
パート2は日常生活動作、パート3は
運動症状を調べるものです。
今回は、Silva-Batistaらの論文を
紹介したいと思います。
Silva-Batistaらの論文では・・・
①不安定性を伴うトレーニング
②従来のリハビリ
この2つに分けて、すくみ足に対する
効果を検証しています。
不安定性を伴うトレーニングとは・・・
バランスディスクやエクササイズボール、
フォームパッドを用いて、スクワットや
ランジを行うものです。
その結果・・・
不安定性を伴うトレーニングを行うことで
すくみ足が軽減されたと報告しています。
Ehgoetzらによるとすくみ足には・・・
①運動
②不安
③注意
この3つのサブタイプが存在すると
されています。
そのため、病態に基づいてリハビリの
方法も検討する必要があるのかなと
思います。
本コラムでは、パーキンソン病のすくみ足に
対する効果的な運動の効果を
解説しました。
本コラムが少しでも皆さまの
お役に立てましたら幸いです。
最後までお読みいただき
ありがとうございました。
(執筆日:2023年11月18日)
(執筆者:市川 貴章)
参考文献
1)Zhang F, Shi J, Duan Y, Cheng J, Li H,
Xuan T,Lv Y, Wang P, Li H.
Clinical features and related factors of
freezing of gait in patients withParkinson's disease.
Brain Behav. 2021 Nov;11(11):e2359.
doi: 10.1002/brb3.2359. Epub 2021 Sep 22.
PMID: 34551452; PMCID: PMC8613420.
2) Osborne JA, Botkin R, Colon-Semenza C,
DeAngelis TR,Gallardo OG, Kosakowski H, Martello J,
Pradhan S, Rafferty M,Readinger JL, Whitt AL, Ellis TD.
Physical Therapist Management of Parkinson Disease:
A Clinical Practice Guideline From the American
Physical Therapy Association.
Phys Ther. 2022 Apr 1;102(4):pzab302.
doi: 10.1093/ptj/pzab302. Erratum in:
Phys Ther. 2022 Aug 1;102(8):
PMID: 34963139; PMCID: PMC9046970.
3) Silva-Batista C, de Lima-Pardini AC, Nucci MP,
Coelho DB, Batista A, Piemonte MEP, Barbosa ER,
Teixeira LA, Corcos DM, Amaro E Jr, Horak FB,
Ugrinowitsch C. A Randomized, Controlled Trial of
Exercise for Parkinsonian Individuals With
Freezing of Gait. Mov Disord. 2020 Sep;35(9):
1607-1617. doi: 10.1002/mds.28128.
Epub 2020 Jun 18. PMID: 32557868;
PMCID: PMC7722148.
4) Ehgoetz Martens KA, Shine JM, Walton CC,
Georgiades MJ, Gilat M,
Hall JM, Muller AJ, Szeto JYY, Lewis SJG.
Evidence for subtypes of freezing of gait
in Parkinson's disease.
Mov Disord. 2018 Jul;33(7):1174-1178.
doi: 10.1002/mds.27417. PMID: 30153383.