リハビリコラム
変形性膝関節症患者さんの固有感覚障害に対するリハビリ~運動の効果~
こんにちは!
歩行専門の自費リハビリ施設
ARUKONECT (アルコネクト)の代表
市川です。
本コラムでは変形性膝関節症の
固有感覚障害に対する運動の効果を
解説したいと思います。
今回はSheikhhoseini らの報告を
紹介したいと思います!
固有感覚とは?
筋肉、腱、靱帯、関節などにある受容器の
おかげで、筋肉や関節などがどのように
動いているのかを把握することができます。
その固有感覚の障害は、
変形性膝関節症の発症と進行との関係や
関節痛や活動制限の原因となる可能性が
あると言われていました。
さらには変形性膝関節症の患者さんは
固有受容器の数が減り、それは
関節症の重症度と関係があったと
報告されています。
Sheikhhoseini らの報告によれば・・・
固有感覚障害には運動が効果的である
可能性が報告されています。
この報告での運動とは、
太極拳、筋力トレーニング、
感覚運動トレーニングなどが
含まれています。
さらには、運動の時間が増えると
固有受容器障害の改善が
得られたとしています。
この論文を読んでみて・・・
固有受容器障害によって
痛みや活動の制限になっていると
関節の状態を踏まえて、運動を適切に
行うことは大切であると言えそうです。
本コラムでは変形性膝関節症の
固有感覚障害に対する運動の効果を
解説したいと思います。
本コラムが少しでも皆さまの
お役に立てましたら幸いです。
最後までお読みいただき
ありがとうございました。
(執筆日:2023年11月28日)
(執筆者:市川 貴章)
参考文献
1)Sheikhhoseini R, Dadfar M, Shahrbanian S,
Piri H, Salsali M.
The effects of exercise training on knee
repositioning sense in people with knee
osteoarthritis: a systematic review and meta-analysis
of clinical trials. BMC Musculoskelet Disord.
2023 Jul 19;24(1):592. doi: 10.1186/s12891-023-06712-3.
PMID: 37468853; PMCID: PMC10357796.
変形性膝関節症と固有感覚障害との関係
こんにちは!
歩行専門の自費リハビリ施設
ARUKONECT (アルコネクト)の代表
市川です。
本コラムでは変形性膝関節症と
固有感覚障害との関係性を
解説したいと思います。
今回はSalamannaらの報告を
紹介したいと思います!
そもそも固有感覚とは?
筋肉、腱、靱帯、関節などには圧力・伸縮・
振動などを感知する受容器があります。
その受容器のおかげで、筋肉や関節などが
どのように動いているのかを感じることが
できます。
感じるとは言っても、普段は意識されません。
以前から、その固有感覚の障害が、
変形性膝関節症の発症と進行に関係が
あるのではないかと言われています。
また関節痛や活動制限の原因となる可能性が
あるとも言われています。
Salamannaらの報告によれば・・・
変形性膝関節症の患者さんの
靭帯(後十字靭帯や前十字靭帯)に含まれる
固有受容器の数が減少していたと
しています。
また固有受容器の数の減少は、
変形性膝関節症の重症度との関係が
あったとしています。
つまり・・・
変形性膝関節症が重症であるほど、
固有受容器の数が減っているということに
なります。
この論文を読んでみて・・・
変形性膝関節症においても固有感覚を
検査・評価し、その結果に応じて
固有受容トレーニング プログラムを
実施することも検討しても良いかなと
思いました。
本コラムでは変形性膝関節症と
固有感覚障害との関係性を
解説しました。
本コラムが少しでも皆さまの
お役に立てましたら幸いです。
最後までお読みいただき
ありがとうございました。
(執筆日:2023年11月28日)
(執筆者:市川 貴章)
参考文献
1)Salamanna F, Caravelli S, Marchese L,
Carniato M, Vocale E, Gardini G,Puccetti G,
Mosca M, Giavaresi G.
Proprioception and Mechanoreceptors in
Osteoarthritis: A Systematic Literature Review.
J Clin Med. 2023 Oct 19;12(20):6623.
doi: 10.3390/jcm12206623.
PMID: 37892761; PMCID: PMC10607296.
変形性関節症と転倒・骨折との関連
こんにちは!
歩行専門の自費リハビリ施設
ARUKONECT (アルコネクト)の代表
市川です。
本コラムでは変形性関節症と転倒との
関連について解説したいと思います。
今回は、Zhangらの論文を紹介したいと
思います!
変形性関節症の患者さんは・・・
・痛み
・筋力低下
・固有感覚障害
・バランス能力低下などを
抱えており、それらは転倒の重要な
危険因子とされています。
Zhangらは・・・
変形性膝関節症と変形性股関節症の
患者さんの転倒・骨折についてを
研究しています。
その結果・・・
転倒との関係
・レントゲンで変形性膝関節症が確認
・レントゲンで変形性股関節症が確認+痛み
いずれの要因をもつことがわかりました。
骨折との関連
変形性膝関節症、変形性股関節症ともに
骨折との直接的な関係は
確認できなかったとしています。
ちなみに・・・
レントゲンで変形性関節症と確認され、かつ
痛みがある場合は「症候性関節症」といいます。
この論文を読んでみて・・・
Zhangらの研究結果では、
変形性膝関節症また股関節症は
転倒とは関係するけれど骨折とは
直接関係しないという結果でした。
しかし・・・転倒し、骨折する場合が多いかと
思いますので、やはり変形性関節症と
転倒との関係性について明らかに
されたことは、転倒予防の観点からしても
重要な知見ではないでしょうか。
本コラムでは変形性関節症と転倒・骨折との
関連につい解説しました。
本コラムが少しでも皆さまの
お役に立てましたら幸いです。
最後までお読みいただき
ありがとうございました。
(執筆日:2023年11月27日)
(執筆者:市川 貴章)
参考文献
1)Zhang Y, Li X, Wang Y, Ge L, Pan F,
Winzenberg T, Cai G.
Association of knee and hip osteoarthritis
with the risk of falls and fractures:
a systematic review and meta-analysis.
Arthritis Res Ther. 2023 Sep 29;25(1):184.
doi: 10.1186/s13075-023-03179-4.
PMID: 37770969; PMCID: PMC10540335.
脳卒中患者さんの歩行開始時の姿勢制御
こんにちは!
歩行専門の自費リハビリ施設
ARUKONECT (アルコネクト)の代表
市川です!
本コラムでは脳卒中患者さんの歩行開始時の
姿勢制御についてを解説したいと思います。
歩行を開始する前に、予期的(予測的)に
姿勢を安定するような働きが活性化されます。
それを予測的姿勢制御(APAs)と言います。
歩行だけでなく、動作全般にAPAsが
働くとされています。
今回はDelafontaineらの論文を
紹介したいと思います!
Delafontainereは脳卒中患者さんの
歩行開始時の姿勢制御について、
研究しました。
その結果・・・
マヒ側の脚を先に出すと・・・
マヒ側の前脛骨筋と中殿筋の働きが低下し、
足圧中心の移動と身体重心の加速が
減少することがわかりました。
またマヒ側の中殿筋が働きにくいことによって
非マヒ側の内転筋群が強く働くことも
わかりました。
一方、マヒ側の脚が後ろだと・・・
歩行開始時にバランスがとりにくくなる
しています。
つまり・・・
前に進むための力が働きにくいことが
わかります。
この論文を読んで・・・
歩行改善のため、歩容を分析するには
歩行開始時のアライメントがとれるのか、
とるためにどの部位にサポートが必要なのか
など考える必要がありそうです。
そのことを踏まえて、その他の検査・
評価と合せてリハビリのメニューを
立案する方が良いのかなと思いました。
本コラムでは脳卒中患者さんの
歩行開始時の姿勢制御についてを
解説しました。
本コラムが皆さまの何かの
お役に立てましたら幸いです。
最後までお読みいただき
ありがとうございました。
(執筆日:2023年11月27日)
(執筆者:市川 貴章)
参考文献
1)Delafontaine A, Vialleron T, Hussein T,
Yiou E, Honeine JL, Colnaghi S.
Anticipatory Postural Adjustments
During Gait Initiation in Stroke Patients.
Front Neurol. 2019 Apr 17;10:352.
doi: 10.3389/fneur.2019.00352.
PMID: 31057474; PMCID: PMC6478808.
前庭リハビリテーションって何?~脳卒中患者さんに対する効果~
こんにちは!
歩行専門の自費リハビリ施設
ARUKONECT (アルコネクト)の代表
市川です!
今回は脳卒中患者さんに対する
前庭リハビリテーションの効果を
解説したいと思います。
前庭リハビリテーションという言葉を
初めて聞いた方もいらっしゃるかと
思います。
実は1940年代、今から80年以上の
Cawthorne―Cooksey exerciseに
由来するリハビリです。
あまり馴染みがないのは、その重要性は
認識されながらも、日本では最近になり、
研究会の立ち上げやガイドライン作成が
行われたからかと思います。
前庭リハビリテーションとは?
前庭は平衡感覚を保つために必要です。
腕・脚・首・目の動きと関係があり、
姿勢を保つために働きます。
これらの調整がうまくいかなくなると
めまい、ふらつきなどが見られるように
なります。
前庭リハビリテーションの代表的な
エクササイズの種類には・・・
①適応
②慣れ
③代償(代用)
この3つがあります。
①適応・・・
目や頭を動かすことによって、前庭機能の
働きの改善を目指すものです。
代表的なエクササイズは、
『Gaze Stability Exercise』です。
1つの文字を見続けて、頭を動かしたり、
右(上)と左(下)に文字を配置して目だけを
動かすエクササイズなどがあります。
②慣れ・・・
めまいの起こる頭の動きや動作を
繰り返し、練習を行います。
めまいの起きる動きを繰り返すのは
正直驚きました。
めまいが強い場合やすぐにめまいが
誘発される場合は実施が難しいことが
あるのかなと思います。
③代償(代用)
低下した前庭機能を他の機能で補うために
バランス練習や歩行練習を行います。
1.前庭リハビリの効果
Mitsutakeらによれば・・・
脳卒中患者さんの場合、頭を能動的に
(意識をもって)動かしているときの
立位バランスは不安定になりやすいと
言われています。
私の解釈になりますが、歩行しながら
横に顔を向けたり、後ろを向いたりすると
ふらつくと言えるかも知れません。
脳卒中患者さんが前庭リハビリを行うと
バランス能力や歩行能力に対する効果を
検証した研究は数多くあります。
1) Meng らによると・・・
<内容>
通常のリハビリ+前庭リハビリ
4週間以内の介入(リハビリ)によって、
バランス能力や歩行能力が向上すると
報告しています。
2)Zhaoらによると・・・
<内容>
・Gaze Stability Exercise
・通常の理学療法
<頻度・時間・期間>
週5回・30分・4週間
バランス能力・歩行能力・
マヒ側の脚の振り出し(遊脚期)や
対称性が改善したと報告しています。
3) Ghaffariらによると・・・
<内容>
・前庭リハビリ
<頻度・時間>
週3回・60分
疲労感・抑うつ・日常生活動作の
自立度の改善がみられたとしています。
4) Ekvallらによると・・・
<内容>
・前庭リハビリ
・通常のリハビリ
めまい症状のある脳卒中患者さんに
対して前庭リハビリを行うことで、
通常のリハビリのみと比較し、
自己評価による健康状態が改善したと
報告しています。
5) Sanaらによると・・・
<内容>
・前庭リハビリ
<頻度・期間>
週3回・8週間
前庭リハビリを行った場合でも、
比較対象のVirtual Reality(VR)を
用いたリハビリでも歩行能力・
バランス能力・めまいの障害度合いが
改善したと報告されています。
特に前庭リハビリでは、めまい症状の改善、
VRでは、歩行能力やバランス能力の改善に
役立てられたとしています。
まとめると・・・
前庭リハビリを実施すると、
バランス能力や歩行能力の改善が
得られる可能性があると言えます。
しかし・・・
実施方法やトレーニングの
組み合わせ・実施期間によっても
効果が異なるようですので、
実施内容の吟味が必要かと思います!
本コラムをお読みになり、前庭リハビリに
興味をもたれた方は、担当スタッフに
ご相談いただくのをお勧めします!
今回は脳卒中患者さんに対する
前庭リハビリテーションの効果を
解説しました。
本コラムが皆さまの何かの
お役に立てましたら幸いです。
最後までお読みいただき
ありがとうございました。
(執筆日:2023年11月27日)
(執筆日:2024年6月6日)
(執筆者:市川 貴章)
参考文献
1)Mitsutake, Tsubasa et al. “The Control of Postural Stability
during Standing is Decreased in Stroke Patients during Active
Head Rotation.” Journal of physical therapy science
vol. 26,11 (2014): 1799-801. doi:10.1589/jpts.26.1799
2)Meng, Lijiao et al. “Vestibular rehabilitation therapy
on balance and gait in patients after stroke:
a systematic review and meta-analysis.”
BMC medicine vol. 21,1 322. 25 Aug. 2023,
doi:10.1186/s12916-023-03029-9
3)Zhao, Ruoxin et al. “Effects of Gaze Stabilization
exercises on Gait, Plantar Pressure, and Balance Function
in Post-Stroke Patients: A Randomized Controlled Trial.”
Brain sciences vol. 12,12 1694. 9 Dec. 2022,
doi:10.3390/brainsci12121694
4)Ghaffari, Amin et al. “The Effects of Vestibular
Rehabilitation on Poststroke Fatigue: A Randomized
Controlled Trial Study.” Stroke research and treatment
vol. 2022 3155437. 31 Aug. 2022,
doi:10.1155/2022/3155437
5)Ekvall Hansson, Eva et al. “Vestibular rehabilitation
for persons with stroke and concomitant dizziness-
a pilot study.” Pilot and feasibility studies
vol. 6 146. 30 Sep. 2020,
doi:10.1186/s40814-020-00690-2
6)Sana, Vishal et al. “Effects of vestibular
rehabilitation therapy versus virtual reality
on balance, dizziness, and gait in patients with
subacute stroke: A randomized controlled trial.”
Medicine vol. 102,24 (2023): e33203.
doi:10.1097/MD.0000000000033203