リハビリコラム
パーキンソン病患者さんに対する理学療法の効果
こんにちは!
歩行専門の自費リハビリ施設
ARUKONECT (アルコネクト)の代表
市川です!
本コラムではパーキンソン病患者さんの
理学療法の効果を解説したいと思います。
理学療法はリハビリの中の1つです。
他には作業療法、言語聴覚療法が
あります。
今回はRadderらの論文を
紹介したいと思います!
この研究では・・・
パーキンソン病患者さんに対する
理学療法に関する論文が集められました。
①従来の理学療法
②トレッドミルトレーニング、
③ダンス
④ノルディック ウォーキング、
⑤全身振動
⑥マッサージ
⑦筋力トレーニング、
⑧有酸素運動
⑨バランス練習
⑩歩行練習
など実施した内容で分類され、
それぞれの効果が調査されました。
その結果・・・
①従来の理学療法
運動症状、歩行速度、
歩行率(1分あたりの歩数)、
転倒恐怖感、すくみ足などに
改善がみられました。
②筋力トレーニング
6分間歩行(歩行可能な距離)、
生活の満足度などに改善が
みられました。
③有酸素運動
運動症状、バランス能力、
6分間歩行などに改善が
みられました。
④バランス練習と歩行練習
運動症状、バランス能力、歩行速度、
ストライド長(2歩分の歩幅)などに
改善がみられました。
つまり、行う運動によって
期待できる効果が違うということです!
言い換えると目標によって運動の方法を
変えなくてはならないということです!
本コラムでは、
パーキンソン病患者さんに対する
理学療法の効果を解説しました。
本コラムが少しでも皆さまの
お役に立てましたら幸いです。
最後までお読みいただき
ありがとうございました。
(執筆日:2022年10月8日)
(更新日:2022年12月23日)
(執筆者:市川 貴章)
参考文献
1)DLM, Lígia Silva de Lima A,
Domingos J, Keus SHJ, van Nimwegen M,
Bloem BR, de Vries NM.
Physiotherapy in Parkinson's Disease:
A Meta-Analysis of Present Treatment Modalities.
Neurorehabil Neural Repair.
2020 Oct;34(10):871-880.
doi: 10.1177/1545968320952799.
Epub 2020 Sep 11.
PMID: 32917125; PMCID:
PMC7564288.
軽度・中等度のパーキンソン病の患者さんが行うトレーニング~どんな効果がある?~
こんばんは!
歩行専門の自費リハビリ施設
ARUKONECT (アルコネクト)の代表
市川です!
本コラムでは軽度・中等度の
パーキンソン病患者さんの
トレーニングの効果についてを
解説したいと思います。
今回はSchenkmanらの論文を
紹介したいと思います!
この研究では・・・
Hoehn&Yahrステージ1~3の
パーキンソン病患者さん121名が
参加しました。
Hoehn&Yahrステージというのは
1~5までの5段階あり、症状の
重症度を評価するものです。
”ホー(エ)ン・ヤール”と読みます。
Hoehn&Yahrステージ1~3というと
軽度・中等度の症状の方が該当します。
参加された方には、
①FBFグループ
→柔軟体操・バランストレーニング
②AEグループ
→トレッドミル・自転車での有酸素運動
③自宅でのトレーニンググループ
→National Parkinson Foundation Fitness
Countsプログラムを実施。
この3つのグループに振り分けられました。
トレーニングの効果を調査するために、
①Continuous Scale-Physical
Functional Performance [CS-PFP]
:全体的な身体機能
②Functional Reach Test[FRT]
:バランス能力
③酸素摂取量:歩行の効率
④Unified Parkinson's Disease
Rating Scale [UPDRS] の
日常生活動作(ADL)・運動症状
⑤PDQ-39:生活の満足度
①~⑤の検査がトレーニング前後で
行われました。
その結果・・・
①FBFグループ
・CS-PFP(身体機能)が向上
・UPDRS-ADL(日常生活動作)が改善
②AEグループ➔最大酸素摂取量が向上
つまり・・・
身体機能を改善には、
柔軟体操・バランストレーニング
歩行効率を改善には、
有酸素トレーニングが有効である
可能性が高いということが言えます。
目標やお悩みに合わせたトレーニングが
必要ということですね!
今回は紹介していないのですが、
理学療法の効果を検証した論文もあります。
どのようなトレーニングを行うと
どのような効果が期待できるのかが
より詳細にまとめられています!
(今度、紹介させていただきますね!)
本コラムでは、
軽度・中等度のパーキンソン病患者さんの
トレーニングの効果を解説しました。
本コラムが皆さまの何かの
お役に立てましたら幸いです。
最後までお読みいただき
ありがとうございました。
(執筆日:2022年10月1日)
(更新日:2023年12月4日)
(執筆者:市川 貴章)
参考文献
1)Schenkman M, Hall DA, Barón AE,
Schwartz RS,Mettler P, Kohrt WM.
Exercise for people in early- or
mid-stage Parkinson disease:
a 16-month randomized controlled trial.
Phys Ther. 2012 Nov;92(11):1395-410.
doi: 10.2522/ptj.20110472. Epub 2012 Jul 19.
PMID: 22822237; PMCID: PMC3488266.
パーキンソン病の重症度と移動能力との関係性
こんにちは!
歩行専門の自費リハビリ施設
ARUKONECT (アルコネクト)の代表
市川です!
本コラムではパーキンソン病患者さんの
重症度と移動能力との関係性を
解説したいと思います。
今回はMollàらの論文を
紹介したいと思います!
この研究では・・・
パーキンソン病患者さんを対象として、
重症度(Hoehn&Yahrステージ)、
移動能力が検査され、スマートフォン
搭載のセンサーが腰に装着されました。
※Hoehn&Yahrステージとは?
1~5までの5段階あり、症状の
重症度を評価するものです。
改良された修正版も開発されています。
ちなみに”ホー(エ)ン・ヤール”と
読みます。
この研究にはステージ1~3の患者さんが
(軽度〜中等度)参加しています。
※移動能力の検査とは?
①腕は体の横につけ、30 秒間静止
②音が鳴ったらで 3 m 離れた椅子に向かい
できるだけ速く真っ直ぐ歩く
③向きを変えてイスに座る
④イスから立ち上がる
⑤できるだけ速くスタート地点まで戻る
この①~⑤の手順を行い測定されています。
移動能力の検査時に
・姿勢制御(バランスのとり方)
・座ったとき・立ち上がるときの力
・時間(所要時間・反応時間)が
センサーで測定されました。
その結果・・・
重症度によって、バランスのとり方、
座ったとき・立ち上がる時の力、
所要時間・反応時間に違いが見られる
ことがわかりました。
Hoehn&Yahrステージは
重症度をみるものですが、
パーキンソン病の症状は
多岐にわたります。
重症度を分類するだけでは、
現在どのような状態なのか詳しいことは
分かりません。
しかし重症度に応じた移動能力の関係性が
わかることでリハビリの戦略も
立てやすいなと感じました。
本コラムでは
パーキンソン病患者さんの重症度と
移動能力との関係性を解説しました。
本コラムが皆さまの何かの
お役に立てましたら幸いです。
最後までお読みいただき
ありがとうございました。
(執筆日:2022年9月30日)
(更新日:2023年6月18日)
(執筆者:市川 貴章)
参考文献
1)Mollà-Casanova S, Pedrero-Sánchez J,
Inglés M, López-Pascual J, Muñoz-Gómez E,
Aguilar-Rodríguez M,
Sempere-Rubio N, Serra-Añó P. Impact of
Parkinson's Disease on Functional Mobility
at Different Stages.
Front Aging Neurosci. 2022 Jun
15;14:935841. doi:
パーキンソン病患者さんのサルコペニアと転倒との関係
こんにちは!
歩行専門の自費リハビリ施設
ARUKONECT (アルコネクト)の代表
市川です!
本コラムではパーキンソン病患者さんの
サルコペニアと転倒との関係性を
解説したいと思います。
今回はLimaらの論文を
紹介したいと思います!
この研究では・・・
パーキンソン病患者さん218名が
参加しました。
※サルコペニアとは?
加齢や栄養不足などによって
筋肉量が減少することです。
サルコペニアを評価する方法の1つに
「SARC-F」があります。
そのSARC-Rを研究参加者の半数以上の
121名がサルコペニア(疑い)陽性と
判定されました。
さらに、
転倒はSARC-F・パーキンソン病の
発症からの期間が関係することが
わかりました。
今回、オッズ比(OR)を用いて
影響の大きさをみているのですが、
①SARC-F:OR1.87(1.02–3.41)
②発症からの期間:OR1.10(1.05–1.15)
※( )の中の数字は95%信頼区間であり、
オッズ比の場合、1をまたぐか否かが
大切な判断基準になります。
(またぐ場合は影響があると言えない)
SARC-Fはサルコペニアのスクリーニングの
(ふるい分け)検査です。
診断を確定するためには握力・歩行速度など
検査の追加が必要です。
今回の論文ではサルコペニアを
改善することで転倒を減らせるか
どうかまではわかりません。
また転倒の原因はサルコペニア以外にも
あります。
それでもパーキンソン病患者さんの
転倒予防を考える上で参考になるのでは
ないかと思っています。
本コラムでは
パーキンソン病患者さんのサルコペニアと
転倒との関係を解説しました。
本コラムが皆さまの何かの
お役に立てましたら幸いです。
最後までお読みいただき
ありがとうございました。
(執筆日:2022年9月29日)
(更新日:2022年12月31日)
(執筆者:市川 貴章)
参考文献
1)Lima DP, de Almeida SB, Bonfadini JC,
de Luna JRG, de Alencar MS, Pinheiro-Neto EB,
Viana-Júnior AB, Veras SRO, Sobreira-Neto MA,
Roriz-Filho JS, Braga-Neto P.
Clinical correlates of sarcopenia and falls
in Parkinson's disease.
PLoS One. 2020 Mar 19;15(3):e0227238. doi:
10.1371/journal.pone.0227238.
PMID: 32191713; PMCID: PMC7082018.
パーキンソン病患者さんの歩行の特徴とは?
こんにちは!
歩行専門の自費リハビリ施設
ARUKONECT (アルコネクト)の代表
市川です!
本コラムではパーキンソン病患者さんの
歩行の特徴を解説したいと思います。
今回はKarpodini らの論文を
紹介したいと思います。
この研究では・・・
パーキンソン病の患者さんと
パーキンソン病などの病気を
患っていない方との歩行の違いが
調査されました。
その結果・・・
パーキンソン病患者さんは
①歩行速度の低下
②ストライド(2歩分の歩幅)低下
③両脚支持時間が長くなる
④遊脚(脚を前に出す)時間の短くなる
⑤股関節の可動域が狭くなる
この5つが特徴として
明らかになりました。
歩行速度や歩幅などの歩行パラメーターの
一側面を捉えたものになりますが、
歩行分析を行うときに参考になるのかなと
思っています。
歩行分析は課題をみつけたり、
リハビリメニュー立案にとても
重要な役割を果します。
しかし機器が揃っていない限りは
セラピスト自身の目でみて確認するもので、
少なからず経験によって解釈が
歪められてしまう可能性があります。
(自分自身の経験として)。
そのため、歩行分析以外の
検査(筋力やバランス能力など)を
組み合わせながら歩行中の課題を
分析することが良いなと
感じています!
本コラムではパーキンソン病患者さんの
歩行の特徴を解説しました。
少しでも皆さまのお役に立てましたら
幸いです。
最後までお読みいただき
ありがとうございました。
(執筆日:2022年9月27日)
(更新日:2022年12月31日)
(執筆者:市川 貴章)
参考文献
1)Zanardi APJ, da Silva ES, Costa RR,
Passos-Monteiro E, Dos Santos IO, Kruel LFM,
Peyré-Tartaruga LA.
Gait parameters of Parkinson's disease compared
with healthy controls: a systematic review
and meta-analysis.
Sci Rep. 2021 Jan 12;11(1):752.
doi: 10.1038/s41598-020-80768-2.
PMID: 33436993; PMCID: PMC7804291.