リハビリコラム
パーキンソン病患者さんの方向転換
こんにちは!
歩行専門の自費リハビリ施設
ARUKONECT (アルコネクト)の代表
市川です。
本コラムではパーキンソン病患者さんの
方向転換についてを解説したいと思います。
パーキンソン病の患者さんの転倒は
そのほとんどが方向転換時に起きると
されています。
また症状が軽度であっても
まっすぐは歩けても、方向転換時に
バランスを崩してしまうという方も
いらっしゃいます。
ではパーキンソン病の患者さんが
方向転換をするときには、どのような
形(戦略)で行うのでしょうか?
今回はMelloneらの研究を
紹介したいと思います。
Melloneらの論文では・・・
①パーキンソン病の患者さん12名
②対照被験者さん19名
それぞれのグループには、直線歩行と
方向転換が組み合わさったコースを
歩いてもらい比較検討されました。
また歩行速度による差をみるために
「通常どおり」「速い」「ゆっくり」と
3つの速度での比較検討も行っています。
その結果・・・
パーキンソン病の患者さんは
(対照被験者さんに比べて)
方向転換がゆっくりであり、
大回りになることが明らかに
なりました。
方向転換時には支持基底面が
狭くなり、速い速度でターンしたときに
不安定さが増すと報告しています。
支持基底面とは?
身体を支えるために、接している体の部位や
杖などに囲まれた面のことです。
この支持基底面が広いと安定し、
狭いと不安定になります。
Melloneらはパーキンソン病の患者さんが
方向転換時に速度がゆっくりであり、
大回りになるのは、姿勢の安定性を確保
するために行っていると結論づけています。
方向転換をスムーズに行えるための
リハビリプログラムを立案する際に
活かせそうですよね。
バランスとの関係があるのであれば、
「バランス」の評価も詳細に行う必要が
ありそうです。
またKingらは方向転換に特化した
トレーニングを行うとどのような効果が
得られるのかを研究しており、その結果が
待たれるところです。
本コラムでは、パーキンソン患者さんの
方向転換についてを解説しました。
本コラムが少しでも皆さまの
お役に立てましたら幸いです。
最後までお読みいただき
ありがとうございました。
(執筆日:2023年11月20日)
(執筆者:市川 貴章)
参考文献
1)Mellone S, Mancini M, King LA,
Horak FB,Chiari L.
The quality of turning in Parkinson's disease:
a compensatory strategy to prevent postural instability?
J Neuroeng Rehabil. 2016 Apr 19;13:39.
doi: 10.1186/s12984-016-0147-4.
PMID: 27094039; PMCID: PMC4837520.
2)King LA, Carlson-Kuhta P, Wilhelm JL,
Lapidus JA, Dale ML, Talman LS,
Barlow N, Mancini M, Horak FB.
TURN-IT: a novel turning intervention program
to improve quality of turning in daily life in people
with Parkinson's disease. BMC Neurol. 2022
Nov 28;22(1):442. doi: 10.1186/s12883-022-02934-5.
PMID: 36443737; PMCID: PMC9703770.