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リハビリコラム

2023-12-02 13:26:00

知っておきたい! パーキンソン病の患者さんが転倒する原因とその対策

 

こんにちは!
歩行専門の自費リハビリ施設
ARUKONECTの代表 市川です。
本コラムではパーキンソン病の患者さんの
転倒する原因とその対策を解説します。

 

 

パーキンソン病の患者さんが転倒する原因

 

パーキンソン病の患者さんの約60%が
転倒すると言われており、最悪の場合、

骨折することもあります。
そのため、転倒を予防することは
社会全体の課題なのかなと思います。


転倒の原因を論文を参考に詳しくみて
いきましょう!


Muruetaらによれば・・・
・転倒歴 (過去に転倒したことがある)
・歩行能力の低下
・バランス能力の低下

以上の場合に転倒しやすいとしています。


Liuらによれば・・・
転倒の要因を5つの領域に分けています。

①身体機能
下肢(脚)の筋力低下、すくみ足、
バランス低下 など

②既往
転倒歴、基礎疾患の長期経過がある など

③環境
濡れた床、不整地、高い障害物、
暗い場所 など

④薬物療法
レボドパの服用によって、転倒に関する
合併症を減らせる

⑤認知
自信過剰、転倒恐怖感がある など


以上のように転倒は様々な要因によって
起きるものであり、一つの原因に限らない
としています。

 

 

転倒を予防するための方法

 

Canningらによれば・・・

<実施内容>
・バランストレーニング
・筋力トレーニング

<頻度・時間>
週3回・40~60分/回

運動症状が軽度※1の患者さんの転倒を
減らせたと
報告しています


※UPDRS-Ⅲのスコア 26点以下


Sparrowらによれば・・・

<実施内容>
・筋力トレーニング
・BESTest(バランス検査)に合わせた
 バランストレーニング

<頻度・時間・期間>
週2回・90分/回・12週間

転倒回数や転倒発生率を減らせたとしています


Chivers らによれば・・・

<実施内容>
・PDSAFE(転倒予防プログラム)

<回数・時間・期間>
12セッション・60分~90分・6ヶ月

転倒しそうになった回数を減らし、
バランス能力、
転倒恐怖感などの改善が
得られた
としています。
しかしながら、すくみ足や認知障害があると、
介入効果が少なくなったとも報告しています。


一方で効果が得られなかった報告もあります。


Morrisらによると・・・
主に筋力トレーニングを行った場合は、
転倒率には変化が得られなかったとしています。

 

 

まとめると・・・
Liuらの報告のように、原因は様々です。
単一の方法では効果が頭打ちになる可能性が
あり、患者さんの病状を包括的にとらえて
対応することが大切なのかなと思います。


つまり運動だけでなく、状況に応じて
手すりや照明の設置、段差の解消などの
環境面の整備、お薬の調整(医師との相談)
など生活を見据えた対応が必要なのかなと
思います。

 

 

本コラムではパーキンソン病の患者さんが
転倒する原因とその対策
を解説しました。


本コラムが少しでも皆さまの
お役に
立てましたら幸いです。


最後までお読みいただき
ありがとうございました。

 

 

(執筆日:2023年12月2日)
(更新日:
2024年5月25日)

(執筆者:市川 貴章) 

 

 

参考文献
1)Murueta-Goyena A, Muiño O, Gómez-Esteban JC.
Prognostic factors for falls in Parkinson's disease:
a systematic review. Acta Neurol Belg. 2023
Nov 28. doi: 10.1007/s13760-023-02428-2.
Epub ahead of print. PMID: 38015306.

2)Liu, Wen-Yi et al.
“Systematic review for the prevention and management
of falls and fear of falling in patients with
Parkinson's disease.” Brain and behavior 
vol. 12,8 (2022): e2690. doi:10.1002/brb3.2690

3)Canning, Colleen G et al.
“Exercise for falls prevention in Parkinson disease:
a randomized controlled trial.” Neurology 
vol. 84,3 (2015): 304-12. doi:10.1212/WNL.0000000000001155

4)Sparrow, David et al.
“Highly Challenging Balance Program Reduces
Fall Rate in Parkinson Disease.” Journal of
neurologic physical therapy : JNPT 
vol. 40,1 (2016): 24-30. doi:10.1097/NPT.0000000000000111

5)Chivers Seymour, Kim et al.
”Multicentre, randomised controlled trial of PDSAFE,
a physiotherapist-delivered fall prevention programme
for people with Parkinson's.” Journal of neurology,
neurosurgery, and psychiatry vol. 90,7 (2019): 774-782.
doi:10.1136/jnnp-2018-319448

6)Morris, Meg E et al.
“A home program of strength training, movement strategy
training and education did not prevent falls in people with
Parkinson's disease: a randomised trial.” Journal
of physiotherapy vol. 63,2 (2017): 94-100.
doi:10.1016/j.jphys.2017.02.015

 

 

 

 

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