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リハビリコラム

2024-04-01 14:52:00

大腿骨を骨折するとどうなる?~機能回復の予測~

 

ARUKONECT (アルコネクト)
代表の市川です!

 

 

本コラムでは、大腿骨を骨折した後の
機能回復の予測を解説します。

 

 

骨折はどの部分で生じる可能性はありますが、
今回は大腿骨近位部骨折(つけ根に近い部分)に
焦点を当てたいと思います。


大腿骨近位部骨折は、大腿骨頸部骨折と
大腿骨転子部骨折に分けられます。
そのほとんどは、転倒や転落などが
きっかけになり、ガイドラインによれば、
全国で17万人の方が受傷したと
公表されています。


データ自体が10年以上前であるため、
現在と変わっているのかも知れませんが、
私としては多いなと感じました。

 

 

回復の予測

Beckmannらが骨折前の状態に
回復した方の割合を調査しています。

・日常生活動作   31%
・移動能力     34%
・階段       41%


この調査は骨折後1年の経過を
追っていますが、大腿骨を骨折すると、
日常生活に関わる動作に影響が
あり、残存する可能性があることが
わかります。


そして機能回復に影響がある要因として、
①高齢であること
②認知症を患っていること
③骨折以外に病気を患っていること
 (チャールソン併存疾患指数>2)
などを挙げています。

 

 

一方、Ouelletらによれば、
日常生活動作の回復には、
①認知症を患っていること
②せん妄があること
③ヘモグロビン値が低いこと


移動能力の回復には、
①せん妄があること
②服薬数(抗不安薬や抗うつ薬など)
③高齢であること
などが影響すると報告しています。

 

 

さらにVergaraらは、身の回りの動作
(BADL)と買い物や家事などの
応用的な動作(IADL)に分けて
検討しています。


その結果、年齢、脳血管疾患(脳卒中など)、
骨折前の股関節機能・痛みなどが回復に
影響すると
報告しています。

 

 

このように骨折後の機能回復に関しては、
様々な要因が絡んできます。


ここで注意したいのは、
あくまで”予測である”
という点です。


すべての患者さんが全く同じ経過を
辿るということはありませんし、
回復に関係する要因に当てはまるから
回復しないということも
ありません。


リハビリの効果については、ガイドラインに
合わせて、システマティックレビューや
介入研究などで確認が必要だなと
思います。


リハビリについては、改めてコ
ラムで
書く予定です。

 

 

この記事を書いていて、
「そもそも転倒・転落を予防できれば
骨折の患者さんの人数を減らせるのでは?」
とふと思いました。


調べてみると骨折の前兆として、
日常生活動作能力の低下があると
Ravensbergenの報告がありました。


しかし、どのように検出し、課題を
解決していくのかは大きな問題だと
感じました。

 

 

本コラムが少しでも皆さまの
お役に
立てましたら幸いです。


最後までお読みいただき
ありがとうございました。

 

 

(執筆日:2024年4月1日)
(執筆者:市川 貴章) 

 

 

参考文献
1)日本整形外科学会診療ガイドライン委員会,
他(編)・日本整形外科学会,他(監):
大腿骨頸部骨折/転子部骨折の疫学-
骨折型別発生率の変化,大腿骨頸部骨折/
転子部骨折診療ガイドライン,改訂第3版,2021


2)Beckmann, Monica et al.
“Recovery and prediction of physical function
1 year following hip fracture.
” Physiotherapy research international :
the journal for researchers and clinicians
in physical therapy vol. 27,3 (2022):
e1947. doi:10.1002/pri.1947

3)Ouellet, Jennifer A et al.
“Functional Outcomes After Hip Fracture
in Independent Community-Dwelling Patients.”
 
Journal of the American Geriatrics Society 
vol. 67,7 (2019): 1386-1392.
doi:10.1111/jgs.15870


4)Vergara, Itziar et al.
“Factors related to functional prognosis
in elderly patients after accidental
hip fractures: a prospective cohort study.
” BMC geriatrics vol. 14 124. 26 Nov. 2014,
doi:10.1186/1471-2318-14-124
 

5)Ravensbergen, Willeke M et al.
“Declining daily functioning as a prelude
to a hip fracture in older persons-
an individual patient data meta-analysis.
” Age and ageing vol. 51,1 (2022):
afab253. doi:10.1093/ageing/afab253

 

 

 

 

2024.11.21 Thursday