リハビリコラム
脳卒中の患者さんの歩行!推進力を上げるために必要なこと
こんにちは!
歩行専門の自費リハビリ施設
ARUKONECT (アルコネクト)の代表
市川です。
本コラムでは脳卒中患者さんの
歩行時の推進力についてを
解説したいと思います。
※推進力・・・
本コラムでは前に進む力のことです。
前回のコラムで脳卒中の患者さんが
長い距離を歩けるためには、
マヒ側の推進力と股関節伸展角度が
大切という話をしました。
>>脳卒中の患者さんが長い距離を
歩くために必要な要素とは?
では推進力を上げるためには
どうすればよいのでしょうか?
じつは・・・
「股関節伸展角度」と
「足関節底屈筋力」
この2つが大切と言われています。
長い距離を歩くために必要な
要素と重なる部分がありますね!
Hsiaoらによれば推進力には、
マヒ側の股関節伸展角度が74%、
マヒ側の足関節底屈筋力は17%
影響することが報告されています。
つまり・・・
推進力向上を考えたときに
股関節伸展角度が大きく影響すると
言えそうです。
※ちなみにマヒされていない側も
同じような影響度でした。
推進力を上げることを考えた場合に、
歩行中の股関節伸展角度が
ポイントになります。
もし股関節伸展がうまく行えないと
すれば、要素に分解して考えることも
必要です。
例えば・・・
・足首や股関節の可動域?
・右(左)脚が前、左(右)脚が後ろという
位置でバランスがとれるのか?
このように検査を行い、明らかになった
課題に合わせてリハビリを行うことが
必要です。
しかし脳卒中患者さんの症状は
マヒの強さ、痙縮(けいしゅく)、
運動失調、感覚障害など
多岐に渡ります。
バランスを崩さずにゆっくりと
安全に歩けるようになることが
必要になることもあるかも知れません。
突然、歩き方を変えると
バランスを崩すこともあります。
現在、病院やデイケアでリハビリを
行っている方でしたら、まずは担当者に
ご相談いただくのをお勧めいたします。
※痙縮とは?
腕や脚が突っ張ってしまったり
こわばってしまう症状です。
※運動失調とは?
手や足が滑らかに動かすことが
難しくなったり、起立や歩いている時に
バランスがとりにくくなる症状です。
※感覚障害とは?
触っている感覚などが
わかりにくくなる症状です。
今回は脳卒中の患者さんの
歩行時の推進力を上げるために必要な
ことを解説しました。
本コラムが皆さまの何かの
お役に立てましたら幸いです。
最後までお読みいただき
ありがとうございました。
(更新日:2022年7月8日)
(更新日:2023年3月30日)
(執筆者:市川 貴章)
参考文献
1)Hsiao H, Knarr BA, Higginson JS,
Binder-Macleod SA. The relative contribution
of ankle moment and trailing limb angle to
propulsive force during gait. Hum Mov Sci.
2015 Feb;39:212-21. doi: 10.1016/j.
humov.2014.11.008. Epub 2014 Dec 12.
PMID: 25498289; PMCID: PMC4272868.
2)Hsiao H, Knarr BA, Higginson JS,
Binder-Macleod SA.
Mechanisms to increase propulsive force for
individuals poststroke. J Neuroeng Rehabil.
2015 Apr 18;12:40. doi: 10.1186/s12984-
015-0030-8. PMID: 25898145;
PMCID: PMC4406180.