リハビリコラム
パーキンソン病患者さんのすくみ足に対して効果的なリハビリとは?
こんにちは!
歩行専門の自費リハビリ施設
ARUKONECT (アルコネクト)の代表
市川です。
本コラムではパーキンソン病患者さんの
すくみ足に効果的なリハビリを
解説したいと思います。
1.すくみ足とは?
すくみ足とは、
”足がすくみ歩き始めの1歩目が
前に出せないこと”を言います。
zhangらによれば、すくみ足は
Hoehn&Yahrの重症度分類や
固縮、UPDRSパート2・パート3の
得点と関係すると言われています。
※Hoehn&Yahrの重症度分類
パーキンソン病の進行度合いを
表すものです。
※固縮
筋肉のこわばりのことです。
例えば肘を伸ばそうとすると、
全可動域を通じて抵抗感が
感じられます。
※UPDRS
(Unified Parkinson‘s Disease Rating Scale)
パーキンソン病の症状を詳しく調べる検査です。
全4パートから構成されます。
パート2は日常生活動作、パート3は
運動症状を調べるものです。
2.リハビリの方法
アメリカ理学療法士協会のガイドラインや
Millerら、Tomilisonらのメタアナリシス・
システマティックレビューでは、
①視覚・聴覚のキューイング
②バランストレーニング
③歩行練習
主にこの3つの方法が推奨または、
効果があると報告されています。
メタアナリシスとは、統計学的手法を
用いて、同じような研究の結果を
まとめる分析方法です。
このメタアナリシスの結果をみると、
統合した結果は効果があると
していますが、個々の結果をみると
効果があるとは言えない研究が
含まれています。
つまり、理学療法はすくみ足に
効果があるとされながらも、
理学療法の中身をみると、
効果があると言えないものも
あるということになります。
3.介入のポイント
Ehgoetzらによれば、すくみ足には
サブタイプ(分類)があると言われています。
①運動
②不安
③注意
この3つのサブタイプに分けることができる
ため、病態に基づき、介入方法を変える
必要があると考えられます。
つまり、運動だけで効果が得られない
可能性があるということです。
本コラムでは、パーキンソン病患者さんの
すくみ足に対する効果的なリハビリを
解説しました。
本コラムが少しでも皆さまの
お役に立てましたら幸いです。
最後までお読みいただき
ありがとうございました。
(執筆日:2023年3月25日)
(執筆者:市川 貴章)
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