リハビリコラム
パーキンソン病患者さんの二重課題中の姿勢安定性
こんにちは!
歩行専門の自費リハビリ施設
ARUKONECT (アルコネクト)の代表
市川です。
本コラムではパーキンソン病患者さんの
二重課題での姿勢安定性を解説したいと
思います。
今回はMorenillaらの報告を
紹介したいと思います!
この研究では、
パーキンソン病の患者さんと
パーキンソン病ではない方が
参加しています。
さらに・・・
Ⓐシングルタスク①
(立つ+目を開ける)
Ⓑシングルタスク②
(立つ+目を閉じる)
Ⓒデュアルタスク①
(立つ+目を開ける+認知課題)
Ⓓデュアルタスク①
(立つ+目を閉じる+認知課題)
Ⓐ〜Ⓓのグループに分けられ、
姿勢の安定性が調査されました。
※デュアルタスク(二重課題)とは?
運動課題と認知課題を一緒に行うことです。
例えば、計算を行いながら歩くのも、
デュアルタスク(二重課題)です。
※認知課題とは?
イヤホンで話しを聞き、あらかじめ
決めておいた単語がいくつ出てくるのか
覚えておき答える課題です。
その結果・・・
パーキンソン病の患者さんは
(パーキンソン病ではない方に比べて)
姿勢の動揺が大きいことがわかりました。
さらに、
パーキンソン病ではない方は、
(立つ+目を閉じる+認知課題)で
認知課題の正答率が下がったのに対し、
パーキンソン病の患者さんは、
(立つ+目を開ける+認知課題)で
認知課題の正答率が下がることが
わかりました。
つまり、パーキンソン病の患者さんは
課題を行っているときは、姿勢の安定を
保つことを優先にしていると言えます。
課題を行っているときと行わないときの
姿勢の変化を観察したり、その動揺を
確認することも必要なのかも知れません。
リハビリの戦略自体も変えなくては
ならないのかなと感じています。
本コラムではパーキンソン病患者さんの
二重課題中での姿勢安定性を解説しました。
本コラムが少しでも皆さまの
お役に立てましたら幸いです。
最後までお読みいただき
ありがとうございました。
(執筆日:2023年1月24日)
(執筆者:市川 貴章)
参考文献
1) Morenilla L, Márquez G, Sánchez JA, Bello O,
López-Alonso V, Fernández-Lago H,
Fernández-Del-Olmo MÁ.
Postural Stability and Cognitive Performanceof
Subjects With Parkinson's Disease During
a Dual-Task in an Upright Stance.
Front Psychol. 2020 Jul 29;11:1256.
doi: 10.3389/fpsyg.2020.01256.
PMID: 32903649; PMCID: PMC7438725.